「テロ,ライブ」ハ・ジョンウ、独特なハリウッドへのアプローチ

OSEN |

ハ・ジョンウに会った日は非常に暑かった。三清洞(サムチョンドン)の片隅にあるインタビューの場所まで歩いて行く道が特に長く感じられた。なかなか汗が出ない体質だが、額と背中に玉のような汗をかいていた。粘り強く映画ばかり撮っている俳優ハ・ジョンウとのインタビューは今回が初めてである。

楽しみにしていたが、2007年のドラマ「H.I.T.-女性特別捜査官-」以来数年間ドラマでは見ることができない俳優、彼とのインタビューはもともとテレビ担当だった記者が映画部署に移動し、映画「テロ,ライブ」(監督:キム・ビョンウ)が公開された後に行われた。あまりにも人気の俳優でスケジュールを決めることでさえ容易ではなく、その日は今夏最高の猛暑日だった。色々と会うことが簡単ではない、ハ・ジョンウである。

三清洞のあるカフェの2階にいたハ・ジョンウ。しかし、彼も記者以上に大変な時間を送っていた。息を弾ませながら上がっていったその場所でハ・ジョンウはすでに何日も数十のマスコミとインタビューをしていた。「俳優は作品だけで見せればいい」とインタビューを断る怠惰な(?)俳優、またはプライベートに関する質問がいやでインタビューを拒む気難しい俳優が多い韓国の映画界で、ハ・ジョンウほど真面目かつ積極的にインタビューに応じる俳優は稀である。彼は、作品ごとに主演俳優として誰より正直かつ情熱的にプロモーションに臨むスターである。冷静だと言われる記者らにもアピールする人間味、当然ながら作品を通じて観客にも伝わるはずのその真心。蒸し暑い日、疲れきっていた時に会ったハ・ジョンウとの会話で、彼の明るい未来がもっと知りたくなった。

―インタビューに積極的だ。時間を作ってたくさんのマスコミに会うことで有名である。疲れないのか?

ハ・ジョンウ:俳優として当然の義務だと思う。映画を撮って制作発表会と試写会をして、インタビューをしてステージで挨拶して……このすべてが一本の作品を終える過程だ。ただ演技だけをして作品をしたとは思わない。僕が出演した映画を自ら宣伝することも僕の仕事ではないだろうか。

―そのような積極的なプロモーションのおかげか、「テロ,ライブ」の成績が良い。大作映画「スノーピアサー」と競争してこれほどの成績とは。感想はどうか。

ハ・ジョンウ:同じ時期に公開された2本の映画が一緒にうまくいってよかった。僕が出演しようがしまいが、韓国映画が愛されることは俳優として本当に嬉しいことだ。実は「スノーピアサー」とライバルであるような雰囲気になっているが、とても恥ずかしい。大作を相手に「テロ,ライブ」の成績が良いという評価が多いが、キム・ビョンウ監督をはじめ一緒に苦労した人全員にとってやりがいのあることだ。

―ライバル作である「スノーピアサー」は見たのか?

ハ・ジョンウ:まだ見ていない。でも今日、または明日中には見るつもりだ。どういう作品なのか正直かなり気になる。記者の皆さんから「スノーピアサー」について聞かれるだろうと思ってわざと見なかった。ハハ。

まだ作品は見ていないが、この前クリス・エヴァンスとティルダ・スウィントンなど「スノーピアサー」の出演陣が来韓しポン・ジュノ監督、ソン・ガンホ兄さん、コ・アソンちゃんなどと共にレッドカーペットイベントをしている場面をテレビで見て本当に胸が一杯になった。胸から熱い何かがこみ上げてきた。ライバル作かそうでないかの問題ではなく、それは私たちの家族の話だ。一緒に仕事して一緒にうまくいかなければならない人たちが嬉しい瞬間にめぐり合う光景が嬉しかった。韓国映画の地位が高まっているという話で、それはつまり僕が働く仕事先の人々の話だ。

―それでは、「テロ,ライブ」の話をしてみよう。初めての単独主演だ。展開の80%くらいは一人で引っ張っていくシナリオである。単独主演とは、演技に自信がなければ選びにくいものではないかと思う。

ハ・ジョンウ:ハハハ。自信がある……とは言えない。今でなく、5年前だったとしてもこの作品のシナリオを見たならやったと思う。自信の問題ではないと思う。いつも自信を持つために努力する。自信を持つために努力すべき部分が多くあるのではないか。個人的には「努力してできないことはない」と思いながら生きているが、これが自信かもしれない。とにかく、単独主演で何かを披露しなければという気持ちはなかった。作品をするときはそれがマルチキャスティングであれ、単独主演であれ、負担を感じるのはいつも同じだ。

―では、今回の映画で単独主演としてどんなプレッシャーがあったのか?

ハ・ジョンウ:どうしても一人だから観客が僕だけ見ても面白くないのではないかという考え?しかし、撮影しながら監督と十分に話してそのような不安を解消することができたし、映画が持つスピードと魅力に頼った。

―最近通信会社の広告がたくさん出ていて反応も良い。ところで、人気や知名度に比べCM出演はそれほど多くないと思う。意図的なものなのか?

ハ・ジョンウ:今回のCMは良かったのだろうか?正直に色々な広告に出れば(イメージが)消費されるような気がする。今も通信会社、酒類、衣類、ケーブルチャンネルなど数本をしているが、実は少し悩んでいる。

―そういう意味でバラエティなどの番組への出演も控えているのか?

ハ・ジョンウ:それは違う。バラエティやテレビ出演に対しては、いつもオープンにしている。映画のプロモーションに必要ならいつでも出演したいと思う。今回も「テロ,ライブ」のことでラジオ、ポータルサイトのチャット、芸能情報番組、映画番組などに結構出演した。ただ「ヒーリングキャンプ~楽しいじゃないか~」には昨年出演したので数年間は出演しにくいと思う。話せるエピソードをもっと積まなければ。ハハ。

―それでは、ドラマ出演はどうか?あまりにも長い間映画だけに集中しているように見える。ドラマで見たいと思うファンも多い。でも、今出演を予定している映画のラインアップだけを見ても当分はドラマへの出演は難しいと思われる。

ハ・ジョンウ:ドラマに出演したい気持ちは山ほどある。でも、正直に今すぐ出演するのは難しい。すでに決まったスケジュールがあるので。ドラマをしたくないとか、計画がないわけではない。良い作品があって状況が許せばいつでもやるつもりだし。個人的にはシットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で連続放映されるコメディドラマ)のようなジャンルもしてみたい。

―ハリウッドからもオファーがあったと聞いた。

ハ・ジョンウ:まだ具体的に進んでいることは何もない。韓国映画のようにハリウッドからも続けて作品のオファーが入っている。ところで、僕には親しい韓国系アメリカ人のプロデューサーがいる。韓国映画そのものが世界市場でかなり認められており、韓国の監督の地位も高まっているから……柿の木から柿が落ちることを待つより韓国でシナリオを開拓すればいいのではないかという話をしたことがある。そのプロデューサーがアメリカに帰ってシナリオを開拓してみようと僕に提案した。現地の脚本家がついて構想した草案通りシナリオを書いている。また、僕が親しい制作会社の代表に提案したら開拓費を出してくれた。それで今年初めにシナリオの草稿が来たけれど、まだ十分ではないと思って戻した。

―ハリウッドの作品に出演するのではなく、主導的に開拓するということか?

ハ・ジョンウ:ハリウッドの作品も韓国の俳優と制作システムを通じて主導的に作れる日が来るのではないかと思って準備している。

―イ・ビョンホンはすでにハリウッド映画に続けて出演し、非常に認められている。そういう道を歩むことも考えられると思う。

ハ・ジョンウ:ビョンホン兄さんがあまりにも素敵に活動されており、居場所を作っていらっしゃると思う。個人的に会ってハリウッドについてアドバイスを頂き、エージェンシーも紹介してもらい、昨年末から話し合ってきた。もちろんハリウッドのスタジオ映画に入って演技することも少しずつやっていくつもりだが、それと同時に僕は僕なりの開拓の方にも気を配ってみようと思う。

ハ・ジョンウのハリウッド進出も特別なようだ。これまでの俳優がハリウッドのシステムに参入する方法を選んだとすれば、ハ・ジョンウは自ら韓国の資本やシステムでシナリオを開拓し、作品を企画するユニークで大きなイメージを描いていた。

何でも熱心に、演技を超えて演出、さらに絵まで……何でもできるマルチな才能に溢れる俳優ハ・ジョンウからはピンピンしている活魚のイメージが与えられた。一日、一ヶ月、一年を計画的に分けて生きており、いつも何かに挑戦し、新しいことに胸が躍るのを止められないエンターテイナーハ・ジョンウ。ハリウッドさえ“リウッド”にしてしまう勢いだ。

ハ・ジョンウの「テロ,ライブ」は、韓国で18日に公開し19日で観客動員数500万人を突破した。そしてハ・ジョンウは、下半期に自ら演出した映画「ローラーコースター」を公開し、映画「群盗」(監督:ユン・ジョンビン)の撮影を終了する。

記者 : ユン・ガイ