女装してステージに上がった男たち、ミュージカル「DRAG QUEEN」ご存知ですか?

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“ドラッグクイーン”って何ですか?

公演を観る前、皆が知りたがっていたことをミュージカル「DRAG QUEEN」は観客に分かりやすく説明している。“ドラッグクイーン”はトランスジェンダーとは異なり、性転換手術をせずに女装した“クロスドレッサー”に近い。この他にもニューハーフ(Shemale)、ラヴァー(lover)など、性的少数者を指す用語は細分化されている。ミュージカル「DRAG QUEEN」は、その中でも身体的には完璧な男だが、女性らしくなりたい男たちの話を描いた。

22日、「DRAG QUEEN」の公演が終わった後、演出家および俳優らと作品について話す機会があった。ハリス(38)と一緒にオマダム役を演じた俳優で演出家のイ・サンゴン(38)は、より韓国的に性的少数者たちの話をしたかったという。

「なぜよりによって性的少数者たちの話をしたかったのだろうか?」という疑問とともに「本人の話ではないか」とも思ったが、意外にもハリスと特別出演したチャ・セビンを除いては、演出を含めたすべての出演陣が異性愛者だった。彼は性的少数者の話を通じて韓国社会に蔓延している偏見と先入観を壊したいと思ったのだ。


性的少数者、さらには韓国社会への偏見に向けたメッセージ

観客たちの立場を代弁したホン社長役のカン・ソクホ(37)は「最初の練習のとき、無意識に自分もトランスジェンダーや女装男に対する恐怖症(Phobia)を持っていたなと思った。普段は何の偏見もないと思ったが、近づいてきたら思わず殴っていた」と本人も性的少数者に対する偏見を持っていたことを明らかにした。彼は劇の中盤以降から彼らを理解し、包容する姿勢をとることになる。

見た目は確かに男だが、似合わないウィッグを被り女性の洋服を着て舞台で女性らしい姿をアピールする彼ら。ミュージカル「DRAG QUEEN」の主な舞台となるブラックローズクラブのドラッグクイーンの一人であるチ・ファジャ役のイ・ジョングク(35)は「見た目はとても男らしいし、パートナーもいない。劇に登場する人物の中で一番面白い役だが、また同時に一番悲しい役でもある。観客がチ・ファジャを通じて彼らの人生を理解できればと思う」と楽しいながらも悲しいドラッグクイーンたちの立場を一度ぐらい考えてみてほしいと観客に呼びかけた。

エミリー役のキム・ジョンナム(29)は「劇中の役と自身の共通点は何か」という質問に「やりたいことをやりながら幸せに暮らせること」と答えた。ミュージカルをするため舞踊を専攻した彼はステージに立つことだけで幸せだと言った。無邪気だが、言いたいことはすべて言う、情熱溢れるドラッグクイーンの姿をうまく演じた彼は自身について、まったく女性らしくないうえに女装もあまり似合わないが、与えられた役に最善をつくすため努力したということだ。彼と同様に実際のドラッグクイーンたちも本人が生きたい人生を生きているため幸せであるだろう。

また、観客から「本当に女じゃないの?」あるいは「トランスジェンダーじゃないの?」とひそひそと話題にされていたのはソヒ役のノ・ヒョン(27)、彼は小柄で声も女性らしいため実際のドラッグクイーンに一番よく似合う人物だ。

演出のイ・サンゴンは、彼について「もともと女性をキャスティングしようとしたが、ぴったりの人物が現れたのでキャスティングせざるを得なかった」と説明した。「本来の性格は静かで臆病だが、何食わぬ顔をしながらも自己主張が強く、堂々とした女性像(?)を表現すること、男性パートナーのグァンジュン(パク・ジェウ)への愛を理解することが難しかった」というノ・ヒョンはドラッグクイーンを表現し、俳優として自身の可能性を改めて発見できるきっかけが与えられたことに感謝すると謙遜した。

密かに心の中にあった偏見のせいだったのだろうか。脚本を書いた脚本家や出演陣のほとんどが性的少数者だろうと思っていた私の考えは、彼らと話しながら変わった。イ・サンゴン演出家の言葉通り、同性愛者あるいはトランスジェンダーではないため本人に与えられた役をよりうまく表現できたと言われる「ドラッグクイーン」の出演者たちは、キャラクターに集中することで無意識に持っていた性的少数者に対する偏見を無くすことができ、これによって観客の心を動かすこともできた。

劇の後半部、観客の立場を代弁するホン社長がオマダムやチ・ファジャ、ソヒ、エミリーに心を開くように、ミュージカルを鑑賞する観客もホン社長に感情移入し、性的少数者に心を開くことができるだろう。

「DRAG QUEEN」は決してトランスジェンダー、同性愛者、あるいはクロスドレッサーに限った話ではない。“性的少数者”という話題を投げかけたが、その中のメッセージは私たちが持っているすべての偏見に対する批判である。個人の多様性を尊重すると言いながらも“別のもの”を“間違ったもの”と考える場合が多いだけに、「私たちはどのように“別のもの”の多様性を尊重しながら生きていくのか?」という質問を一度は自分自身に投げかけてみるべきだ。

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記者 : ユ・スヨン