「馬医」魔性の魅力を持つチョ・スンウ

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写真=MBC

百万ドルの微笑み&ピカイチの演技

チョ・スンウは、典型的な韓国人の顔立ちをしている。細くて長い一重まぶたと綺麗なフェイスライン、大きくない目鼻立ちは、平凡で親しみがわく顔である。だからなのか、彼は時代劇によく似合っている。2000年、イム・グォンテク監督が手がけた「春香伝」の夢龍(モンニョン)役でデビューし、1960年代~1970年代を舞台にした映画「ラブストーリー」(2003年)、「下流人生~愛こそすべて~」(2004年)、「Go Go 70s」(2008年)などのに出演した。入隊直前に出演した映画「炎のように蝶のように」(2009年)も、1890年代を舞台とする時代劇だった。

そんな彼が、時代劇の巨匠イ・ビョンフン監督と手を組んで朝鮮時代へ移動した。彼は、MBC月火ドラマ「馬医」で人間的魅力が溢れる獣医ペク・クァンヒョンとして出演している。チョ・スンウがデビュー13年目にして初めてドラマに挑戦することで話題を集めた同作は、「イ・サン」「トンイ」を手がけたイ・ビョンフン監督とキム・イヨン脚本家がタッグを組んだことで、放送開始から期待を集めていたドラマである。ペク・クァンヒョンは、身分の低い馬医から王の主治医の座まで上り詰めた実存の人物で、身分の低い自分よりもさらに賤しい存在である動物たちに向けた無限の愛情は感動を呼び、何気なく話すセリフとひょうきんな表情が視聴者を楽しませている。また、常に優しくて純粋だったチョ・スンウに、こんな面があったのかと思えるぐらい意外な楽しみを与えている。彼は、熟練した舞台俳優らしい力強い発声ときちんとした発音、そして豊かな表情で味のある演技を披露している。

イム・グォンテク監督が夢龍(モンニョン)役の候補者1000人の中から選んだチョ・スンウは、映画界の巨匠の慧眼に応えながら映画とミュージカルでいろんな役柄に完璧に変身し、観客を満足させてきた。「ラブストーリー」では初々しい初恋の純情男ジュナに、「マラソン」では百万ドルの脚を持った自閉症の青年ユン・チョウォンに、「タチャ イカサマ師」では賭博の才能に恵まれたギャンブラーコニに完璧に変身した。

ミュージカルの出世作で、彼の代表作とも言える「ジキル&ハイド」では、優れた演技力と歌唱力で初主演作であった同作を大成功させた。全公演でスタンディングオベーションを受け、平均座席占有率99%など、韓国ミュージカル界に新記録を打ち立てた同作は、2006年には日本のステージにも進出した。日本では観光客たちが蚕室(チャムシル)のロッテホテルに宿泊しながらシャーロッテシアターでチョ・スンウが出演するミュージカルを見る観光ツアーが登場するほど、同作は韓流ミュージカルの火つけ役となった。

善悪が共存するジキル博士とハイドのように、「馬医」の中でペク・クァンヒョンも、動物に向けた温かい心と共に女性たちを惹きつける熱いハートを持った“ギャップのある”人物である。特に彼は、子どもの頃の初恋の相手である医女(両班や王族などに属する高貴な女性を診察するための女性の医師)カン・ジニョン(イ・ヨウォン)に持った好意を隠しながら何気なく冗談を言う、恋の駆け引きのプロである。甘い声と優しそうな目つき、そして思いやりのある人柄は、女性たちの心をときめかせるのに十分だ。重くてシリアスに流れがちなメディカルドラマを、百万ドルの微笑みで明るく照らしているのである。さすがチョ・スンウは違う。テレビドラマまで圧倒した彼の疾走が期待される。

記者 : キム・ミンソン(ソウル総合芸術学校理事長)