元INFINITE ホヤ「全て失ってもいいという覚悟で、これからは思うように生きる」

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INFINITE出身のホヤ(本名:イ・ホウォン)が「思うように生きるのではなく、生きるままに考えている」ことに気づいたのは昨年初めのことだった。アメリカ・LAに旅行に行ったイ・ホウォンは、他人の目を気にせず笑って楽しむ人々の姿を見ながら、自分をあまりにも閉じ込めて過ごしてきた過去の日々を振り返った。“他人”よりも“自分”をまず考えることにした。昨年6月、イ・ホウォンは2010年から身を置いてきたグループINFINITEから脱退した。ダンスと歌が好きで高校を中退して以降、もう一度簡単ではない選択をした。恐ろしくもあり、負担にもなったが、思うように生きる第一歩なので耐えることができたという。2018年、イ・ホウォンは最後まで諦めることができなかった2つのことをするつもりだ。自身が作詞・作曲し、振り付けまで完成させた音楽を発表する計画だ。ファンたちと出会う場もたくさん作るという。“失ってもいい”という切実さがイ・ホウォンを再び輝かせた。

――MBC月火ドラマ「トゥー・カップス」にミュージカル「砂時計」まで、とても忙しく過ごされていましたね?

イ・ホウォン:忙しいほうだと思います(笑)。ミュージカルは初めてなのでよりそう感じるのかもしれないですが。他の人たちは余裕で演じられてますが、やはり僕はより緊張します。公演の前日には寝つけずに、寝ようと努力したり。ドラマの撮影で寝れない時があるけれど、そういう時にはあまり話さないようにしています。車の中でも一言も喋らずに。もしかしたら体調が悪くなって、ステージの上で失敗したらと思うと注意深くなります。家のバスルームに温かいお湯を流しておいて、タオル数枚を熱いお湯で絞ってかけて置いたり。今までしていなかったことを沢山するようになりました。

――初めてのミュージカルですが、ドラマと並行するのは大変でしたか?

イ・ホウォン:実はミュージカルへの出演を最初に決めて、ドラマは考慮しようと思っていました。何かをする時は1つのことに集中するのが好きなタイプでもあったし。でも、実はMBC「自己発光オフィス」、SBS「超人ファミリー」を最後にドラマはできないかもしれない、最後だと思っていました。舞台もやはり立つことができないと思ったし。芸能人として続けていくのか悩んでいたのですが、良い機会がやって来ました。だからか1つに集中したいという思いより、機会をくださったことに対する感謝のほうが大きかったんです。二度とできないと思っていたことだったので。体が大変でも、もう一度やってみようと決心しました。もう一度最初から始めようという気持ちでした。

――体力管理が重要ですね?

イ・ホウォン:放送が始まって、ミュージカルの練習をしながら口内炎ができました。今は大分よくなりました。「トゥー・カップス」の撮影をしながらミュージカルの練習をする時には、毎日が戦争のような気分でした。僕1人で無駄に人の目を気にしたり、できなければ悪く見られるという思いで張り詰めて緊張した状態でした。ドラマの撮影現場でも同様でした。演技、歌を頑張らなければならないというのもあったけれど、人々によく見てもらわなければならないという思いが大きかったです。そして、新しい事務所に入ったので適応する時間も必要でした。

――色んなミュージカル作品の中で、「砂時計」を選んだ理由は何ですか?

イ・ホウォン:ミュージカルはたくさん観るほうではありませんでした。たまにミュージカルを観覧する時には「自分にもできる」という思いで観ていたけれど、やはりダンスが重要なテーマになる作品に出演してみたかったです。何度かミュージカル出演の提案を受けても、心の準備ができておらず、気軽にやってみるとは言えませんでした。今回の「砂時計」は創作ミュージカルな上に、韓国のストーリーなので意味もあるし、どこかプレッシャーなく上手くできそうだと感じました。歌も少しポップな雰囲気があったので楽に歌って聴けると思い選びました。

――アクションシーンがたくさんありますね。躍動的なダンスを踊りながら歌うのは簡単ではなかったと思いますが?

イ・ホウォン:武術のシーンが多くて大変でしたが、むしろ呼吸が上がって声が楽に出る面もあります。小さい頃から色んなスポーツを習っていました。体が弱いほうだったので父が運動をしなければならないと言ってテコンドーから剣道、柔道も習いました。おかげで運動神経が良くなりました。中学の時にはアクション俳優を夢見たこともあります。

――ドラマ「砂時計」はご覧になりましたか? 原作のイ・ジョンジェの役でしたが、プレッシャーは感じませんでしたか?

イ・ホウォン:ドラマと本もすベて見ました。オリジナルの台本集も見ました。「砂時計」のチョ・グァンファ演出家にたくさんのことを学びました。学校に通っていた時のようです。自分に言っている言葉ではなかったとしても、他の俳優たちと話しているのを聞きながらも学びました。そのように学んだことが「トゥー・カップス」の撮影現場でも使うことができました。原作があるというのは、イメージが決まっていますね。初めはわざとドラマを見ませんでした。台本を見て、台本集を見て、ドラマは練習時間が終わった後に見ました。見たかったけれど残像が残って、自分も知らずに真似してしまうかもしれないという考えで、自分のものを作った状態で見ました。私が考えていたものとは違う部分がたくさんありました。学ぶ部分はしっかりと学び、そこにミュージカルとして解釈すべき部分はしっかりと入れました。

――今回確実に学んだことはありますか?

イ・ホウォン:演技をしっかりと学んでスタートした訳ではありません。今まで1人で考えて決定してきました。台詞を話しながら、動きがあれば計算して動くのか、その瞬間の感情で動くのか気になっていました。計算してやっていましたが、ある瞬間「あまりにも計算した通りに演じると噓っぽいのではないか」という考えになりました。だから計算せずにやってみることにしました。今回学んだことはステージの演技なので、小さいこと1つでも全て約束されていなければならないんです。計算しておいたからと言って、それが嘘の演技ではなく、決まった状態でも本物の感情を込めて演じる先輩方を見ながら、確信を持ちました。

――同じ役を演じたキム・サンホさん、Highlight ソン・ドンウンさんにも頼りましたか?

イ・ホウォン:Highlightのソン・ドンウン、キム・サンホさんとは1ヶ月半の間、一緒に食事しながら練習しました。それぞれ考えていることを話し、研究してきたことを議論しました。特にサンホさんにはたくさん学びました。ミュージカルが初めての僕に同僚とはどのように過ごすべきなのか、マイクをつける方法など沢山教えてくれました。感謝ですね。

――「超人ファミリー」と「自己発光オフィス」、今回の「砂時計」まで青年たちのストーリーという共通点があります。特別に愛着を持っていますか?

イ・ホウォン:よく考えるタイプですが、社会問題について悩むようになったと思います。20代前半では自分の夢や進路について考えたならば、これからは視野が広がってそのような問題がなぜ生じたのかについて悩みます。就活生、社会人1年生の話は友人によく聞いています。僕が音楽番組に出演し、早朝5時から待機しなければいけなくて辛かった時、友人たちは就職するのが大変で少ない月給や上司についての不満を吐露したりします。

――友人たちとは全く違う生活を送られてきましたが、新たな挑戦をすることにした理由は何かありますか?

イ・ホウォン:実際デビューしてから仕事に対する満足度はとても高いほうでした。高校を中退しても後悔したことは一度もありません。たまに「勿体なくないか?」と聞かれたりもしますが、勿体ないと言わなきゃいけない雰囲気だったから「そうだ」と言ったこともあったけれど、実際は違いました。学生時代の思い出を捨てて、得たものがあったからです。でも2年前からふと悔しい気持ちになりました。友人たちの平凡な話が突然羨ましくなったのです。それまではそんなことをしなくても自分がやりたい仕事をしながらファンたちと疎通できればいいと思っていたけど、考えが変わりました。寝ずに仕事をしながら得たことも多いけれど、「こんな風に生きなければいけないのかな?」という思いになることもありました。言われたことをやることに慣れてしまったんだと思います。自らすべき決定もいつの間にか誰かの意のままに決められ流れるようになりました。だんだん自分がなくなっていく感じがしました。高校を辞める時は僕は両親の話も聞かずに自ら決定するような人だったのに、ある瞬間変わってしまった自分を発見しました。その時から悩み始めました。

――突然さまざまな考えが一度に襲ってきたんですね?

イ・ホウォン:音楽がとても好きなので、音楽をしているということだけでも嬉しかったです。好きな音楽はR&Bジャンルです。もっと後悔する前にやりたいことをすべきだと思いました。流されて本当にやりたいことを逃しているのではないか、思ったように生きるのではなく、生きるがままに考えているようで怖かったんです。

――その悩みと選択から芸能生活を諦めようという決心までされたんですか?

イ・ホウォン:芸能生活をしながら、ダンスをして歌うのは本当に楽しいけど、そのためにはストレスに打ち勝たなければなりません。お金を稼ぐ仕事なのでいろんな関係が絡まっています。純粋に歌って踊りたいのに。友達とダンススクールを作ろうという話もしていました。結局やらないことになりましたが、そんな考えを真剣にしていた時は、ダンサーをしながら歌、演技はできないかもしれないという覚悟までしていましたから。その時に1人で結論を出したのは、演技はもう二度とできなくても良いというものでした。辞める気持ちの整理をしました。でも音楽は諦められなかったんです。10年以上夢見てきたし、そのために今までやってきたのにやらずに終わるのは話にならないと思いました。人生一度きりなのに、誰かに悪態をつかれないか、悪く見られないか、と考えながら後悔してしまうようで、失敗しても自分が本当に好きな音楽をやってみようと決心しました。

――沢山考えて悩まれたんですね?

イ・ホウォン:歌手のEric Namさんとよく会うのですが、Eric Namさんにノートに1番大事なことと絶対に諦められないことを書いてみるように言われたんです。家で1日中書いてみたのですが、実際少し整理されました。諦められないのはやりたかった歌、今まで僕を好きでいてくれたファンたちだと書きました。やりたい歌をしながら、ファンたちのために活動しようと思いました。1人で曲を作って発表するやり方もしようかと考えましたが、良い機会があって今の会社に入ることになりました。

――音楽がやりたかったのに、俳優ばかりが所属する会社に新たに所属するとは意外でした。

イ・ホウォン:それなりに大きな音楽事務所からも連絡が来ていました。悩みましたが、そこに行って音楽を作るのは簡単だけれど、音楽の専門家たちがいるはずだから、また前と似たような状況になりそうだったんです。単純に考えて本当にやりたい音楽をするために、歌手の会社ではない俳優たちが沢山所属する事務所を選択しました。今の会社の代表から連絡をもらった時、なぜ自分に関心を持ってくれるのかよく分かりませんでした。話をしながら、僕を「俳優のチャン・グクヨンのように育てたい」とおっしゃったんです。歌手と俳優活動全てやってもらいたいと。様々な分野で成長できると見てくださったようで感謝でした。やりたい音楽もしながら、ファンたちと会う機会も沢山あったらいいと話したら、快く分かったと言ってくださり、一緒に仕事をしています。こういう事情を知らなければ俳優だけがいる会社に行ったので俳優として転向するのかと尋ねる人も多いかもしれません。はっきりしているのは音楽を続けるということです。周りから色々言われて傷つきましたが、代表が「見せればいいんだ」と慰めてくれたので力が出ました。今年の上半期には僕が直接作った音楽を発表します。本当にやりたいことをするのは10倍は大変ですね。

――「ホヤ」から「イ・ホウォン」として暮らす満足感が感じられますね。

イ・ホウォン:変わったのはこれからは顔を隠さずに歩き回れるという事実です。帽子、マスクなしにです。前は何というか、あまり露出してはいけないという考えを持っていました。「はい、イ・ホウォンです」と話し、挨拶もしてより楽になりました。昔はいろんな想像をしました。もしかしたら悪い噂が立つのではないかと。今はそのような考えは捨てたので本当に良かったです。ずっとそのように暮らしていたら精神的に辛かったと思います。もう一度始めようという気持ちで全て無くなってもいいという決意までしたので、些細なことにも感謝できます。

――ミュージカルは続ける計画ですか?

イ・ホウォン:実際始めた時は愛着はなく、プレッシャーでいっぱいでしたが、練習をしながら深みのあるジャンルだということを知りました。歌と演技、ダンスを全て詳しく分析し、深みを加えて表現するということを知り、続けてみたいという思いになりました。会社でもミュージカルをまたやってみたいと言ったくらいです。やりがいのある大きなジャンルで自ら解いてみたいという欲求も生まれました。コンサートをすれば元々自分を好きな人たちだけ来ますが、ミュージカルはもっとより多様な人々に自分を知ってもらうことができます。僕について1秒でも考える時間を与えられるということが本当に感謝です。

――今年の活躍が期待できますね。

イ・ホウォン:正直コンプレックスのようなものがあったと思います。これからは他の人々に害を与えない程度に、自分の思いに正直になろうと思います。上半期の発表を目標に作った曲もそのような内容です。良い姿を沢山お見せする考えです。

記者 : キム・ハジン、翻訳 : 浅野わかな、写真 : イ・スンヒョン