SF9 ユテヤン、ミュージカル「人間の法廷」でアンドロイド役に挑戦“泣いている観客も見えるほど距離が近かった”

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写真=DAERO COMPANY
SF9のユテヤンが、アイデンティティの混乱を感じるアンドロイド役で、ミュージカル俳優としての可能性を見せた。

ミュージカル「人間の法廷」は、22世紀を背景に、持ち主を殺害したアンドロイドロボットが法廷に立つことで繰り広げられる物語を描くSF法廷ドラマだ。「人間に似ているアンドロイドロボットが『意識』を持つようになれば、それは人間なのか、それともやはり機械なのか」という題材を取り扱う。

ユテヤンは、劇中で持ち主を殺害して人間の法廷に立つアンドロイドのアオ役を務めた。最近、Newsenとの取材を行った彼は、「人間の法廷」の脚本をもらって、好奇心と不安の間で悩んだと伝えた。

彼は「悩んだ後、挑戦する方向に気持ちが傾きました。小劇場も初めてでしたし、前作で共演したClick-Bのオ・ジョンヒョクさんも抜擢されて、頼りになりました。練習しながら、ますます没入度が高くなっていきました。公演を見に来た友人たちも、これまではパフォーマンスに魅力があったとすれば、この作品ではアオというキャラクターが本当に切なくて共感できたと言ってくれた。演技とストーリーに集中して、ストーリーを引っ張っていくのが本当に魅力的だと感じました。(出演を決めたことに)後悔は全く無く、楽しくやりました」と感想を述べた。

普段からロボット映画が好きだったというユテヤンは、容易でないロボットキャラクターをこなすために原作を読んで、歩き方から手振り、喋る速度など、細かいところまで研究した。ユテヤンは「他の人物を表現するのも難しいけれど、アンドロイドを演じるのはもっと難しかったです。2時間という時間の中に、大きなストーリーを収めるために努力しながらも、アオが意識が生まれる前と後の差を明確に区別できるように努力しました」とし、「感情が衝突するアオの状態をもっと劇的に表現しようと思いました。例えば、廃棄という単語を聞くと苦しむのですが、それを頭を抱えて跪いて這い回ることで表現しました。演じながら劇に入り込むこともできたので、観客の皆さんもより劇に入り込めると思います」と話した。

ストーリーを紐解いていく主要人物としても不安が多かったというユテヤンは、セリフ1つや共演する俳優によって変わる雰囲気に柔軟に対処できる方法を学んでいった。ユテヤンは「100%満足するのは難しいけれど、毎回異なる雰囲気や楽しさを感じています。相手をどのような眼差しで見て、セリフを言うかによってとらえ方が変わってきます。これまではセリフにだけに集中しましたが、今は相手の目を見ながら、本当に自分が言っていると思いながら演技をしています」と説明した。

続いて「『僕ならどうするのだろうか』とたくさん悩みました。オープンエンディング(見た人それぞれが自由に解釈する事が出来る終り方)だと思いましたし、その糸口をまだ探しています。この作品は『もしあなたがこの状況に置かれているとしたら、どんな選択をしましたか?』という質問を投げかけています。アオ役をしたからといって、無条件的にロボットの味方をするのではなく、客観的な視点でストーリーを眺めようとしました」と付け加えた。

アオというキャラクターに深く近づいていくほど、俳優としても大きく成長したという。ユテヤンは「曲の音域がもっと高くなりましたし、出演部分も増えて、2時間、体調を維持する要領を身につけました。この作品を通じて一段階跳躍したと思っています。自主的に劇を引っ張っていかなければならないキャラクターであり、とにかく上手にやり遂げなければならないと思いました」と答えた。

観客の眼差しがすぐ目の前にある環境に、プレッシャーも大きいが、「人間の法廷」を通じて小劇場の魅力も知ったと語った彼は、「観客の皆さんの表情と反応がそのまま見えました。観客が涙を流すのも見えます。演技中に頭を上げると、目の前にいらっしゃるのです。一瞬、現実のユテヤンに戻る時があります。没入するためには、ちょっと目の焦点をぼやかした状態でやります(笑)」とし、「ミスを全くしないとは言い切れませんが、なるべくしないように努力しています。眼差しが変わるのも全部見えてしまうので、細かい部分にも気を遣わなければいけません」と伝えた。

ユテヤンは、好評も批判も、観客の感想をすべて謙虚に受け入れた。彼は「悲しみを表現するシーンでは、観客の皆さんも涙を流して共感してくださると思っていました。でも、むしろ別のシーンで涙を流したという感想がありました。このように異なる部分でも感情を共有をすることができ、悲しみを感じることができるのだと思いました」と説明した。

そして、「エンディングで、『結局、ここは人間の法廷だったんですね』というセリフがあります。一つのセリフでも、観客の皆さんがそれぞれ違うように受け取っていました。自分も演技しながら、結末が決まっていない作品だと感じていましたし、ストーリーが終わってから新たに始まる何かがあると思いました。なので、観客の皆さんがどのように受け止めたとしても、それはすべて正解だと思います」と話した。

現在、次回作を検討中だというユテヤンは、ミュージカル俳優として着実に活動を続けていく予定だ。「人間の法廷」が自身にとってチャンスだったと明かした彼は、「作品の評価とは関係なく、これを一緒に作ってステージで披露したということにプライドを感じました。新しいことを探して挑戦することに対する拒否感がすごく減りましたし、自分自身に対する信頼が生まれました」と、満足げに語った。

記者 : イ・ハナ