パク・ヘジン「ユ・ジョンがホン・ソルにとってチーズであってほしい」

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写真=WMカンパニー

パク・ヘジンは不思議な顔をしている。韓国のどの俳優よりもロマンスに適した、恋に落ちているようなその眼差しの後ろには、誰よりも冷たい顔を持っている。考えてみるとパク・ヘジンはいつもそんな俳優だった。人々が記憶するパク・ヘジンは、それぞれすべて異なっている。韓国に“年下男”という言葉を流行させた「噂のチル姫」の年下の男性から、「いとしのソヨン」の明るくて優しい性格のイ・サンウ、「星から来たあなた」の最高のサランクン(ロマンチックガイ)イ・フィギョン、「ドクター異邦人」の危険な男ハン・ジェジュン、「バッドガイズ-悪い奴ら-」のソシオパス(社会病質者)のイ・ジョンムンまで、彼はいつも意外な顔を見せてきた。そして、パク・ヘジンという謎は「チーズ・イン・ザ・トラップ」のユ・ジョン先輩とついに出会い、より興味深い迷路探しに変わった。

―「チーズ・イン・ザ・トラップ」が良い視聴率を得ている。

パク・ヘジン:期待以上だ。実は第1話の視聴率を2.2%と予想していた。実際、2.2%も低い数値ではない。期待を持って予想した数値だった。だが、第1話の視聴率が3.6%で嬉しかった。まず、高い視聴率が出て本当に感謝している。

―ドラマが上手くいって嬉しい言葉をたくさんもらったと思うが、最近言われた言葉の中で一番嬉しかった言葉はあるか?

パク・ヘジン:「やはり」という言葉だ。「やはり」という言葉は負担になる恐れもあった。シンクロ率が高いという言葉は嬉しいが、負担にもなる。ビジュアルのシンクロ率だけ高いかもしれないからだ。だが、僕が考えるシンクロ率はキャラクターの消化力だ。「ビジュアルだけでなく、本物のユ・ジョン先輩みたいだ」「ウェブ漫画から飛び出してきたみたい」「二次元に勝った三次元」など、こんな褒め言葉すべてに本当に感謝している。

―パク・ヘジンが考えるユ・ジョンはどんな人なのか?

パク・ヘジン:かわいそうだと思った。社会的な欠乏がある人物だ。成長過程に問題があって、抱きしめてあげたい人物だ。外的な障害だけが障害ではない。成長過程で障害を経験した彼を抱きしめてあげる必要があると思っていたが、ユ・ジョンをそうやって抱きしめてくれたのがソルだ。また、ユ・ジョンのことを知って、お互いに支え合いながら暮らしてきたのがインホだ。

―ユ・ジョンはどうしてホン・ソルのことを好きになったと思う? 考えてみたことはあるのか?

パク・ヘジン:ユ・ジョンがホン・ソルに心を開いたのだ。そして、ホン・ソルとユ・ジョンはとても敏感な動物なのでお互いの本性について気づくことができた。ホン・ソルは笑顔の後ろに隠されたユ・ジョンの本性を見て、すぐに感じるじゃないか。ユヨンもホン・ソルを見てすぐに本能的に、動物的な感覚で気づいた。

―「チーズ・イン・ザ・トラップ」のユ・ジョンに「バッドガイズ-悪い奴ら-」のイ・ジョンムンの姿が重なって見える(笑) 「チーズ・イン・ザ・トラップ」の冷たいユ・ジョン先輩の姿を見た後、「バッドガイズ-悪い奴ら-」を見始めた視聴者も多い。

パク・ヘジン:「ユ・ジョンはイ・ジョンムンの大学時代だ」という書き込みを見たことがある(笑) また、僕が日差しを浴びながらゆっくりと歩いている途中、人をナイフで刺しそうだという書き込みもあった。「バッドガイズ-悪い奴ら-」ではむしろ僕が毎日ナイフで刺されたのに(笑) 冷蔵庫にも何か入っていそうだと言われる。ははは。

―ユ・ジョン特有の冷たい雰囲気は首の動きから感じられることが多い。例えば、首をひねったり、首を少し斜めにして人を見る視線などがそうだ。

パク・ヘジン:その通りだ。首の動きは少し意図的に演じている部分だ。殺すという視線で見るよりも、焦点のない視線で見る方がむしろより大きな力を持つということを今回の作品を通じて学んだ。放送が始まる前に出た予告映像を見ると、ユ・ジョンが「ソル」と呼んで手を差し出しながらソルを見る部分がある。実はそのシーンはソルを見ているのではなく、他の人を見るシーンだが、編集された。画面の方向を変えて、まるでソルを見ているように編集で演出した。微細な動きかもしれないが、正確に表現しなければならないシーンではそのようなことを技術的に使用した。

―冷たい雰囲気は計算されていたわけだ。

パク・ヘジン:いつも意図していたわけではないが、意図した部分もある。

―「チーズ・イン・ザ・トラップ」は甘くもぞっとする“ロマンススリラー”を標榜している。

パク・ヘジン:最初はぎこちなく感じた。最近は少しおかしい人だと思ったらソシオパス、サイコパスのような表現を簡単に使う。だから、ユ・ジョンの場合もソシオパス、サイコパスなどの言葉をたくさん聞いた。甘いシーンの後、なんとなくぞっとするようなシーンが出るが、ユ・ジョンはそんな人ではない気がする。

―ユ・ジョンの立場ではユ・ジョン自身を除くみんなが悪い人なのかもしれないと思う。ユ・ジョンの立場でユ・ジョンを代弁してほしい。

パク・ヘジン:ユ・ジョンに意図的な悪さはない。「僕がおかしい? 人と同じように僕を判断して、笑って、無視する。いったい僕のどこがおかしいの?」という考えから、「ソル、僕はおかしくない」というセリフが出た。ユ・ジョンも本当にもどかしいと思う。「チーズ・イン・ザ・トラップ」は成長痛に関するドラマだ。幼い木がまっすぐに伸びていく時、本当に正しい両親なら小枝を切って幼い木が真っ直に育つようにしてあげなければならないのに、むしろ幼い木を押さえつけてしまって、ひねくれて育った。でも、その木は自分がどうしてひねくれて育ったのか悩まない。元々そうやって成長したからだ。そして「チーズ・イン・ザ・トラップ」はその木が答えを探していく過程を描くドラマだ。

―制作発表会でウェブ漫画とはまた違うユ・ジョンを見せると話したことが記憶に残っている。意図通り上手く表現されていると思うか?

パク・ヘジン:最初はウェブ漫画から衣装を借用したこともあったが、白い靴のように着こなしが難しいものもあった(笑) ウェブ漫画をまったく参考にしなかったわけではない。重要なシーンで雰囲気だけ参考にした部分もある。でも、状況的な部分は忘れようとした。そこに閉じ込められたくなかったからだ。

―ドラマ化に対する期待と同様に、心配も大きかった。原作のウェブ漫画のファンである、通称“チママ”たちの心配が大きかった。

パク・ヘジン:期待しただけに「いいよ、一度見てみよう。私たちの『チーズ・イン・ザ・トラップ』をドラマに? どんなに上手く作るか見てみよう」と考えた人もいるだろう。怖くなかったと言ったら嘘になる。怖かったが、その分上手く作りたかった。多くの方がユ・ジョン、ホン・ソル、ペク・インホ、ペク・インハなどキャラクターや作品を本当に大切に思っていることをとてもよく知っていたからだ。

―パク・ヘジンが演じる“三次元のユ・ジョン”がウェブ漫画の“二次元のユ・ジョン”に勝ったという話が多い。個人的にこれだけは三次元ユ・ジョンが二次元ユ・ジョンより優れていると思うことはあるのか?

パク・ヘジン:ファッションセンス?(笑)

―女性にとってパク・ヘジンは自分の男に持たせたいファッションセンスの持ち主だ。秘訣はあるか?

パク・ヘジン:特別な服は着ない。服を選ぶ時、僕のモットーはいつもどこか少し足りないような感じで着るということだ。足りない部分は満たすことができるからだ。服はすぐパターンや素材が多すぎるように見える恐れがある。できるだけ、アクセントを入れるのは一つだけにする。特に洋服をたくさん見る方だ。男性より女性のファッションをたくさん見る。服を着るためには参考しないが、普段から着る感じをたくさん見ようとしている。

―「チーズ・イン・ザ・トラップ」はパク・ヘジン、ソ・ガンジュン、ナム・ジュヒョクなどハンサムな俳優が絶えず出てくるドラマとしても有名だ。知っているのか?

パク・ヘジン:聞いたことがある。そう言われるのは嬉しい。若くてかっこいい俳優たちと同じくくりに入れたことが光栄だと思う。一緒に演技できることがとても嬉しい。僕の年齢で彼らと同年代のキャラクターを演じることはなかなかできない経験だ(笑)

―年の差がある俳優たちと一緒にいても違和感がない。特別な秘訣でもあるのか?

パク・ヘジン:年の差が感じられないわけがない(笑) テレビで見ても年上のように見えるが、10歳差までには見えないだけだ(笑) 僕が83年生まれで、(ソ)ガンジュンさんは93年生まれだ。これが事前制作の妙味だ。気を使わなければならないということをスタッフたちも知っているということだ(笑) 秘訣と言えば、編集と補正の力、そしてガンジュンさんの力だ。ガンジュンさんは本当に多様な顔を持っている。制服を着ると10代のように見えるのに、前作でひげをつけたら30~40代の顔に見えた。

―「チーズ・イン・ザ・トラップ」は半分が事前制作で撮影された。撮影の環境が良いという長所はあるものの、視聴者のその時の反応を把握できないという点は短所として作用しそうだ。

パク・ヘジン:最初から事前制作ではなかった。監督の要請と様々な理由があって80%ぐらいを事前制作で撮影することになった。事前制作は「バッドガイズ-悪い奴ら-」で一度経験したことがある。他のドラマシステムと比べると、本当に天国のようだ。ドラマの場合、毎日のように出ない台本と戦いながら、撮影現場で待機しながら一週間に3日以上は徹夜をしなければならず、俳優は仕方なく台本を完璧に暗記して撮影をやり遂げなければならない。でも、韓国のドラマは90%以上がそんな方法で制作されて、良いクオリティを維持するために多くの人が苦労する。「チーズ・イン・ザ・トラップ」の場合は一度も徹夜したことがなく、台本も早く出る方なので環境はとてもいい。

ただ、フィードバックがないことは少し大変だ。個人的な考えだが、ドラマは50%ぐらいが事前制作であればいい気がする。ただ、台本が時間通りに出るという条件があってからだ。例えば全16話の場合、8話ぐらいは撮影を終えておいて、台本が時間通りにちゃんと出て1週間に1話ずつ撮影していけば、残りの8話を放送期間の2ヶ月に合わせて撮ることができる。

―ホン・ソル役のキム・ゴウンと相性がとてもいい。

パク・ヘジン:演技的な呼吸がよく合う。躊躇することがない。恥ずかしがることもない。女優と一緒に演技をすると、女優がきれいに映らなければならないから色んな制約を感じるのに、ゴウンさんはそれがない。演技に対する情熱がはるかに大きな女優だ。演技的に学ぶ点が多いと思った。僕はドラマしかやったことがないが、ゴウンさんは映画の経験があって動きがすっきりした感じがする。アングルを大きく活用する方法を知っている。例えば、上半身のショットを撮ると言われると、僕たちはアングルからあまり外れない範囲で動くが、ゴウンさんは動作を大きくする。カメラ監督は大変だと思うが、画面では本当に自然に表現される。

あ、そしてご飯を本当によく食べる(笑) 電話しながらご飯を食べている姿を見たことがあるが、本当に家で食べるように食べていた。個人的にモッパン(食べる番組)はハ・ジョンウ先輩のモッパンのように見る人が食べたいと思えば成功したと思う。そして、ゴウンさんのモッパンを見ていると、本当に食べたくなる。よく食べる。自分は今までどうやってきたかなと考えさせられた。

―ホン・ソルにとってユ・ジョンはチーズだと思う? それとも、トラップだと思う?

パク・ヘジン:タイトルをとても上手くつけたと思う(笑) チーズだと思っていた。

―深い意味を内包した答えなのか? ぞっとした。

パク・ヘジン:チーズだといいなという答えだ。最後までチーズだと信じたい。

―望む結末があるのか?

パク・ヘジン:皆はハッピーエンドを望んでいるだろう。でも、僕たちがいきなり子供を生んで幸せに暮らすことはできない(笑) みんなが幸せになれる結末になってほしい。俳優同士でも幸せになったらいいなと話したことがある。サッドエンドは悲し過ぎるからだ。ただ、幸せな最後を迎えてほしい。

―ユ・ジョンにとって幸せは何だと思う?

パク・ヘジン:大人になること?

―ユ・ジョンを“子供のような大人”と感じた答えのようだ。

パク・ヘジン:台本を見てそう表現するために努力した。計算的にそんな行動が出たら、ユ・ジョンは徹底的に悪いやつになってしまうからだ。ユ・ジョンの行動はまったく計算的ではないものだと考えた。例えば、自分の彼女だからキャンティーをもう一つあげて、彼女が痛いと自分も痛いと感じる。そんな考えで演技を始めた。

―最近、ファンの願いを叶えてくれる“パクヘ・ジーニー”イベントが印象的だった。逆に、パク・ヘジンは今年叶えたい願いがあるのか?

パク・ヘジン:腰の痛みが治ってほしい(笑) 旅行は時間があればいつでも行けるからだ。体力は悪くないのに、痛みがとても辛い。腰が痛いから、活動的なことができない。今年、腰がすっきり治る可能性はないが、良くなったらいいなと思う。健康以外には仕事を活発に行っているから、次の歩みがより重要だと思う。「チーズ・イン・ザ・トラップ」まではパク・ヘジンの範囲の中にあると思う。これからは見せたことのない面をもっと見せたい。

―もうデビューしてから10年目だ。

パク・ヘジン:前ほど軽い感じはないと思う。例えば、じっと座っている演技をしても、ただじっとしていることとぽつんと置かれた感じは違う。年を取ったからかもしれない。それだけ存在感ができるからだ。幼かったことがなかったわけではないから、年を取っていくことに対する抵抗はない。年を取りながら、年を取ることに対する演技をしていくつもりだ。ただ、演技を一生するかどうかは分からない。力がある限りは挑戦するだろうが、個人的には恋愛物が演じられる時まで演技をしたい。

つまり、今後もずっと恋愛物ができるように素敵に年を取りたいという話だ。70歳にも恋愛ドラマはある。演技をしながら、いつもこんなことを考えてきた。本来は恋愛ジャンルをあまり好まない。だが、その年齢にもときめきなどを十分表現できると思う。僕の恋愛演技を見たい人がいれば、見せることができる俳優になりたい。

―寂しいが、もう最後の質問だ。ユ・ジョンにとってチーズとは、そしてパク・ヘジンにとってチーズとは何か?

パク・ヘジン:ユ・ジョンはそう考えないかもしれないが、インホも、インハもみんなチーズであることができた。だが、みんながトラップだと思って自分を閉じ込めたと思う。パク・ヘジンにとってチーズとはメランコリーなもの?(笑) チーズ、好きだ。

記者 : チャン・ジンリ、翻訳 : ナ・ウンジョン