「無限に挑戦」キルの降板…危機をチャンスに“9年の牙城は崩れない!”

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写真=MBC、TVレポート DB
残念なことである。国民的な番組として愛されてきたMBCバラエティ番組「無限に挑戦」の9周年記念日に水を差すような出来事が発生した。出演者であるヒップホップデュオLeessangのメンバーキルが飲酒運転で物議を醸し、番組から自主的に降板する事態となった。事実上、人々に後ろ指を指されながら追い出された形だ。お祝いすべき記念日に起きたことであり、ファンも制作陣も少なからず傷を負った。

しかし、危機はチャンスでもある。「無限に挑戦」ならいくらでも可能だ。これまで制作陣とメンバーたちは数多くの危機を乗り越えながら独自のチームワークを築いてきた。今では記憶の彼方にある様々な議論を乗り越えてきた彼らだ。今回の事件も大きく変わりはないだろう。問題は、今回の事件による精神的なトラウマをどうやって克服するかである。

「無限に挑戦」はメンバーたちの入れ替わりがほとんどない番組の一つである。他のバラエティ番組がトレンドや人気によってメンバーを選ぶ中、「無限に挑戦」の制作陣は最後まで従来のメンバーに拘り、彼らだけのリーグを形成した。今は欠かせないメンバーとして挙げられているチョン・ヒョンドンとチョン・ジュナも最初は相次ぐ降板の要求に苦しんだ。特にチョン・ヒョンドンは適応するまで長い時間がかかった。彼が今のキャラクターを確立させることが出来たのは、彼自身の努力もあるだろうが、彼を待っていてくれたメンバーと制作陣の義理と忍耐のお陰でもある。

降板を宣言したキルは初期のチョン・ヒョンドンと似たメンバーだった。編集の屈辱をギャグに昇華しなければならなかったし、頻繁に浮上する降板説にも苦しめられた。特にキルは適応するまでにとりわけ時間がかかり、浮き沈みも多かった。そんな彼を最後まで待っていてくれたのは視聴者ではなく、メンバーたちだった。今回の事態が残念な理由は、キルが長い間待っていてくれたメンバーたちの友情を裏切ったからだ。

特に今は旅客船セウォル号の沈没事故で国民的な情緒が非常に敏感になっている時期だ。よりによって全ての人々が活動を自制し、慎重な姿勢を見せている時期にこの事件は起こった。その分、メンバーたちが受けた精神的な打撃も大きいと見られるが、すぐに立ち直らなければならない。より冷静になる必要がある。今「無限に挑戦」に必要なことは、降板したキルに対する叱責や慰めではない。今後の番組の将来とアイデンティティについて議論し、考えることである。

とにかく、KOREA SPEED FESTIVAL(KSF)特集からブラジルで開催されるサッカーワールドカップの応援まで、キルの空席をすぐに埋めることに集中するべきだ。メンバーたちが早いうちにトラウマを克服し、心を一つにすることが重要だ。「無限に挑戦」は最近“自己コピー説”が浮上するなどアイテムが飽和状態になっており、「無限に挑戦」ならではのアイデンティティについて悩んでいた。特定フォーマットを繰り返すほかのバラエティとは異なり、毎回新しいアイディアを作り出さなければならず、彼らの負担も少なくない。このような状況でのキルの強制下車は、大きな課題のように感じられる。しかし、雨降って地固まるように今回の危機も変化のチャンスにしてほしい。

キム・テホプロデューサーは最近、公式の席で10周年特集を企画しており、新しいアイディアについて考えていることを明らかにした。しかし、その一方で番組の終了を暗示するような発言をしてファンを驚かせた。それだけ悩みが大きいという意味だろう。特に9周年を迎えた4月は、彼らに多くのことを考えさせ悩ませていたはずである。今回の事件で悩む方向が間違ったところに向かってはいらない。大胆な選択と集中が必要な時期だ。

これまで数多くの危機を乗り越えてきたように、今回の事件をチャンスに捉え、活用できる知恵が必要だ。キルの降板はむしろ良いチャンスになるかもしれない。「無限に挑戦」はユニークなバラエティ番組だ。番組に対する彼らの情熱があれば、乗り越えられない問題などない。9年間の牙城がたった1人のメンバーの降板でそう簡単に崩れるはずがない。

記者 : キム・ジヒョン