【REPORT】Stray Kidsが初の単独ドーム公演を開催!京セラドームが感涙と汗に濡れた

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昨年、2作連続で米ビルボードのメインチャート「ビルボード200」で1位を記録し、全米NO.1ボーイズ・グループとして飛躍したStray Kidsが「Stray Kids 2nd World Tour "MANIAC" ENCORE in JAPAN」を開催。さいたまスーパーアリーナ、京セラドーム大阪で4公演を行い、計13万人を動員した。Stray Kids史上最大規模の単独公演となり、「これまでの集大成」と意気込んだ、2月26日、大阪での最終公演の模様をレポート!


沼落ちを確定させるオープニング

オープニングは全米1位を記録したメガヒット・アルバム『ODDINARY』から2曲を畳みかけ、初っ端からファンを圧倒した8人。小鳥のさえずり声をサンプリングした「MANIAC」では、世間体など気にせず、己の個性をとことん見せつけるマニアックなアーティストとしてステージに立ち、他との違いを見せつける。続く「VENOM」は相手の魅力にハマっていく様子を描くが、クールなステージングに、ファンの体にはStray Kidsと言う名のポイズンが回り始め、STAY(Stray Kidsのファン)は彼らの沼から脱出不能状態に! 途中から、ステージには巨大な蜘蛛の足が現れ、不気味に蠢いていたのだが、果たして、蜘蛛の目論みとは? そして1stパートのラストは、バンチャン、ヒョンジンで演じる「Red Lights」を8人バージョンで。艶めかしいほどに美しいパフォーマンスは強烈な印象を残し、ヒョンジンの妖しい眼差しもヤバかった。

最初のMCタイムでは、ハンが「皆さん、ご飯食べましたか?」と挨拶し、リノが「ご飯食べてない人、叫べ~~」と盛り上げ、ツカミはOK。その後、「昨日は眠れなかったです。今日も会えて嬉しいです」(ハン)、「昨日、初めて、京セラドームで単独公演をしましたが、驚きました。さすがに圧倒されますね。こんなに多くのSTAYに会えて嬉しいです」(チャンビン)と話し、メンバーがネタ枠に走ってると言う自己紹介に繋げる。

リノは「皆さ~ん! ちぃーっす! 京セラドームにいるSTAYに、全力投げキッスいくで!! ヒュゥン!」と投げキッスを放ち、ハンが「僕は世界を救うことは出来ないけど、せめて半径90cm以内の大事なSTAYを守る男でいたいです。僕から半径90cmまで来てみる?」と話すと、バンチャンは自分の足元に半径90cmの円を描いて「マジ?」と言わんばかりの顔付きに。リノが言葉に甘えて、顔を接近させると「来ないで! (あっちに)行って!」と突き放し、ファンに「恋に落ちちゃうよ。STAYに対する愛はボルケーノより熱い男、ハンです」と挨拶する。その後も、「Stray Kidsの自慢の末っ子、アイエンです! 今日、目が合ったら、たくさん投げキッスして下さいね!(すかさずハンがアイエンにキス・ポーズ!)」(アイエン)、「STAYの心を癒すため、京セラドームに舞い降りた天使。僕のハートをSTAYに贈ります(ハートマークを添えて)。皆さんの天使、フィリックスです(ホッペ・ハート)」(フィリックス)、「Stray KidsとSTAYのボディガード、バンチャンです。あ、Stray KidsとSTAYの部長です。昨日の公演では緊張してSTAYに甘えてしまいましたが、大阪に来たからには、関西弁、全開で行くで! 今日もホンマに最後まで頼むで~~」(バンチャン)と続け、ヒョンジンは「(カメラ目線のピースマークで)Stray Kidsの沼、ヒョンジンです! 今日は僕の魅力にハマって沼、確定だね?」と話し、親指と人差し指のLサインを顎の下に当ててポージング。そして隣のスンミンに「可愛いワンちゃんだっ! お手! お利口さん! よしよしー!」と話しかけ、チャンビンと二人でスンミンを“よしよし”。スンミンは「皆さんのペット、スンミンです。よろしくダ、ワン!」と挨拶し、チャンビンが「STAYは今のままが一番綺麗だよ(サムズアップ)。Stray Kidsのチュッテジャ(自分の信念を貫く男)、チャンビンです!(サムズアップ)」と締めた。

その後、フィリックスはオープニングを「曲のチョイスから、ビジュアル、パフォーマンスまで僕たちの今を集約させたものです」と振り返り、バンチャンは「パフォーマンスを想像しながら曲を作っていますが、それがこんなに大きい会場で夢が叶うと感動します。今日は今迄のMANIAC公演の集大成をお見せします!」と高らかに宣言! この日は声を出しての応援が解禁されたため、チャンビンのリードで発声練習を済ませば、ファンの期待も高まっていく。


京セラドームがStray Kidsのアジトと化す

続くパートは、自分の生きたいように歩むという信念を重いビートにのせる「Easy」から。ハンは途中でウィンクをキメ、ラストはバンチャンがダブル・ピースでお茶目に締める。
自分の力を余すことなく音楽に注ぐ姿勢を綴ったヒップホップチューン「ALL IN」は日本語で演じ、8人は舞台の上手、下手にも移動し、ドームの隅々までパフォーマンスをブっ放す。さらに終盤ではステージ中央で「Everybody, Jump」と掛け声を放ち、会場のボルテージが限界超え! ダンサーも交えた激アツなステージングが、彼らのアンストッパブルな勢いを実感させる。

そして、バンチャンが「STAYの皆さん、叫べ~~」とシャウトすれば、デビュー曲にして、彼らのアイデンティティを目いっぱいに詰め込んだ、永遠のアンセム「District 9」しかない。中盤では、ハンとチャンビンが超高速マイクリレーを繰り広げ、バンチャンにバトンタッチ。彼の「싹 다 뒤집어(全てひっくり返す)」とのシャウトに合わせて、全員がジャンプをキメると、熱き炎も立ち上がり、彼らは既存の枠をブチ壊し、フリーダムに魅せていく。激しすぎる怒涛のパフォーマンスの中で、ハンとフィリックスがジャンケンに興じる余裕も凄すぎで、汗に濡れた髪をかき上げるヒョンジンはゾクゾクするほどに格好いい! この2ndパートで京セラドームはStray Kidsのアジトと化し、彼らは世界の音楽シーンにおけるゲームチェンジャーとして躍り出た理由をとことん見せつけた。


バンチャンがファンの大合唱を誘い、たくさんのSTAYが一つに

ステージで蠢いていたのだが果たして? そんな疑問がビデオ映像で解き明かされる。そこには、メンバーが経験する“奇妙な”出来事が描かれ、リノが手にするグラスは逆さにしても零れ落ちることなく、ワイン・グラスにグリーンの液体を注ぐハンは次第に何かに取り付かれていく。スタジオに籠って音を探すバンチャンは次第に狂気が宿り、チャンビンとアイエンが興じるテレビゲームからはメカニカルな蜘蛛が飛び出して二人を襲う。どこかに閉じ込められ、恐怖に怯えるフィリックスの前には、さっきの蜘蛛がメガ・スパイダーとなって現れ、彼には「Do you want to be ODDINARY?」との問いが投げかけられた。

衣装チェンジを経て披露したのは、エレクトロ・スウィングなサウンドで演じるパーティーチューン「Back Door」! 靴音を響かせながらステージへ現れたヒョンジンが裏口のドアをノックし、ギィ~~と扉を開ければ、そこは関係者だけが入れるシークレットなパーティー会場! 「皆さん、叫べ~」との煽りに、ファンはドームの屋根を突き破るほどの声援で応え、メンバーは、バンチャン&アイエンの手繋ぎ・マイクリレーや、チャンビン&スンミンによるハートマークなどで、楽しさを盛り込んでいく。そして、ラストにフィリックスが「Hey, you wanna come in?」と締めた後は「Charmer」をチョイス! 笛の音をイメージさせるサビ、メンバーが繰り出す呪文のような歌に、ファンも思わず体を揺らしたくなる。

バンチャンが「Put your hands up」がシャウトしスタートさせるのは、挫けそうになっても、諦めることなく、常に前進するポジティブ・マインドがテーマの「Lonely St.」だ。ここではダンスパフォーマンスを控え目にし、スタンドマイクに想いをぶつけるように魂の声を響かせた8人。ラストはバンチャンが自らのマイクを掲げてファンの合唱を誘い、巨大ドームがギュ~っと一つになる。志高く前を見据えようとも、挑戦には苦悩と不安も伴う。続く「Side Effects」は、そんな心情をエレクトロな歌とダンスで表現したもの。レーザービームが飛びかえば、会場は刺激的なテクノクラブにも似た雰囲気となり、フィリックスは左手で自分の頭を叩きながら、魅惑のロー・ボイスで「머리 아프다(頭痛い)」と歌う。そして終盤、全員で同じ詞を歌ってフロアに倒れこむと、彼らの背後には、また、あの巨大蜘蛛が不気味に控えていた。


ヘッドバンギングが似合うオリエンタルなステージに興奮度マックス

再びのビデオ映像で、先ほどの物語が続く。フィリックスは「I want to be ODDINARY」と宣言し、メガ・スパイダーと自分を繋ぐコードを引き千切る。すると、蜘蛛はそそくさと逃げ去り、8人は主体的に“奇妙”=“個性的”であることを選択。個性的=マニアックであることこそ、彼らにとっての”普通“なのだ。そのODDINARYなアティチュードは燎原の火の如く、世界中に伝播し、モニター画面にはSTRAY KIDS EVERYWHERE ALL AROUND THE WORLD, YOU MAKE STRAY KIDS STAY」の文字が浮かんでいた。

“無難、既存、人並み”を象徴するかのような巨大蜘蛛との闘いに勝利した彼らはロックなサウンドを武器に、更に驀進する。韓国の伝統音楽に合わせ、ヒョンジンを皮切りに優雅な舞いを踊れば、モニター画面には水墨画が描かれ、オリエンタルなステージに変化。バックバンドが登場するとパフォーマンスもダイナミックにシフトし、そこにすくっと立ったチャンビンが強烈なアカペラ・ラップをドロップ。そこから「俺様の名前は何だ?」と問いかけるのだが、メンバーはコント調に返し、頼りにならない。そこで彼はファンにも同じ問いを発し、フロアが彼のフルネームを呼べば、いよいよ「Thunderous」のスタートだ! 間奏部ではメンバーがセンターステージに向かい、そこでパフォーマンスを始めると同時に赤いテープも発射! 舞台がせり上がると共に、ファンの興奮も急上昇し、ヘッドバンギングしそうなほど。「DOMINO」ではバンチャンとスンミンがグータッチし、チャンビンの差し出すマイクでハンがラップするなど、コンビネーション・プレーも冴えわたる。そしてテッパン曲「God's Menu」で客席はまたもヒートアップし、ラストは全員が横一列に並び、斜め45度の姿勢で一礼! 最高の饗応でファンに応えた。

一息ついてジャケットを脱いだ後、メンバーは「バンドのおかげで、やりたいことが一杯出来て、本当に嬉しいです」(スンミン)、「ドームでは新たにダンサーたちも登場し、パワーアップした姿を披露できたかと思います」(ハン)と振り返る。チャンビンは「たくさんのSTAYから僕の名前を呼ばれて、ホンマに鳥肌が立ちました」と興奮気味に話して、「俺様の名前は何だ?」とアンコールをお願い。ドームに彼の名前がコダマすると、すぐさま、リノとスンミンが羨ましがり、二人もまたファンに名前のコールをおねだりしていた。

そんな兄貴たちを横目に、アイエンは「今日は最後までStay Kidsの沼にハマって下さ~い」と呼びかけ、ニッコリ笑顔のピースサインで、続く「CHEESE」を曲紹介。ここまで格好よさを際立褪せてきた8人だが、ここでは全員が思い思いに楽しく&パンキッシュに魅せていく。アイエンは「ハナ、ドゥㇽ、セッ、ネッ」とシャウトしてからの投げキッスをプレゼントし、フィリックスは「Everybody, Scream」とロー・ボイスを響かせる。最後にバンチャンがダブルピース・サインをキメれば、会場中がウキウキ・モード。「YAYAYA + ROCK」ではメンバーもステージを楽しむようにハジけてジャンプしまくり。フィリックスは効果音に合わせてハートマークを放ち、「Everybody, Put your hands up」とのシャウトに、ドームを埋め尽くしたペンライト、そしてフロアが縦に揺れる。ラストはヒョンジンがソロ・ダンスをパフォーマンスし、メンバーは彼を囲んで囃し立てるようにエールを送り、見せ場を作った。


スペシャル感満載のユニット・コーナー&ソロ曲

衣装チェンジを兼ねての“お楽しみ”コーナーではメンバーがソロ・ステージを披露。ヒョンジンは「愛は矛盾だ」がテーマの未公開曲を歌い、ラストはファンにサムズアップ。チャンビンは「本当にいいね」と大絶賛し、「格好いい」「ヒョンジン」というファンとのコール&レスポンスで彼を労う。そして最後に「When I say DOODLE, You say DOODLE!!」とシャウトすれば、ファンは「DOODLE」とレスポンス。そのまま、ソロ曲「DOODLE」へ繋げ、ヒョンジン、ハン、フィリックスの3人がダンスでサポート。歌い終えると、「緊張しましたが、ファンのおかげで上手く出来ました」とSTAYに感謝した。

続く曲紹介を担当したのはフィリックス。明るい笑顔で「皆さ~ん、行きましょうか~?」と呼びかける。そんな導入からスタートした「Waiting For Us」は、それまでのロックなパートと雰囲気を一変。バンチャン、リノ、スンミン、アイエンの4人は、冬が終わり、春が訪れようとしている今の季節にピッタリな曲で会場に穏やかな感動を呼び起こす。ほのかなピンク色に染まったマイクスタンドには白い百合の花も添えられ、とってもラブリーなステージだった。

今度は、この4人からスンミンとアイエンが「STAYの心をホカホカに」すべく、ソロ曲を歌いあげる番。ドームでのソロ曲に緊張気味のアイエンだが、彼の背中をバンチャンが優しくポンポンし、心を落ち着かせる。そしてアイエンは映画『世界の中心で愛を叫ぶ』の主題歌「瞳をとじて」を歌い、ファンもクラッパーでエールをプレゼント。歌い終えた後は「歌はいつも僕をドキドキさせます」と打ち明けた。

スンミンは「全ての出会いと別れは運命に導かれていると思います。皆さんの初恋はいつですか?」とフロアがざわつかせる。「誰ですか? スンちゃん? 僕は今、ナウです」と続けて自分の足元を指させば、それは“今、ここにいるSTAYが僕の初恋”というメッセージ。どよめくファンに「First Love」をプレゼントし、歌い終えた彼をバンチャンが“よしよし”すると、スンミンは応えていた。

舞台は、チャンビン、ヒョンジン、ハン、フィリックスにバトンタッチされ、4人は、彼らの音楽を理解できない古い感覚の人間を“泥水”と表現し、既存の音楽シーンにも牙を剥く「Muddy Water」をパフォーマンスする。チャンビンは上着をずらして上腕部を見せつけ、終盤、チャンビンとハンがラップの応酬から、二人でシャウトするシーンはストリート感たっぷり。ヒリヒリするほどに格好よかった。


アンコール公演限定曲はJAPAN 1st Album『THE SOUND』から

2月22日に、日本での初のオリジナル・フル・アルバム『THE SOUND』をリリースした8人。ユニットステージを終えたメンバーは、その最新作から2曲を日本アンコール公演のためエクスクルーシブ・トラックとして披露する。

まずは彼らのらしさが爆発する「THE SOUND」でファンの度肝を抜いた8人。マイクリレーも超クールで、ラストに振り子のようなダンスを演じれば、突如、事件発生だ。事件とは、8人が危険な魅力を持つ人に出会ったことで、演じるのは「CASE 143 -Japanese ver.-」。143はI LOVE YOUの文字数を意味するラブメッセージで、曲中も「143」の掛け声に合わせてフィンガーサインで数字を表現する。他にも、バンチャンが右手人差し指をホッペにクリクリしたり、チャンビンが指ハートをプレゼントしたり、さらには二人がグータッチを演じたりと、ラブリー・ポイントがマシマシ。ラストもバンチャンが煽り、ドームが一つになって「I LOVE YOU」の声を上げ、8人は左手のラブサインを高々と掲げた

歌い終えても、ファンに「I LOE YOU」のお代わりをお願いするバンチャン。「大好き」バージョンもお願いし、リクエストに応えてくれたSTAYに「ちょー可愛い」と感謝する。

2曲を収録したアルバムはオリコン週間アルバムランキングの1位(現時点 Billboard JAPAN Hot Albums、Top Albums Sales、Artist 100(2/20 - 2/26)チャートも1位)に輝いたが、それもファンの応援があってこそ。それに応えるべく、東京&横浜で撮ったMVの撮影秘話を明かしてくれた。空き時間を利用して横浜の夜を楽しんだというアイエンは「夜店で焼き鳥を食べてたら、STAYに気づかれた」というマル秘話を初公開! バンチャンは「僕たちもSTAYと一緒に焼き鳥を食べたいですね」と話し、チャンビンが「部長が奢って下さい~」とからかうと、館内から一瞬にして「部長」コールが沸き起こり、ファンに「一緒に食べましょう」と約束していた。

その後、スンミンは、「Waiting For Us」と「Muddy Water」のどちらが好き、という禁断のクエスチョンを投げかける。ファンの歓声の大きさで競うことになるが、それぞれのチームがフロアに「叫べ~~」と呼びかけ、メンバー間のバトルが勃発! そこにバンチャンが強面風な声で「オイ、オイ、何してんの?」と一喝して仲裁に入り、「どっちも好きですね? Stray Kidsが好きですね?」と優しく問いかけると、ファンは大きな声援でアンサーし、チームは再び一つに! チャンビンの「最後まで盛り上がって下さい! 準備はいい?」との呼びかけでラストパートへ突入だ!


天井知らずな勢いでラストスパートをかける

本編ラストパートは、正規デビュー前にリリースした彼らの原点「Hellevator」から。デビュー前に感じた苦悩、努力、希望を詰め込み、炎が立ち上がる中、彼らの熱き情熱が美しきパフォーマンスへと昇華される。ドン底からグングン上昇していくエレベーターの中にいるような演出も施され、ファンの脳裏にはデビューから一緒に過ごした日々がフラッシュバックしたはず。続くのは、アニメ「神之塔 -Tower of God-」の主題歌「TOP -Japanese ver. -」。この曲で、オリコン週間シングルランキングの1位をゲットし、その後、成長と上昇を続けた彼らは2作連続で「ビルボード200」で1位を記録。全米のトップに君臨しようとも、彼らに奢りは見られず、その勢いは天井知らず。頂点を極める度に、ファンに新たな景色を見せ、彼らは振り返ることなく、ひたすら前を、そして、上を見て走り続ける。

そんな想いを伝えるべく、ここでは「天高く遥か彼方へ。そびえたつ階段を見上げ抱くこの想いを」というスンミンのパートからスタート。「Hellevator」同様に、バックの巨大モニター画面では、メンバーがどんどん上がっていくような演出が行われ、バンドのロックなサウンドがブースターとなって、メンバーのパフォーマンスが加速する。そのダイナミックな臨場感に、ファンはStray Kidsというアトラクションに乗っているかのような気分! この2曲を続けざまに歌うことで、彼らはドン底から、音楽界の頂きへとまっしぐらに駆け上がってきたこれまでをファンに追体験させ、ラストスパートをかけてファンの興奮をマックスにしていく。

パフォーマンスを終え、フロアに背を向けるメンバーたち。フィリックスが一人振り返り、左手を高く突き出しながら「Listen to this勝戦歌」とシャウトすれば、会場には「勝戦歌」と書かれた、いくつもの赤いフラッグがはためき、サイレンにも似た音が鳴り響く。もちろん、歌うは滾る闘魂をホット&アグレッシブに演じる「Victory Song」! バンチャンはハーフ・クロップドトップスで、ファンの悩める心にトドメを刺すかのように、うねる腹筋を全開にし、フロアをノックアウト! 勝利の雄叫びを上げ、余韻を残すようにステージを後にした。


アンコールではメンバーの愛嬌が爆発

アンコールは「行こうぜー!」という言葉を合図にスタートする。アイエン:尻尾のついた茶色い狐、フィリックス:黒猫、ヒョンジン:白猫、スンミン:まるでワンチャンのような垂れ耳の黒ウサギ、と多くのメンバーがかわいらしいアニマル・ニット帽をつけ、チャンビンはピンクの豚鼻ヘアバンドを装着。トロッコに乗ってファンの元へと近づくと、ドームはファンと触れ合うハッピー空間となり、メンバーは身を乗り出しながら手を振ったり、ビックハートやホッペ・ハートに投げキッスをプレゼント! ポップロックな「Time Out」、日本オリジナル曲「Fairytale」をにこやかに歌い、笑顔と愛嬌を会場の隅々まで届けていく。

その後は、アリーナ後方のステージに降り立って、楽しさ弾ける「CIRCUS」をパフォーマンス。メンバーが手を繋いでステージをスキップすると、ルンルン気分がドーム一杯に広がっていく。そして「SUPER BOARD」で再びトロッコに乗り込み、メインステージでチームの固き結束を歌うマイクリレーソング「FAM」を畳みかける。それはバンチャン→アイエン→スンミン→フィリックス→ハン→ヒョンジン→チャンビン→リノ→バンチャンの順に、他己紹介形式でメンバーの特徴を楽しく&リアルに描くもの。バンチャンはアイエンの肩を抱えて歌い、ヒョンジンはアイエンの帽子の尻尾をイジイジ。スンミンはバンドのドラマーの横でエア・ドラムを演じ、ハンを紹介するフィリックスは日本語の「ワラビー HAN!」を、韓国語バージョンの「クォッカ HAN」に替えたスペシャルリリックで歌う。そしてバンチャンはメンバーから羽交い絞めチックにホールドされ“腹筋チラ見せの刑”に処されるが、もちろん、この後、自ら進んでお腹をお披露目したのは言うまでもない。この曲では、メンバーのコールにファンも全員の名前をレスポンスし、STAYもまたStray Kidsファミリーの一員になっていた。

ここ迄を終えると、バンチャンは「ホンマに嬉しい。ワクワク」と話して、メンバー全員でキュートにワクワク・ポーズ! メンバーそれぞれが最後にこう挨拶した。

チャンビン 「守りたいと思う大切なものができると、人は強くなれると思います。その中で、僕が1番大切に守りたいと思う家族が昨日も今日も見に来てくれました。家族の前ではいつまでも甘えん坊ビッグ・ベイビーですが、ステージの上では格好いい姿を見せるためにいつも頑張ってます。STAYの守りたいもの、大切なものは何ですか? Stray Kidsですか? それがStray Kidsなら嬉しいです。そして、何より一番大事なのは健康です。今日は僕の健康ルーティンを共有します。1、バランスよく食べること。2、運動には言い訳をしないこと。3、寝ても覚めてもチャンビンの事を想うこと! 約束! 僕は永遠にSTAYのセクシー・トレーナーです! 愛してます! 必ず戻って来ます」

スンミン 「この京セラドームは、僕が尊敬する野球選手が野球をしていた場所です。もし、幼い頃の夢だった野球選手になっていたら、ここで野球をしていたかも、とふと思いました。でも、ステージに立って、歌でSTAYに感動を与え、愛を受けることが出来る今がもっと幸せだと思います(ハートマーク)。昨日、ステージの中央からSTAYでいっぱいの景色を見たとき、本当に感動しました。ドームで公演することは決して簡単なことではないので、それを僕たちがやっているなんて、不思議で、感謝の気持ちでいっぱいです。二日間、胸が一杯になっている僕のように、(自分の胸を指さし)STAYの心のどこかに、この思い出がずっと残っていたらいいなと思います。僕は昨日と今日の記憶のおかげで、もっと幸せな気持ちで歌い続けることが出来ます。明るくて、いたずらも沢山する僕ですが、歌う時だけはこれからもずっと本気の姿をお見せします。本当に感謝しています」

ヒョンジン 「昨日と今日のSTAYの歓声は、今まで経験したことがないものでした。まだ僕の耳にはっきりと残っています。自分の体内の幸せパワーがいっぱいになって、自分が出来るもの以上をお見せしたと思っていたのに、上には上がありますね。今日はさらに限界を超えました。愛の力ってすごいですよね? これはすべてSTAYのおかげです。愛しています。コロナ禍で日本に頻繁に来ることが出来なかったにもかかわらず、こんなに大きな会場を一杯に出来るとは想像も出来ませんでした。正直、この光景そのものがまだ信じられません。本当にありがとうございます。今日が終わっても、また戻ってくるので、待っていて下さい! STAY、大好きです(ハートマーク)また、会いましょう!」

バンチャン 「こんなに広い会場で、大勢のSTAYに会えて嬉しいです。ホンマに嬉しいです。僕はホンマに幸せ者です。なぜなら、自慢のメンバーたちがいて、仕事ができるスタッフの皆さんがいて、そして、可愛い可愛いSTAYの皆さんがいるからです。皆さん、僕、こんなに幸せでいいんですかね? 皆さんが僕を想う以上に、皆さんを大切にするバンチャンとStray Kidsになります。僕たちはいつまでも初心を忘れず、皆さんに身近に感じてもらえるStray Kidsでいるために日々努力しています。だから、僕たちのことをこれからも温かく見守って下さい。皆さん、本当にありがとうございます。STAYの皆さん、メッチャ、好きやねん!」

フィリックス 「昨日コンサートが終わるまで、ずっとテンションが高いままでした。疲れを忘れる程、楽しい時間でした。今日もメンバーとSTAYのイキイキとした表情を見てたら、テンションが高くなり、思い切りパフォーマンス出来ました。時間を気にすることなく皆さんと過ごしたいと思いますが、限られた時間だからこそ、この瞬間がとても大切です。STAYといる時間の1分1秒でも無駄にしたくないからです。それくらい、皆さんは僕にとって大切な存在です。STAY、本当に好きだよ(一礼からのホッペ・ハート)。(胸に手を当て)本当に感謝しています。次回、またお会いしましょう」

アイエン 「ドーム公演があっという間に終わりましたね。今日も会場の広さにびっくりしました。センターステージに行っても顔が見られないSTAYが大勢いたので、STAYの顔が見たくてトロッコに乗って会いにいきました。会場の隅から隅まで見渡して、皆の顔、目に焼き付けました。STAYの目にも僕の顔を焼き付けましたか? いいですね! 今日は忘れられない一日になりそうです。疲れた時は目を閉じて、皆さんと過ごしたこの瞬間を思い出すようにします。素敵な思い出をありがとうございます。僕たちのステージをもっと好きになってもらえるように、もっと頑張ります(右手拳を固く握りしめて)。本当に大切な人の前で公演が出来るこの瞬間は気分が最高ですね。何度もアツいものが込み上げてきました。僕は一生ステージに立ち続けていくと思うので、また戻ってきます」

ハン 「公演が出来なかったり、皆さんに会えなかった日々を乗り越えて、こんなにも多くのSTAYに会えて、毎日幸せな気持ちで過ごしています。STAYのためなら、僕は何にでもなれます。僕のSTAYへの愛の温度は、炎よりも熱いですよ。皆さんにこれからも僕の熱い愛を送ります。先日、ここでリハーサルをした時、デビュー後、初のコンサートを思い出しました。その時、会場にいらっしゃる皆さんの熱気だけで胸が熱くなり、とても幸せでしたが、今はどうすればいいか分からない位、幸せに溢れすぎています。ここは僕が幼い頃から憧れていた、多くのアーティストが公演をしていた場所です。そのステージを見ながら、たくさんの夢をはぐくんできました。ここで僕が公演出来ていることが本当に光栄で、感激しています。この全てがSTAYのおかげです。次回、また会いに来ます。その時迄、待っていてください。大好きです(サムズアップ)」

リノ 「夢だったドームでの公演が叶って、最初は実感が湧きませんでしたが、今、こうやってSTAYと一緒にいることが出来て、やっと実感できました。夢じゃないですよね? 皆さんのおかげで実現出来た夢なので、これから先もSTAYと一緒に新たな夢を叶えていきたいです。日本に来ると、プリンのことばかりだと思われているかもしれませんが、実は一番楽しみにしているのはSTAYに会うことです。STAYの目はキラキラして、まるで星みたいですよ。めちゃくちゃ綺麗ですね。これからもSTAYを全力で守るリノになります。だから、皆さんも僕たちのそばにいて下さい。約束だよ! みなさんがいるから僕たちがいます!」


STAYのサプライズにメンバーの涙が止まらない

「まだ信じられないですね。今も夢みたいです。本当にSTAYがいなかったら、僕たちはここに立つことが出来ませんでした。いつも僕たちのそばにいてくれて、本当に感謝しています。これからも僕たちがSTAYのそばにいますね。STAYの皆さん、おおきに~~」
バンチャンがチームを代表して、そう話した後は、お待ちかねの記念写真タイム。その準備を進めるべく、8人が客席を背にしてモニターに目をやると、そこにはワールドツアーの日本公演を振り返るフラッシュバック映像がサプライズで流れだす。思わぬプレゼントに見入るメンバーたち。スクリーンの中のSTAYとドームのSTAYが共に「Scars」を大合唱すれば、メンバーの涙がこぼれだす。泣きそうなフィリックス、放心状態のスンミン、涙と鼻水でグシャグシャになるチャンビン……モニター画面には「いつも最高のSOUNDをありがとう」という文字も大きく映し出され、振り返れば、同じメッセージボードが会場中を埋め尽くしていた。さらには会場から「スキズ!」コールも沸き起こり、メンバーの涙が止まらない。泣き崩れて立ち上がれないチャンビンに全員が手を差し伸べ励まし……。その後、円陣を組んで呼吸を整えるが、今度はアイエンが泣き崩れる。ドーム・クラスの愛をプレゼントしてくれたファンにバンチャンが「STAYの声が本当に聞きたかったんです。STAYは僕たちにとって大切な存在です。これからも守ります。いつもありがとうございます」と改めて、感謝。涙声で「本当に幸せ過ぎて、涙が出るみたいです。メンバーの皆、STAYの皆さん、本当にありがとう」と話し、アンコールがリ・スタートだ。

ヒョンジンを先頭に全員がダッシュでセンターステージに向かうが、アイエンが帽子で目を隠していたのは、涙を見せないためか。切なさが滲む歌詞を明るく歌いあげる「Star Lost」で、ハンが「Everybody, Jump!」と煽れば、またもドームが縦に揺れ、ハンはアイエンを“よしよし”。フィリックスの泣きながらのパフォーマンスにファンの涙が連鎖する。そしてフィナーレには、京セラドームというアジトに集まったファンとの思い出を永遠のものとすべく「Haven」をプレゼント。フィリックスは泣きながらも手をフリフリさせてファンに感謝し、他のメンバーもハートマークを贈る。終盤には桜の花を連想させるかのような紙吹雪が舞い、チャンビンとフィリックスがハグ。感動のクライマックスを迎えた後は、ファンサをモリモリにし、メインステージへ。最後はリノが「京セラドーム、叫べ!」とファンの歓声を誘い、それぞれが笑顔で「お疲れ様でした」と口にし、ステージを後にした。


ミラクルな「THE SOUND」合唱はSTAYの愛の証

一度は終わるかに見えたこの日。帰り際、スンミンがリノを呼び止め、何かが起きそうな気配。すると、舞台裏からバンチャンの「待って、待って、待って。名残惜しくない?」との声がダダ漏れで聞こえてくる。そして彼は舞台監督に「もう1曲だけ?」とお願いし、監督から許可が出た様子。ダブル・アンコールに会場は色めき立つ。
猛烈ダッシュで再び現れた8人は「MIROH」をエネルギー・マックスでパフォーマンスし、フロアも踊りまくり。メンバーも涙を吹き飛ばして、200%の笑顔で走り切り、ドームは多幸感に満ち溢れた。ハンがラップすれば、彼の元には仲間のマイクが何本も集まり、彼の歌声が何倍にも増幅されてフロアに届く。終盤はサビが何度も繰り返され、スンミンが倒れこむまでロングトーンを響かせても、またリピ! 感動と興奮がノンストップで何度も押し寄せ、至福のハッピーエンドだ! が、彼らのメッセージはまだまだ止まらない。フィリックスは生の声で感謝し、スンミンは倒れて「ここで寝ちゃう~」と悪戯っ子のよう! ヒョンジンはダブル・ホッペ・ハートを、ラストはリノが「今日、楽しかったら、Make some noise!」とシャウトし、ドームがこの日最大級の歓声に包まれる。さらに、バンチャンを中心にメンバーが打ち合わせを始め、何かアクションを起こそうとした、まさにその瞬間、メンバー、STAYの誰も予期しなかったミラクルが起きる。STAYが自然発生的に「THE SOUND」を大合唱し、歌声が一つになったのだ。そんなサプライズに、フィリックスはまたもウルウル・モードに。偶然にも思える大合唱は、双方向の愛がもたらした必然だった。そして最後はメンバーがマイクを通さず、生の声で「ありがとう」と感謝し、4時間に及ぶ公演が幕締め。帰途に就く誰しもが、「THE SOUND」を口ずさむーそんな余韻たっぷりのコンサートだった。

取材:きむ・たく

(撮影:田中聖太郎)

【公演概要】
Stray Kids 2nd World Tour "MANIAC" ENCORE in JAPAN
日程:2023年2月26日
会場:京セラドーム大阪

【セットリスト】
1. MANIAC
2. VENOM
3. Red Lights
4. Easy
5. ALL IN
6. District 9
7. Back Door
8. Charmer
9. Lonely St.
10. Side Effects
11. Thunderous
12. DOMINO
13. God's Menu
14. CHEESE
15. YAYAYA+ ROCK
16. Waiting For Us
17. Muddy Water
18. THE SOUND
19. CASE 143 -Japanese ver.-
20. Hellevator
21. TOP -Japanese ver.-
22. Victory Song
23. Time Out
24. Fairytale
25. CIRCUS
26. SUPER BOARD
27. FAM
28. Star Lost
29. Haven
30. MIROH (26日公演のみ)

■リリース情報
JAPAN 1st Album『THE SOUND』
2023年2月22日(水)発売

【収録曲】
1. THE SOUND
2. Battle Ground
3. Lost Me
4. DLMLU
5. Novel
6. CASE 143 -Japanese ver.-
7. CHILL -Japanese ver.-
8. Scars
9. ソリクン -Japanese ver.-
10. There
11. THE SOUND (Instrumental) ※FC限定盤のみ収録

特設サイト:https://www.straykidsjapan.com/thesound/

記者 : Kstyle編集部