パク・ウンビン「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」の大ヒットに怖さも“何度も出演断った…やり遂げられる自信なかった”

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写真=NAMOO ACTORS
ENAチャンネルの水木ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」が、シンドロームを巻き起こし、惜しまれながらも最終回を迎えた。

第1話で0%台の視聴率でスタートした今作は、あっという間に地上波と総合編成チャンネル、ケーブルドラマを抑えて水木ドラマ1位を獲得した。最終話では最高視聴率17%台を突破し、驚くべき視聴率の推移を見せた。

主人公ウ・ヨンウ役を熱演したパク・ウンビンは、8月22日に行われたインタビューで「個人的には変わらないまま生きていると思いますが、サインをしてほしいというお願いが増えました。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を老若男女の多くの方々が見てくださったことを実感する時が多いです。全ての年齢層を網羅して、家族で一緒に視聴してくださったという話をたくさん聞きました。いろいろな意味で全ての年齢層が見やすく、刺激的な部分が少なかったようで、幸いに感じています」と感想を語った。

放送界でも話題を集めた視聴率の推移に対して、彼女は「怖くもありました。作品性においては、精魂を込めて作った作品ではありますが、大衆の方々がどのように評価してくださるかは、文字通り未知数だった作品だと思います。ですので視聴率はもっぱら放送された後の大衆によるものだと思い、何の期待もしていなかったんです」と振り返った。

また「思っていた以上に序盤から爆発的な反響を寄せてくださって、女優としては少し怖かったです」とし、笑顔を浮かべた。

続いて「チャンネル(ENA)側でも、そもそも視聴率の話はしなかったのですが、内部的にはやはり新生チャンネルであるため、『このチャンネルを知らせ、3%程度でもすごいことだと思った』と聞きました。それをはるかに上回る推移と共に、多くの方々が声援を送ってくださったのが体感できて、心が重かったんです」と明らかにした。

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彼女が考える今作のヒットの要因は何だろうか。

パク・ウンビンは「さまざまな要因があると思います。ありがたいことに、たくさんの記者の方々が良い記事を書いてくださって、時には現実を叱ってくださる記者の方々も多かったです。たくさんの意見を出してくださいました」と話した。

「ただ、女優としては、ウ・ヨンウという人物が人々の注目を集めて、応援したい存在になったことで、果たしてウ・ヨンウという人がどのように世の中に向き合っていて、どのような過程で進んでいくのかを、目撃したかったのだと思います。自閉スペクトラム症という特徴を持っていて、ウ・ヨンウの視点で物語が展開されますが、ウ・ヨンウが見る世の中や向き合う世界を、1つの事例として受け止めてくださったのではないかと思いました」と語った。

また、「エピソード形式なので、毎週内容ががらりと変わるところが長所でもありますし、毎回新しく注目を集めなければならないという点が短所でもありました。だからこのドラマを引き続き見てもらうためには、ウ・ヨンウ役を務めた私が上手にやり遂げなければならないと思いました」とし、主役としてのプレッシャーを打ち明けた。

続いて「最終話で話したように、『変で変わっているけれど、価値があって美しい人生だ』ということを伝えるために、ウ・ヨンウを愛してほしいと思いました。私の1番の課題は、視聴者の方々をウ・ヨンウの味方にするということでした。多くの方々に見ていただいたので様々な反応があると思いますが、ウ・ヨンウという人物を通じて、自閉スペクトラム症を少しでも理解しようとしていただくことで、キャラクターに意味があると思いました」と話した。
 

容易ではないキャラクター「偽善でこの役に接したくない」

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今作では、自閉スペクトラム症を持つ天才新入弁護士ウ・ヨンウが、大手法律事務所のハンバダで様々な事件を解決しながら、真の弁護士に成長するストーリーを描いた。

パク・ウンビンは、自閉スペクトラム症という容易ではない設定のキャラクターに出会い、女優歴27年ならではの実力をしっかりと見せた。自身だけの世界に閉じ込められ、時には理解できない行動をするウ・ヨンウをリアルに描き、彼女の痛みと喜びを表現した。

しかし、彼女が今作への出演を決めることは容易ではなかった。障がいを持つキャラクターを演じることは、ややもすれば偏見を生んだり、誰かの心を傷つける恐れもあるからだ。そのため何度も出演を断ったという。

彼女は「真っ先に非難と批判を受けるのが女優だと思いました。台本を見ながら、これは話として成立し、良い作品になると思いましたが、女優としてその地位と演技をやり遂げられるのか、自信がなかったんです。私が偏見や先入観を持ってむやみに接近してはいけない人物だと思いました。なのでとても難しかった作品です」と打ち明けた。

また「なぜ私をあれほど信じてくださったのか分からないです」と笑った。それから「そのような部分に躊躇していたので、監督や脚本家さんに会って率直に申し上げました。『うまくできるか分からない』『偽善でこの役に接したくない』と話しました」と伝えた。

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彼女は「先ほど申し上げた話を含めて、『私が慎重を期する姿がこのドラマで必ず必要な作業だ』と仰ってくださいました。私を信じてくださって、誰かが必ずやらなければならない話なら、私が期待に応えるためにもっと努力して、この作品に接したいと決心しました。その過程は容易ではなかったです」と語った。

続けて「誰も傷つけたくない気持ちが大きかったと思います。『ウ・ヨンウ』という作品が、ウ・ヨンウという人物が、自閉スペクトラム症を持つ人の代表ではなく、代弁する人物でもないと思いました。それならウ・ヨンウを除く多くの人々を包容できる作品なのか、そんなキャラクターなのか、傷つけないキャラクターになれるだろうかと、私も進んだことがない道だったので、自ら確信を得るまで厳しい時間を過ごしました」と振り返った。

大学時代、高校と連携して自閉スペクトラム症のある学生と体験学習をしたことがあるという彼女は「あの子は絵が大好きだったことを覚えています。最初は私が話しかけても全く反応がなくて、どうすればこの子とコミュニケーションができるだろうかと当惑しました。私は(障がいに関する)教育を受けたことがなく、コミュニケーション方法が全く分からなかったので、教養選択科目として『特殊教育と障がいの理解』という授業を受けました」と明かした。

また「もっと幼い頃を振り返ってみると、小学生の時、同じクラスに発達障害の子がいました。その子のお母さんが記憶に残っています。私が学級委員長だったので、体育の時間や美術の時間にお母さんに知らせました。本人より体がずっと大きい息子を連れていく切ない姿がいつも心の中に残っていました。彼らに連絡できず、短い時間でしたが、その後の人生はどうだったのだろうかと思ったりしました。今回の作品を撮りながら、個人的にその親子がウ・ヨンウを見てくれているだろうかと思いました」と話した。

続けて「特殊教育と障がいの理解という科目を受講したのは、どう接するべきか分からなかったので、学びたかったんです。教授も耳が不自由な方でしたが、『障がいを障がいだと見ないで、より多様な才能を持った人と見てほしい』と仰いました。足りない面があるだけに、もっと開かれた感覚があるので、人の可能性を勝手に判断しないでほしいという意味だと記憶しています。幼年時代、青少年時代に学習した態度というか、そのような気持ちが、ウ・ヨンウを演じる時に役立ちました」と、慎重な態度を見せた。

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自閉スペクトラム症のキャラクターを演じるパク・ウンビンの誠実な態度は好評を得た。

彼女は「時間が十分だったらもっとたくさんの方々に会い、たくさんのことを体験できたらさらに良かったと思いますが、『恋慕』を終えて『ウ・ヨンウ』の準備期間が2週間ほどしかなかったんです」と話した。

彼は「私ができる最大限のことは、回り道をするよりもウ・ヨンウというキャラクターを独自に、固有性があるものとして正面突破することだと思いました。そのため、自閉スペクトラム症の方々や映像を通じて模倣するという道を最優先に排除しました。その方々を絶対に手段とみなして演じてはならないという女優としての道義的責任が感じられました。その部分に最も気を配ったと思います」と話した。

続いて「『ウ・ヨンウ』の世界観の中で、ウ・ヨンウという人物が存在すると考え、人物自体に焦点を当てて見ていただくことを切に願っていました。人に焦点を当てると、ウ・ヨンウが持っている特性だけでなく、ドラマに出てくる数多くの不思議な人々の特性を、ある面から一緒に比較しながら見ることができるのではないか、また1人の人間の個性として見ていただければどうだろうかとアプローチをしました」と説明した。
 

2人のロマンス「ウ・ヨンウが見せた愛を感じていただきたい」

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ウ・ヨンウとイ・ジュノ(カン・テオ)のロマンスも、同様の脈絡でアプローチしていった。

パク・ウンビンは「ウ・ヨンウというキャラクターを通じて届けたいメッセージを伝えることが創作者たちの自由だとすれば、ヨンウとジュノの愛を通じても、このような愛が可能であることを示すことができたと思います。ある人は理想郷だと言うかもしれないですし、またある人は非現実的な希望だととらえるかもしれませんが、心からお互いに関心を持って理解し、包み込める時代が広がったら、ウ・ヨンウが見せた愛がいつ、どこでも存在することができるということを感じていただきたいです」という願いを慎重に伝えた。

彼女が選んだ最も好きなエピソードは、最終回に出てきたイッカクの物語だ。パク・ウンビンはこの話がドラマの全体的なメッセージを網羅すると解釈した。

彼女は「この広い世界で泳いでいるシロクジラの群れの中で、自分がイッカクであることを認め、イッカクとしての人生が寂しかったり孤独ではなく、これが私の人生だから大丈夫だと言うウ・ヨンウの姿が不思議で風変りに見えますが、価値があって美しいということを正面から見せてくれるシーンでした。全体から一番好きなシーンを選ぶなら、イッカクのシーンが良いです」と答えた。

続いて「ヨンウの一日として考えると、とても大変な一日でした。慣れない状況、見知らぬ人に会う時に緊張度が最高潮に高まって大変ですが、ヨンウが自ら考えた時に不合理な状況を法律事務所の陰に隠さずに自らやってみる、説得してみると勇気を出して話す流れから、ヨンウにとって慣れなくて怖いところに行って気持ちを話し、母を説得しようとします。しかし最後まで振り返ってくれない母を見て、感情の滝が押し寄せる感じがしました。撮影する時、女優としてプレッシャーがありましたが、このシーンを私がうまくこなしてこそ、このドラマ16部作をひっくるめて、ヨンウが成長したところを見せることができるだろうと思い、すごく集中したシーンです」と説明した。

劇中ウ・ヨンウは、相手の目を見ることがうまくできないキャラクターだ。俳優たちがアクションやリアクションをやりとりする時、目を見て感情の交流をすることは非常に重要だが、ウ・ヨンウの特性上、これは不可能だった。

パク・ウンビンは、「最初に諮問教授が、ヨンウのスイッチが逆に回ると話してくれました。全ての反応様式が、私たちが普通と考えていた、または一般的に生きる様式とは正反対にすればよいと言われました。しかしヨンウが共感能力がなかったり、世の中について無関心で反応のない人だとは感じませんでした。反応のメカニズムが違うだけで、自分だけの世界で一生懸命に動く人間だと感じたため、ヨンウなりの反応を探しました」と話した。

続いて「目を合わせることをできるだけ避けたので、最初は私もセリフとボディランゲージをするのに慣れない感じで、目に合わさずに代謝するセリフを言う相手俳優たちも大変だったと思います。そういった部分は難しかったですが、ヨンウに集中して、適応できたのでその後からは楽になってきました」と明かした。それでも「劇中グラミ(チュ・ヒョニョン)が相手の眉間を見なさいと言って、眉間までではなくても肩のあたりを見たのですが、後ろに行けば行くほど画面上、目を見たように見えたことがあって、私が考えもできなかった部分だと思って反省もしました」と打ち明けた。
 

主演女優に成長「恋慕」から「ウ・ヨンウ」へ

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同作でシンドロームを巻き起こすまで、パク・ウンビンは数多くの作品に出演し、主演女優に成長した。彼女は「自信を持って話すことができるのは、私は着実にやってきたということです。2015年、(大学で)複数専攻を決心した年を除いて、96年度にデビューしてから1年も休んだことがなかったということが、自尊心と呼んでもいいのでしょうか……。休まずにずっと、さまざまな役を経験してきました。多くの作品を通じて学習をしてきたのだと考えました」と話した。

また、「真面目にやっていましたし、忍耐力が強かったのだと思います。いつか演技をしながら傷つく日が来たら、いつでも辞めて振り払うことができるよう、未練を持たないようにしていたことも、むしろ仕事が長くできる力になったと思います。そのようにして作品一つひとつに最善を尽くして生きていたら、こんな日も来ましたね」と笑った。

大学で心理学と新聞放送学を複数専攻した彼女は「幼い時から演技をしているので、人間に対して理解したいという気持ちが大きかったようです。他人を離れて私についても知りたいことが多かったんです。心理学は実際、すごく役に立ちました。学校生活を熱心にしなければと決めた瞬間、単一専攻で終わるには惜しいと思って、新聞放送学科も専攻しました。実際に学校で得た時間が、演技人生の以前、以後に分けることができるほど、個人的にたくさん役だった時期でした。自分についてより知ることができました。いつもキャラクターを通じて私に対峙していたとしたら、大学時代には私に直面する時間を持つことができたので、私という人とキャラクターを区別できるようになり、より健康的な自我を持つことができるようになりました」と話した。

毎年一生懸命走ってきたパク・ウンビンは、疲れてしまった瞬間について聞くと「今です」と笑った。彼女は「体力はある方だと自負しています。演技にエネルギーを注ぐため、選択・集中をする方ですが、前作の『恋慕』も渾身の力を尽くした作品だったので、既に力を使い尽くした状態で終わっていたんです。最善を尽くして仕上げた20部作でしたが、充電する時間がなく、心理的なプレッシャーがかなり大きかった『ウ・ヨンウ』に向き合いました。ウ・ヨンウと一緒に毎日試験を受けているようだった7ヶ月を過ごし、休みが必要だと思いました」と打ち明けた。

続いて「まだ休憩らしい休憩を取れずにいるので、一連のスケジュールが終わったら個人的に再充電の時間を作りながら、次回作を検討したいです。私はじっとしているのが好きなんです。“空の時間”がようやく休息になると思います。自分を空にできる時間が好きです」と話した。
 

シーズン2に言及「期待に応えるには、それ以上の決心が必要」

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今作でパク・ウンビンの膨大なセリフの量と伝達力も話題を集めた。量が多いだけでなく、使う用語も専門的で、容易ではなかったはずだ。

パク・ウンビンは「自分なりにセリフはうまく覚えられる方だと自負していたにもかかわらず、かなり難しかったです。1話でセリフが多かったのですが、作家さん、監督、教授の皆さんが半信半疑だったと思います。私たちが考えて合意したウ・ヨンウのトーンでこの膨大なセリフをどうやって伝えることができるのかということについて、すごく心配してくれたようです。結局は私一人でやらなければならないことでした。ともかくやっていったら、少しづつできるねと思い始めたのですが、その後さらにセリフは増えたと思います。いろいろな面で簡単ではありませんでしたね」と笑った。

別名「優しいドラマ」と呼ばれる作品を終えた彼女は「刺激の程度を作品選択の基準にすることはないですが、悪い影響力よりは良い影響力を及ぼすことができる方をより考えます。メディアを通じてお見せできる人間として、倫理的な責任があると考えています。『私は高い道徳性を持っている人間です』とは言えませんが、それでも私がしようとする話が誰かにとって助けになり、誰かにとっては生涯記憶に残るドラマだと言っていただけるほどの、ある人の人生に良い影響を与える作品に心が惹かれると思います」と話した。

シーズン2についての話が出ている中、パク・ウンビンは「シーズン2については、具体的に伝えられていることは全くないですし、記事を通じて知りました」と話した。

彼女は「私がこの作品をやろうと決死するまで、いろいろな悩みがあったように、その期待に応えるほどの後続作を披露することは、それ以上の決心が必要になると思います。正直な心情として、私は『ウ・ヨンウ』を最大限愛しながら包んでいる状態ですが、『その包装を再び開けてまた別の姿で誰かにプレゼントしてください』と言われれば、『どのようにすることができるだろうか』とさらにたくさん悩まなければならないと思います。今私の心の中では、ヨンウが今後『胸がいっぱいになる』感覚をしっかりと感じ、より良い弁護士へと向かう道を歩くと思っていますが、その想像が私にとっては幸せなことです」と慎重な立場を伝えた。

パク・ウンビンは「私にとって『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』は挑戦の恐れに立ち向かうことができるようにしてくれた作品だと思います。ヨンウから学んだことがたくさんあるんです。ヨンウが私より美しいと思います。ヨンウは大人の重みを知っている人であり、自身の影響力を知っている人で、その影響力を良いところに使おうとする、力になりたいと思う人です。さまざまな面でヨンウのたくましい勇気が私にいろいろなことを教えてくれた気がします。ヨンウが慣れない環境の中でもそれを乗り越えてやると言ったことも、私に教えてくれた魔法の呪文のようです。今後何かを選択するにあたって、縮こまってしまうような困難がやってきた時、ヨンウを思い浮かべると思います」と語った。

記者 : イ・ミンジ