元4Minute ソン・ジヒョン「たくさん学びながら、器の大きな人間になりたい」

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女優ソン・ジヒョンは、第二の人生を歩んでいる。2009年、4Minuteのメンバーとして芸能界に足を踏み入れた彼女は、2016年にグループが解散した後、女優に転向した。名前も変えた。母親の姓である“ソン”をつけた。デビュー10周年目を迎えたが、ソン・ジヒョンは再び新人になったと感じる。

“私は苦労が好きです! 何でもやらせてください!”

TV朝鮮「大君-愛を描く」(以下「不滅の恋人」)は、ソン・ジヒョンが名前を変えてから初めて参加した作品だ。ソン・ジヒョンはイ・フィ(ユン・シユン)の護衛武士であるル・シゲを演じた。彼女は、自身と相反するル・シゲの性格に惹かれたと言う。「私はあまり怒らない性格だけれど、感情に忠実なル・シゲを演じながら治癒された」と話した。ル・シゲの粘り強い生命力も、ソン・ジヒョンの心を掴んだ。「(ル・シゲは)誰の世話にもならなかった子です。とても可哀想と思うと同時に、心に響きました」

ソン・ジヒョンは、ル・シゲを演じるために3ヶ月間アクションスクールに通った。「刀を2~3回振り回しただけでも腕の力がなくなるんです」と話した。体力増進のためにボクシングスクールにも通った。「不滅の恋人」を演出したキム・ジョンミン監督に会った日、ソン・ジヒョンは「たくさん苦労するだろう」と言うキム監督の言葉に「私は苦労が好きです。何でもやらせてください」と答える大胆さを見せたりもした。

「私の意欲が溢れて見えたみたいです。実際それが否定的に見えることもあるけれど、本心が伝わったんだと思います。私は何でも上手く出来ると言ったんです。ハハハ。私のオーディションの映像を作家と共有されて、『一度任せてみよう』と話されたと言っていました。一緒に演じた主演俳優たちも皆いい人達で、私のことをよくお世話してくれました。私は人に恵まれているんだと思います(笑)」

ユン・シユンは、ソン・ジヒョンと一番長い時間を一緒に過ごし、彼女に骨のあるアドバイスをしてくれた。アイドル出身女優として見られる気後れした姿が、彼女にも見えると言いながら、「ただ自分自身を信じて演技すればいい」と言ってくれたそうだ。ソン・ジヒョンは「私も知らなかった自分の気持ちを、シユンさんが分かってくれた」と話し、「私に一番必要だった言葉」だと話した。

所属事務所のアーティストカンパニーの理事である俳優チョン・ウソンもまた、ソン・ジヒョンに貴重なアドバイスをしてくれる先輩だ。ソン・ジヒョンは「自分を振り返ることの出来る質問をたくさんされる」と話し、「『最近の悩みは何?』『どう過ごしてる?』などの簡単な質問1つにも、演技を真剣に考えさせてくださる」と話した。おかげでソン・ジヒョンは、昔よりずっと重大な責任感を持って演技に対することができるようになった。

「今までオーディションで100回以上落ちたと思います。そうしてとても強くなりました。自尊心が傷つかないかですって? 全くです。歌手としての経歴は、今の仕事とは完全に違いますよね。それから(4Minute解散後)1年間休みながら、心が落ち着きました」

“4Minute解散から2年、ソン・ジヒョンが再び戻って来た理由”

4Minuteが解散してから、ソン・ジヒョンは芸能界を離れようとまで思った。虚無感のためだ。「一生を全て捧げてきた仕事が無くなれば、誰でも虚無感を感じるのではないでしょうか。逃げたかったんだと思います」。しかし、普通の人として生きて行く自身の姿を思い浮かべると、後悔が残りそうだと思ったという。自身が挑戦したことのなかった仕事を渇望しそうだという予感もあった。ソン・ジヒョンが2番目の人生を準備することになった理由だ。

最近もカラオケに行けば、基本3時間は超える位、ダンスと歌に対する愛情は熱い。しかし、当分は趣味としてだけ楽しむ予定だという。インタビューの度に4Minuteについての質問を受け続けたという彼女は、もしかしてメンバー達に害が及ぶのではないかと、慎重な様子だった。それよりも、これから進むべき道についての話がしたいと意欲的な姿を見せてくれた。

「若い頃はただダンスが好きでした。一生ダンスを踊っていれば幸せだと思って、芸能界活動を始めました。でもそれが仕事になると、我慢しなきゃいけない事が出てきたんです。私は練習生期間も短い上に、社会生活が初めてだったので、傷付くことがありました。私が不足しているせいで傷ついた人たちもいると思います。若かったと思います、当時は。弱かったですし。振り返ってみると申し訳ないですね」

少し前に会った中学時代の同窓生は、彼女に「成熟した」と言ってくれたという。「幼い頃は自分が好きな事だけ追いかけていた子供だったけれど、今は中道を守る方法を学びました」。変化は些細な所から発見される。小さい頃“クァンジョン”(関心を引きたがる人)だったという彼女は、最近他の人の話に耳を傾け、立場を変えて考える方法を学び始めた。ソン・ジヒョンは「私が出会ってきた全ての縁が、今の自分を作ってくれたと思う」と話し、「家族はもちろん友人、会社の同僚、4Minuteのメンバー皆、私にたくさんの事を感じさせてくれたし、学ばせてくれた」と話した。

ソン・ジヒョンは「私は思ったより強い人間」だと話した。崩れそうになる時があったけれど、その時ごとにいつも耐え抜いた。心があまりにも疲れてしまった時には、弟に吐露する。特別なアドバイスをくれる訳ではないけれど、弟には自身の悩みを軽くしてくれる才能があるという。ソン・ジヒョンは「弟が、インタビューの時に自分の話はしないで欲しいと言ってたけど……」と言いながら笑った。

「練習生の頃から、危機的な瞬間はいつもありました。ただ、たくさんぶち当たって壊れながら、私がどう出て行くべきなのか、その方法が分かりました。今どうすれば自分の心が楽になるなのか分かりました。経験をたくさん積んだ上に、一度それを下ろす経験をしたからか、私にとって何が重要で何が重要ではないかが分かったんだと思います。私がする仕事に集中して、自分に対する確信を得たいと思います」

“器の大きな人になりたいです”

最近のソン・ジヒョンに必要なのは、偏見のない視線だ。「アイドル出身女優」というレッテルが、未だに否定的なニュアンスで読み取られるからだ。しかしソン・ジヒョンは、それを恨みはしない。むしろ当然の視線だと考える。ソン・ジヒョンは、人々の偏見に気後れする代わりに「自分の行く道を最後まで行けば、誰かは私を分かってくれる」と信じることにした。

「焦燥感はいつもあります。それを鎮めようと努力します。焦燥感が私に肯定的に適用する時もあるけれど、度を過ぎると比叡的になりますよね。中間をよく守りたいです。適当な欲と忍耐心を持って、私に合うキャラクターに出会う時まで努力するのがベストだと思います」

ソン・ジヒョンは演技が好きだ。自身の中にあるものを吐き出したい彼女にとって、演技はいつも興味深い。ソン・ジヒョンは「様々な環境に出会ったり、多様な人物を作り出す過程で自ら治癒される」と話した。保守的な家庭で育ったが、内面には挑戦と自由に対する欲求が揺らぐ。彼女は「アクションや法廷系のようなジャンルもやってみたい」と話し、目を輝かせた。

長所をあげて欲しいと言うと、「努力すれば成長する。才能が全くない訳ではないと思う」と話し、笑った。「大君-愛を描く」は、彼女にたくさんの勇気を吹き込んでくれた。演技がより重く感じられる契機だったが、同時に女優としての人生により、大きな期待を吹き込んでくれたりもした。「自分の才能を確認する時間を持ちながら、自らに対する希望が生まれました」

20歳でデビューしたソン・ジヒョンは、来年には30歳となる。30歳を準備する気分は、思ったより淡々としている。ソン・ジヒョンは「お姉さん達に聞いてみると、年齢が変わるだけって言われました」と話した。それでも大人っぽくなりたいという欲はある。「失敗しても可愛く見える年齢ではないと思う」と話し、「年下もたくさんいるので、少し成熟したい」と話した。

「若い頃の私に、余裕を持つように言いたいです。振り返ればいつも不安に感じていた気がします。でも恐らく、話しても理解できないと思います。ハハハ。私はいつもぶつかってみて悟るスタイルなんです。これからもたくさん学んで成長しながら、器の大きい人になりたいです。私が持っているものを人々と分け合うことのできる人にです」

記者 : イ・ウノ、翻訳 : 浅野わかな、写真 : イ・スンヒョン