「良くも、悪くも、だって母親」ラ・ミラン、実際は良い母?“演じたキャラクターの立場はまた違ったと思う”

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写真=C-JeS Studio
“悪い母”を演じた女優のラ・ミランが、実際は“良い母”だと話した。

6月8日、韓国でJTBC水木ドラマ「良くも、悪くも、だって母親」の最終回が放送された。視聴率は初回3.6%で開始して、日増しに好評を得て、最終回は12%の自己最高視聴率で有終の美を飾った。

同作は、子どものためやむを得ず悪い母になるしかなかったヨンスンと、子どもになってしまった息子ガンホが失った幸せを取り戻していく感動のヒーリングコメディだ。

ラ・ミランは劇中、チェ・ガンホ(イ・ドヒョン)の母で、幸せな豚農場の社長チン・ヨンスン役に扮した。チン・ヨンスンは息子のガンホを裁判官にするため悪い母になったが、ガンホが事故に遭った後、子どもになってしまうと、やっと息子を追い詰めた自分の過ちに気づく人物だ。彼女は息子への申し訳ない気持ちと愛を深い感情の演技で描き出して、視聴者たちを泣かせ、笑わせた。視聴者の涙腺を刺激した彼女の演技力に、人々の賛辞が続いた。

最近、彼女はソウル江南(カンナム)区駅三洞(ヨクサムドン)にあるカフェでマイデイリーに会って、同作の人気を実感しているとし「毎日(視聴率を)検索して、関連キーワードを検索します。仕方ありません。視聴者の皆さんの反応が気になって、雰囲気も知りたくて毎日検索します。つまらないことまで探します」と正直に話した。

また「知人からたくさん連絡が来て『どうなるの』と聞かれたり、毎日泣いたとメールが送られてきたりします。別の作品よりも反応が熱かったです。長らく連絡がなかった方々からも連絡が来ました」とし、「共感してくれる人が多かったです。一緒に泣いていたのに、いきなりコメディ物に変わったらどうしよう、と言われたりしました。母として共感できるという反応も多く、息子、子ども側の方々かもしれませんが、『ひどいじゃないか。ガンホをほっといてくれよ』という反応もありました」と語った。

しかし、彼女の実際の息子と夫はこの作品を見なかったという。「私の家族は何度も言ったけれど、自分に関心がありません。本人たちも忙しいから。知人から反応を聞いているそうです。それで『自分も見ないと』と考えていて、私が『見なくてもいい』と言ってあげました」と告白して目を引いた。

また彼女は、家族たちの行動について全然平気だとし「楽でいいです。近い人が見ていると思うと、少し恥ずかしいし、関心がないのが逆に楽です。夫も見ないで、(知人の)反応だけ確認しているそうです」と語った。

もちろん、ガンホのための行動だったが、実はヨンスンは最初は非常に“悪い母”だった。実際に20歳の息子がいる彼女は、どんな母だろう。

「私はとても良い母です。息子に何かをさせたりしません。ですが、ヨンスンの立場はまた違ったと思います。当時の時代が与える、実は私たちもそのような一方的な教育を受けたんじゃないですか。今とは違って、ひどくないのと感じましたが、『あのお母さん、ひどいじゃない』と思われるのが、当時は最善の選択だったと思います。私の立場ではヨンスンが可哀そうですが、ガンホの日記に書いてあったように、ヨンスンが悪い母になるしかなかった理由が分かった時、ぞっとしました。ヨンスンが足りなくて、ある意味誤った選択で人生を生きてきましたが、それを見てくれた人がいたということにびっくりしました。だけど、ガンホを立派に育てたじゃありませんか。いい子に育ったと思います(笑)」

しかも彼女は「最大限ヨンスンになるため頑張りましたが、実際に人間ラ・ミランとしては想像もできません。私は絶対そうしません。私がそんな状況に直面していないからこう思うかもしれません。子どもをガイドする方法を私も学んだことがないので」とし、「ガンホの食器を奪う時、ひどいなと思いました。『大丈夫、そうしないとこの子は検事になれない』という考えで撮影しました。しかし、私は夫が死んだらそのまま崩れてしまったと思います。ヨンスンも知らなかったじゃないですか。(夫が)自ら極端な選択をしたと思って、悲しんでいるばかりでした。誰かに殺されたと考えて、復讐しないとと思わなかったから、ガンホにも『復讐しないと』と教えず、『力がある人になってよ』『恵まれていない人を助ける人になってよ』という気持ちで育てました。だけど、検事にさせる過程であまりにも強くガンホを追い詰めました」と説明した。

里長(キム・ウォネ)をはじめ、チョン氏(カン・マルグム)、パク氏(ソ・イスク)、青年会長(チャン・ウォニョン)、イェジン(キ・ソユ)、ソジン(パク・ダオン)などが暮すチョウ里は、実際に存在する町のような印象を与えて癒しを届けた。

ラ・ミランもチョウ里の人々への愛情が格別だった。「台本が気に入った理由の一つが、周りの人物たちがみんな生きていることでした。周りの人物たちもそれぞれのストーリーを持っていて、チョン氏やパク氏、里長の妻(パク・ボギョン)もみんな悪い母に含まれると思います。私とガンホの出演シーンがもっと多いだけで、チョン氏はミジュ、パク氏はサムシク、みんな子供を育てる母という共通点があって、人物一人一人が現実的でした」とし、「出演陣たちは台本読み合わせの時にも視聴者たちはチョウ里を愛するようになり、ずっと思い出すだろう、と口を揃えていました。ソン・ウビョク(チェ・ムソン)やオ・テス(チョン・ウンイン)は可哀そうでした。別の作品を撮影している感じだったそうです」

親子として息を合わせたイ・ドヒョンについては「同年代の俳優の中で、その程度の深さを表現する俳優は最近になって初めて会いました。最初は20代であることも知りませんでした。30代初めか、半ばかと思いました。子どもっぽくも、大人っぽくもない感じ」とし、「ガンホは難しいキャラクターです。35歳の検事から高校生、7歳の子どもの役割までしなければなりませんが、イ・ドヒョンさんを思い出しました。会った時、やはりと思いました」と述べた。

彼女は「撮影時にやりとりができない役者たちもいますが、イ・ドヒョンさんは目を見て演技して、交感をしました。それで、彼と演技すること自体が楽しかったです。そしてある瞬間、互いの涙のボタンになってしまいました。あえて言わなくても、いたずらしていても、撮影に入るとすぐ没頭しました。最高でした」とし、「いい役者です。この部分がいい、というよりは、そんな印象を与える役者は珍しいです」と絶賛した。

とりわけ感情の演技が多かった作品だったが、彼女も感情の調節が大変だったという。

「(この作品で)一つ大変なことは、感情的なシーンが多いということです。実はもっと多かったけれど、たくさん削除しました。ずっと泣き続けると、視聴者の方々も疲れるし、感動的ではないと思いました。実際に涙が出たけれど、それを抑えて喚起させて、再び(演技)して笑ったりしました。監督と検討して、私なりに多くの部分を調整しました。ドヒョンも母に養子縁組の同意書をもらうシーンで泣いていました。『ドヒョンさん、このシーンで泣かないのはどう』と言いました。しかし、何度撮影しても涙が出て、撮影を数回繰り返してからやっと『食事ですか』と言いました。『落ち着かないとね。今は泣く時じゃないよ』と、互いに調節しました」

チン・ヨンスンは運が悪かった。両親と弟は交通事故で亡くなり、夫は極端な選択をしたように偽装されたまま殺害された。息子のガンホは全身麻痺に記憶喪失、本人は胃がん末期で余命宣告を受けて、口蹄疫と豚農場の火事により豚も失った。

「人生で様々な瞬間に直面するじゃないですか。ヨンスンに過酷な事件が続々と起こったのは事実ですが、厳しいほど、そこから得られるどんでん返しの幸せのようなことが大きいようです。ガンホが事故に遭わなかったら、目覚めて、食事して、立ち上がる過程から来る感激を感じることができなかったと思います。ずっと追い詰めたでしょう。遅れて過ちに気づいて、学んで、『この状況が大変だ』ではなく、どうすれば幸せになるかを悩む瞬間が感動的でした。それで幸せでした」

続けられる悲劇にヨンスンが胃がん末期という設定は、ひどすぎるという反応があった。

これに彼女は「ある人は『クリシェだ』『韓国ドラマはがんじゃないといけないの』と指摘しますが、実際に最近(がんの患者たちが)とても多いです。十分にあり得る状況だと思います。その一連の事件があり得ますが、非常に多くて過酷で、ヨンスンにひどいじゃないか、という反応が多かったです。私はドラマの設定としては、悪くないと思います」と明かした。

ただし、最悪の状況の中でヨンスンがガンホを残して極端な選択を試みたシーンについては悪かったと語った。

彼女は「皆さんは弱い味を味わったのです。(ヨンスンが)首を吊って、ガンホが来るんじゃないですか。『母さん』と扉を開けると、『行け! 行け!』というシーンが放送されました。顔も表情もすでに撮影していました。ですが、公開するには残酷だと思って、長くつられていた、程度で設定しました」とビハインドストーリーを伝えて、「そんな考えをしただけでも悪かったと思います。後にガンホに会ってから、悪かったと気づきます」と、ヨンスンの行動について指摘した。

胃がん末期だったチン・ヨンスンは、最後に息子ガンホが歌ってくれる子守歌を聞いて永遠に眠る。葬儀場で生前、ヨンスンの言葉の通りに「アイゴー、アイゴー」と叫んでいたガンホは、ヨンスンがいつも歌っていた「私は幸せです」をチョウ里の人々と一緒に歌う。

彼女はこのようなヨンスンの結末に満足感を示した。「最高の結末だと思います。ヨンスンの体調が悪いという事実が公開されて、『どうぞ生かしてください』『殺さないで』という反応が多かったですが、生きていることだけがハッピーエンドじゃないから。結末によって違うと思います。私はそんなに悲しくなかったし、満足しています。死ななかったら『ファンタジー?』と思ったかもしれないです」と自分の考えを伝えた。

この作品は彼女にとってどんな作品として残るだろうか。彼女は「演技人生で重要な作品になると思います。最近コメディー物にたくさん出演しましたが、そんなイメージも刷新してくれて、役者として『こんな演技もできるんだ』と、色んな一面を見せることができた作品でした」とし、「『応答せよ1988』が、ウィットがあってユーモラスな部分が多かったとしたら、今回では真剣な姿をアピールすることができました。これまでとは違う姿を見せることができました」と述べた。

最後に、49歳である彼女に、残った40代をどのように過ごしたいのか聞いた。

「年にそんなに意味を与えません。まだ38歳だと思っているから。ですが、確かに変わったことはあります。体力が以前より弱くなったんだ、運動しないとね、と。だけど、ずっと活動したいです。呼んでいただければ、いい作品に会えば、一生懸命に作業します。私はとても楽しいです。いい仕事だと思います。私のようにすぐ飽きてしまう性格には、いつも別の人生が経験できる仕事がぴったりだと思います(笑)」

記者 : パク・ソヨン