【ドラマレビュー】「モンスター」少女漫画のファンタジーを除いたら現実が見えてきた

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写真=CJ E&M

愛、音楽ほど大きな比重を占める癒し、これこそモンスターの力

いつも自己最高視聴率を宣伝するtvN・Mnetドラマ「モンスター~私だけのラブスター~」の視聴率は少し恥ずかしい。それもそのはずで、CJ E&Mチャンネルの中で最も普及していてアクセスが多いMnetとtvNが同時に放送しており、チャンネルを回す度にいつも再放送しているし、Mnetの色々な音楽番組で必ず登場する音楽が「モンスター~私だけのラブスター~」の音楽であるためだ。

自慢したい“シンドローム”になりたいなら、昨年話題になったtvN「応答せよ1997」くらいにはならなくてはと思う。とにかく“作られたシンドローム”であっても沢山の人、特に高校生なら「モンスター~私だけのラブスター~」を一度は見なければ話に入れないほどになっているなら、成功したと言えるだろう。

19日に韓国で放送された「モンスター~私だけのラブスター~」第10話。体育の時間にカップルサッカーをすることになったが、初キスをして恋人になったばかりのミン・セイ(ハ・ヨンス)とユン・ソルチャン(BEAST ヨン・ジュンヒョン)はそれぞれ違う人とパートナーとなった。あいにくもミン・セイのパートナーはやはり彼女に告白したチョン・ソヌ(カン・ハヌル)で、ユン・ソルチャンのパートナーはチョン・ソヌのことが好きなキム・ナナ(GLAM ダヒ)だ。誰かには辛く、誰かには楽しいサッカーの試合中、いつもミン・セイのことを嫌っていたシン・ジェロク(ユン・ジョンフン)は皆が油断している隙を狙ってミン・セイにボールを飛ばす。

キム・ウォンソク監督の前作「トキメキ☆成均館スキャンダル」を面白く見た人なら、この次にどんなシーンが登場するのか予想できるだろう。そうだ。ボールが飛んでくるのを見たチョン・ソヌが対応しようとしたが、彼より先に身を躍らせた人がいた。それは、ユン・ソルチャンだった。当然、床に体と頭をぶつけたユン・ソルチャンは気を失う。

「トキメキ☆成均館スキャンダル」のファンだった私は興奮して「あれは自己複製だよ、ありえない!!」と叫んだら、隣で一緒に見ていた息子がそっと一言。「お母さん、それは自己複製じゃなくて少女漫画のクリシェだよ」と。そうだ、少女漫画をたくさん見たわけではない母も(あれ、それならこの子はどこで少女漫画をそんなにたくさん見たわけ?)考えてみたら、そんな気もする。

とにかく「モンスター~私だけのラブスター~」の基本的なストーリーは少女漫画でよく見られる話だ。外界から来たかのようにオーストラリアで羊を育て、転校してきた風変わりなミン・セイ、彼女のことを随分前から片思いしてきた優等生チョン・ソヌ、そして空から落ちたかのようにミン・セイの前に登場したスター、ユン・ソルチャン。いつもすべての少女漫画がそうであるように二人の男は彼女の愛を得るため奮闘し、そして愛を得るのは優等生ではなく、情けないように見えるが、時々魅力を放つあいつ。

見えてこなかった子たちの話を聞かせてくれた

ところで「モンスター~私だけのラブスター~」を見る面白さはこのようなラブストーリーだけではない。「モンスター~私だけのラブスター~」のまた別の要素である音楽が与える面白さも無視できない。今日はまたどんな音楽の変奏が聴けるのだろうか。ストーリーの展開よりもっと期待されることも事実だ。しかし、それ以外にも「モンスター~私だけのラブスター~」を見るようになる理由がある。それは見えない、いや見えなかった子たちの話である。

ユン・ソルチャン、チョン・ソヌ、ミン・セイがなんとなく一緒に音楽を共演するようになったグループ名が“カラーバー”だった。名前のようにそこに入っている子たちの顔ぶれが様々だ。

以前幼い頃一緒に出た「SUPER STAR K」のオーディション友達であるチャ・ドナム(パク・ギュソン)を裏切り、それによる事故でチャ・ドナムが一生運動できなくなったことで罪悪感に苛まれるパク・ギュドン(カン・ウィシク)の話が描かれた。その前は、ヤクザの恋人という噂があったが、実は暴力団の親分とクラブのマダムの娘であるキム・ナナの話も登場した。

それから第10話。いよいよカラーバーの最後のメンバーであるシム・ウナ(キム・ミニョン)のストーリーが描かれた。ユン・ソルチャンに「空の星になってくれ」と言った彼女は、ユン・ソルチャンのファンフィクションを書くほど彼にハマり、彼の変化を誰よりも早く感知した。それからユン・ソルチャンとミン・セイの恋愛に気付き、混乱する話が出た。

パク・ギュドンが数日間学校に来ないと、担任はその理由を確認するよう班長のチョン・ソヌを急き立てる。するとただの優等生から少しずつ変わり始めたチョン・ソヌは「先生も僕も知っていたその理由のためです」と言った。先生も、クラスメートたちもその子たちの存在を知っているが、知らない。

「パク・ギュドンには申し訳ないが、いつも思う。私とパク・ギュドンのどちらがより目立たないかな」とシム・ウナは言う。名前は一番綺麗なシム・ウナだが、誰よりも楽しく準備したカラーバーの公演でシム・ウナを見てくれる人はいない。さらに、父は「余計なことはするな」とシム・ウナを殴る。

ファンが変わるとアンチになると言われるが、これまでミン・セイとユン・ソルチャンの出会いを題材にファンフィクションを書いたシム・ウナは、それを誰かに見られるようにベンチに投げてしまう復讐(?)をしようとする。ユン・ソルチャンに冷たくなり、ミン・セイに腹を立てるシム・ウナの行動はとんでもないものだが、誰も見てくれないので自身のファンタジーを作ってその中で幸せだったシム・ウナにはその世界が壊れていく痛みなのである。

「モンスター~私だけのラブスター~」は誰も振り向いてくれない子たちの痛みを誰かが見て癒してあげる。屋上の上に立ったパク・ギュドンを救ってあげるキム・ナナ、そんなパク・ギュドンを目で応援するミン・セイ、そしてたとえキム・ナナの望み通りの愛ではなくてもキム・ナナを意識し始めたチョン・ソヌ、嫌いになりたくても絶えずシム・ウナに近づいてくるミン・セイ。

それから何もないと挫折した子たちは、何かを始める。パク・ギュドンは幼い頃やめたピアノを習い、シム・ウナは文才があると先生に褒められ、ユン・ソルチャンのフィーチャリングをし、キム・ナナは服を作る。

「人は夢がないと言ったら負け犬扱いだよ」

デザイナーになるのかというチョン・ソヌの質問にキム・ナナは冷笑的に答える。必ず夢がなければならないのかと。やってみて上手くできれば、それをやればいいんじゃないかと。早くから何かを決め、それに邁進してこそ評価される最近の子たちの世界への冷酷な定義であり、「モンスター~私だけのラブスター~」がまともに描いている現実だ。

少女漫画のファンタジーを除いた「モンスター~私だけのラブスター~」のまた別の話は、夢がない最近の子たちのリアリティでファンタジーだ。そしてそのファンタジーには妙な響きがある。ファンの立場から離れてユン・ソルチャンとミン・セイと友達になり、ユン・ソルチャンの歌にフィーチャリングしながら「今の私でもいい」という歌詞に涙を流すシム・ウナの話がより感動的で良い。これが「モンスター~私だけのラブスター~」の隠れた魅力だ。

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記者 : イ・ジョンヒ