「ベルリンファイル」リュ・スンボムのチンピラっぽさが好きですか?

OSEN |

俳優リュ・スンボムが演技をすると検察官さえチンピラっぽくなる。すべての作品やキャラクターで一貫する“リュ・スンボムらしさ”を持った彼は、自身のこのようなところを肯定的に考えるという。

映画「ベルリンファイル」(リュ・スンワン監督)でも同じだ。彼が務めた人物トン・ミョンスは、どことなく精神疾患を患っているように正気でないようでピョ・ジョンソン(ハ・ジョンウ)に対する劣等感が大きい人物だ。ところが、この悪役が魅力的だ。他の誰がこんな役柄をこのように表現できるだろうかと考えてみると、リュ・スンボム専売特許が存在するのは明らかだ。制作費が少ない映画であれ、「ベルリンファイル」のような100億ウォン(8億4千万円)の大作映画であれ、ジャンルや規模は境界にならない。

最初からトン・ミョンスが気に入ったという彼はすぐに役を引き受けたという。ネチネチした蛇のようなこの悪役をどのように設定したのだろうか。そして、どんな役をしてもその中にある本人のチンピラっぽさをどのように受け止めているのだろうか。

「明示されている悪い人物を一面的に表すよりは、そのような人物を立体的に構想しながら僕らしい方法で表現しました。悪さにも様々な種類があると思いますが、僕が見たトン・ミョンスの悪さは表に表現される悪さではなく、その人物が持っている背後が怖いものでした。社会の構図や父親の権力みたいなものです。そういったものが人々の息を殺して息を詰まらせるパワーがあると思いました。その人が誰かの前で堅苦しく怖く振る舞う必要があるでしょうか。かえって、企みがある人物であればどうだろうと思いました。「あぁ、怖い」というより「あぁ、嫌だな」といった感じです」

彼が言うように、トン・ミョンスを見て「あぁ、本当に悪いやつだ」という不愉快な気分になりながらも思わず笑ってしまうのはチンピラっぽさがあるためだ。「ダイ・バッド ~死ぬか、もしくは悪(ワル)になるか~」から「品行ゼロ」「ARAHAN アラハン」「死生決断」「クライング・フィスト」「怪しい顧客たち」「生き残るための3つの取引」まで、どことなく格好悪いけれど魅力的で血気盛んな若者演技の最高峰と言えるほど、リュ・スンボムから何度も見てきた姿がこの北朝鮮の捜査官にもある。

「チンピラっぽいんですか?長所に考えようとしています。それが僕の武器じゃないですか。ハハ。短所だと考えるよりは、そんな姿が好きな観客がいるので、それも期待値だと思います。歳をとってもあるキャラクターがリュ・スンボム化されることを期待している方がいらっしゃるのであれば、それが僕の特技なのかも知れません。もっと発展させていくべきところだと思います」

実際に、リュ・スンボムは自身の夢について「60歳になって友だちと杖をついて会って『僕たちどのクラブに行こうか?』と話をするのだ。ミック・ジャガーが僕の人生のお手本だ」と話す。

それでは、実際の姿はどうだろうか?彼は自らについて、食い意地も張らないし、非常に敏感だと話す。「敏感なところを鈍くしたいです。ファンにもあまり親切ではありません。自分の感情に率直なほうです。しかし、ポジティブになりたい人です。ポジティブな人が与えるいい機運があればと思います。まだポジティブな人間だとは言えませんが、さらにポジティブになろうと努力しています」

俳優としてのリュ・スンボムの長所はおしゃれなこと、つまり、人が感嘆するほどのファッションセンスを持っていることと、体をよく使うということだ。「ベルリンファイル」でも普通の洋服を着ているが、ファッショナブルに感じられる。彼は「実際に北朝鮮の高官の子息の中では下着まで高級ブランドを着る人もいるそうだ。豊かな暮らしをする人であるだけにテイストは良くなくても、外見を気にする人である可能性もあると思った」と述べた。そして付け加えた一言。「僕は何を羽織ってもファッショナブルですから。ハハ。冗談ですよ」

これまでの作品でもたくさんのアクションを披露した彼は、今回の映画では生身のアクションに銃撃シーンも披露する。初めて銃を握ってみた彼は「とても良かった。ストレスが解消されて、サウンドの快感があって良かった」と笑って話した。彼は「実際に銃は普段は手にすることがないためか、映画を通じて間接的に経験するのがとても興奮して、危険だから妙な快感があった」と付け加えた。映画の中で登場する銃は、銃弾が入っていないだけの実際の銃だった。

アクション演技をしながら怪我はしなかったかと聞くと、「折れて縫って、それくらいの栄光の傷が残ってこそ怪我したと言えるが、そんなのが1ヶ所もない」とし、本人の体の優れた感覚を認めた。「ダンスも好きで、体を動かしてアクション演技をするのが好きです。そちらには自信があります」

本人のフィルモグラフィーで愛着を持っている作品を聞くと、しばらく考えて「僕の20代を振り返ると、いくつかポイントがあると思う」と答えた。

「『品行ゼロ』で本格的なスタートを知らせ、大先輩(チェ・ミンシク)に会って『クライング・フィスト』を撮影しながら演技の勉強になりました。記憶に残る作品です。『生き残るための3つの取引』の役も良かったです。観客から一番支持を受けた作品です」彼が選んだ映画界の親友は先輩のチェ・ミンシクとファン・ジョンミンだ。

いつかは究極のチンピラ演技を披露したいという彼だが、そんな演技しかできないと思うのは間違いだ。年上の女性を愛するドラマ「孤独」があったし、リュ・スンボムがこんな図太い演技もできると感じさせた「容疑者X 天才数学者のアリバイ」もあった。しかし、いつまでもリュ・スンボムのチンピラっぽさを見たいのも事実だ。自ら「目立ったことをしなくても、長く演技をする役者になるのが夢だ」と述べた。

記者 : チェ・ナヨン