Vol.2 ― 「その冬、風が吹く」ソン・ヘギョ“絶えず努力して最善を尽くす”

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「ノ・ヒギョン脚本家に初めて褒められました」

ソン・ヘギョを5年ぶりに韓国のファンの前に立たせたノ・ヒギョン脚本家。ノ・ヒギョン脚本家の判断は間違っていなかった。ソン・ヘギョではないオ・ヨンは想像しがたい。ノ・ヒギョン脚本家もまた、ソン・ヘギョの演技に拍手を送った。

「ノ・ヒギョン脚本家に毎回モニタリングして頂きました。沢山褒めてもらいましたし。『彼らが生きる世界』の時には褒められたことがなかったんです。いきなり褒められるようになって、何が何だか分からなかったし、気恥ずかしかったです。脚本家から『演技がとても良かった。あなたは私が求めた感情以上に表現してくれた。褒められ方も覚えたほうがいい。私がどんな賞賛をしたか覚えておいて役立てなさい』と言ってくださいました」

「その冬、風が吹く」は第1話の放送の前に8話分ほどの撮影を済ませた半事前制作ドラマとして、他のドラマに比べて余裕のあるスケジュールで撮影ができた。ソン・ヘギョの演技に大きく役立った。

「他のドラマより時間的に余裕が沢山ありました。1話から16話まで台本の練習を済ませて演技に臨みました。視覚障がい者だったので、表現するには限界がありました。精神的な部分をいつも顔だけで全部表現しなければならなかったからです。幸い大写しになるシーンが多くて、微細な表情や、しかめ顔がよく見えたし、感情もちゃんと伝わりました」

ソン・ヘギョは、1月に行われた「その冬、風が吹く」の制作発表会で、第2話でオ・スに当たり散らしたプールでのシーンを、最高の感情シーンとしてあげた。最終回まで撮影を終えた今、彼女はそのシーンは何でもなかったと語った。

「プールでのシーンは、オ・スに一発食らわせるシーンだったので、感情が極端に走ることが多かったです。今はそれも弱かったと思いますね。今日(3日)もオ・スと長い感情シーンが一つありますが、考えるだけで疲れちゃいますね。オ・ヨンのセリフの中に“あなたが私を騙したのは無罪よ。あなたには生きるための方法だったし、私は幸せな時もあったから”というセリフがあります。そのシーンを演じていて、妙に私はこの子のことを本当に120%知っているんだと思いました。セリフを言いながらすごく心が痛みました」


「視覚障がい者への視線、温かくなりましたか?」

ソン・ヘギョは視覚障がい者の演技を準備しながら、偏見をなくしたいとの目標を立てた。前が見えないため、化粧もハイヒールも無理だろうと、ソン・ヘギョ自身もそんな偏見を持っていた。

「初めの頃にインタビューをした時、視覚障がい者への偏見を破るのが一番大きな課題だと言いました。特に女性はハイヒールも履けないし、化粧もしないと思っていましたが、絶対そうではないんです。スーツにポケットチーフまでいつも入れている男性もいらっしゃったし、フルメイクをして美容室に通う女性もいらっしゃいました。障害のない人と同じように活動するんです。ある子は“はじめまして。ソン・ヘギョです”と挨拶したら、明るい声で『2ヶ月前に来れば良かったのにな。その時はまだ少し見えていたのに』と言って、何か不思議な気持ちでした。今回『その冬、風が吹く』が韓国で放送されてから、視覚障がい者への視線が前より温かくなったと言われました。とても気分が良かったです」

実は、ソン・ヘギョは善行を行うスターとしても有名だ。ただ、知られていないだけだ。最近では、捨て犬のためのボランティア活動を10年間してきたことが知られた。竹島(韓国名:独島)広報活動家のソ・ギョンドク教授とはアメリカ、中国などに韓国語サービスを誘致するなど韓国文化を知らせるため一緒に励んだ。また、視覚障がい者のための点字本の発刊費用を全額支援したこともある。

「捨て犬のためのボランティア活動をするのは、犬が大好きだからです。今も家で犬を7匹飼っています。また、海外で、日本語と中国語はあるのに韓国語がないことに腹が立ちました。私もどういう意味か知りたかったですし。多くの方々が力を貸したいと思っていても、その方法について分からない方が多いんです。ソ・ギョンドク教授がいいことがある度に、意向をたずねてくださるので始めることになりました。知られるのが恥ずかしいです。ただ静かにやりたいです。前に出て“こんなことやってます”とか言える性格ではないんです。自然に私が余裕のある時にやって、余裕がなければできなくなるでしょうね」

「恋愛ですか?今は考えていないです」

今年31歳のソン・ヘギョは相変わらず綺麗だ。最近ネット上には彼女の13年前の写真が掲載され、変わらない美貌への賞賛が相次いだ。「その冬、風が吹く」では彼女の美しい肌に女性視聴者たちが憧れた。美貌への褒め言葉に彼女は「これから肌が荒れたらどうしよう」と心配した。

「綺麗なのは20代に終わりました。若くて綺麗な女優さんが沢山いるのに、私にまで配慮してくださるんですね。私も同じ年頃の女性がやっていることは全部やっています。皮膚科に行って管理したり、家ではパックもしますし。若い頃ちゃんと管理しなかったことに後悔しています。疲れるとすぐ顔に出てしまうんです。オ・ヨンのキャラクターは、視覚障がい者を表現するのが一番の課題だったので肌に気を遣う暇がなかったです。幸い綺麗に映してくださった照明監督さんに感謝しています。軽くメイクをしてきた時でも綺麗に撮ってくださいました(笑)」

美貌に関する話の途中で、ふと彼女の恋愛が気になった。「その冬、風が吹く」で恋愛感情を上手く表現した彼女ではないか。

「今は、恋愛についてあまり考えてないんです。これからは私自身に力を注ぎたいです。先輩方が恋愛は考えてないと言っていたのが20代には理解できなかったんですけど、今は分かると思います」

ソン・ヘギョは、2004年に平均視聴率30%を超え、今でも広く知れ渡っているドラマ「フルハウス」以降、これといった人気作品に出演していない。ドラマ「彼らが生きる世界」も完成度の面では好評を得たものの視聴率は低かった。同時間帯で視聴率1位を守り続けた「その冬、風が吹く」は、ソン・ヘギョにとって特別である。しかし彼女は満足しない。

「作品が上手くいったから、今後何作品かは冒険できます。今までやったことのないことをしてみたいです。しっかりとしたカラーのキャラクターを演じてみたいですね。もちろん、作品が本当に面白ければまたできます。でも、上手くいったからといって興行性だけを考えて作品を探したりはしません」

ソン・ヘギョは自己満足などしない。6~7月には世界的な巨匠ジョン・ウー監督の新作「生死恋」の撮影に入る。休む暇もないまま、ピアノ、ワルツなど学ばなければならないことが沢山ある。挑戦と冒険を好む女優ソン・ヘギョは中身がさらにしっかりとした人になるだろう。

「いつも上手くはできません。上手くしようと努力はしますけど、私だけがちゃんとやったからといって上手くいくものではないと思います。『その冬、風が吹く』のオ・ヨンのようにキャラクターが私に合えば幸いですけど、私が頑張ってもキャラクターと合わないこともありますから。絶えず努力して最善を尽くすまでです」

記者 : チェ・ドゥソン、写真 : ハン・ヒョクスン