「おもちゃ」イ・スンヨン“私も枕営業を提案されたことがある”

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映画「おもちゃ~虐げられる女たち~」(原題「ノリゲ」)、真実を暴こうとする検事キム・ミヒョン役の女優イ・スンヨン

映画「おもちゃ」には、人格を持つ人間として存在することができなかった新人女優チョン・ジヒ(ミン・ジヒョン)もいたが、無念の死の真実を暴こうとするキム・ミヒョン(イ・スンヨン)検事もいた。映画で最高裁判官の娘であるキム・ミヒョン検事は、過去の痛みを抱えて生きる人物だ。心証だけで物的証拠が無かった事件を暴きながら、徐々に真実に近づくも、彼女の叫びは様々な権力の争いの中で無気力になってしまう。

イ・スンヨンは「30代の女優が、専門性のあるキャラクターを演じられるチャンスはそれほど多くないため、チャンスが来たときに掴まなければならないと思った」とし「現実に近い検事の姿を表現するため、裁判所に通勤するかのように出入りしながら公判所にも通った」と語った。最初は緊張してまるで国語の教科書を読み上げるように話す姿から、どんどん事件に没頭する姿まで、緻密に観察してからモチーフを得て演じたという。

「性的犯罪に関する公判も何回か見学しました。資料がない状態で(公判に)入りましたが、容疑者たちは私が見ても『本当にあの人が犯人なの?』と誤解するほどでした。今回の映画でも権力を持っている人たちは真っ赤な嘘をつくじゃないですか。そのような姿を見ながらキム・ミヒョンという検事にも更に正義感が生まれたと思います。目の前で嘘をついている姿を見ながらも、気づかないふりをして解決しなければならないからです」


「女優の人権問題を減らすためには、実力が重視される社会にならなければならない」

映画で検事役を演じたが、イ・スンヨンの職業は女優だ。芸能界、そして新人女優が直面する現実を描いた映画に、ある程度共感できる部分がありそうだった。イ・スンヨンは「おもちゃ」の題材である枕営業について「しないと思えばしなくて済むことだと思っていたが、実はそう簡単ではなかった」と語った。ある程度自身の欲が含まれていると思ったが、社会的には既にその名声から逃れられなくなっていたということだ。

「実は私も似たような提案をされたことがあります。幸いだったのは、私が選択できる立場だったということです。私は断ることができました。しかし欲張りだとかそうでないとかは重要なことではないと思います。この構造の中では皆が被害者です。女性をあまりにも当然であるかのように“ノリゲ(おもちゃ)”として利用することができる世の中だからです。『そう簡単に言うものではないんだ』と思いました。それを受け入れないと、役者として生活ができなくなりそうじゃないですか。希望的な考えを全く持てなくするのです」

イ・スンヨンは「短編から始め、監督になられる方々が多くなり、多少良くなりましたが、昔の監督たちは普段使う言葉の内容自体に性的暴力の要素が含まれる場合が多かった」とし「むしろ最近は、再び資本の力が強くなり、昔に戻るのではないかと思ったりもする」と語った。続いて「全体的に変わるにはあまりにも酷く絡み合ってしまったので、これ以上腐らないよう、少しずつ暴く必要がある」とした。またイ・スンヨンは「オーディションが更に透明にならなければならない」とし「実力が重視される社会になる必要がある」と付け加えた。


「女優とは、他人の苦しみや幸せを経験して見せること」

2003年から映画界と演劇界を行き来しながら地道に活動してきたが、イ・スンヨンの足を引っ張るのは「認知度」だ。最終キャスティングまで上り詰めても、認知度で何度も落とされた。女優としての人生が大変ではないかとの質問に、イ・スンヨンは「人生というのはいずれにしても厳しいもの」とし「選択した『厳しさ』なので、むしろ良い」としながら笑った。「女優は本当の自身と出会う作業で、絶えず自身をノックしなければならない職業だ」と説明したイ・スンヨンは「苦しくて当然だと思う」と語った。

「最近映画で、うつ病にパニック障害まで患う女性の役を演じました。屋根部屋で暮らす女性ですが、実際に屋根部屋を借りてみました。1人でいると本当に死にたくなるのか気になったからです。暮らしてみると本当に死ぬかもしれないと思いました。その後(屋根部屋から)出て済州島に旅行に行き、気分転換しました。私が考える女優とは、自身の体を通じて他人の苦しみや幸せを経験し、それを他人に見せる職業だと思います」

いつからか女優が自身なのか、イ・スンヨンが自身なのか紛らわしいと言う彼女は、「女優として生きていくと、絶えず観察し、没頭したことが一つ一つ積み重なり、人生が多彩に見える」とし「人々を見る視野が広くなったことを感じる」とした。そういうときは「役者で本当に良かった」と思うという。

「今まで独立映画にたくさん出演しましたが、『おもちゃ』を通じて観客にしっかり印象を与えたいと思っています。これから、さらに色々な役を演じて、皆さんにお見せしていきます」

記者 : イ・ジョンミン、イ・オンヒョク