Vol.2 ― 放送終了「馬医」チョ・スンウ、最後まで温かかった…“ヒーリングのアイコン”

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※この記事にはドラマ「馬医」の結末に関する内容が含まれています。
写真=MBC
人の平均体温36.5度。人間味溢れる「馬医」の医者チョ・スンウは、36.5度の温かい手で患者を治療した。彼の生命尊重思想と前向きな考え方は、お茶の間に温かさと元気を届けた。

韓国で昨年10月1日に放送が始まったMBCドラマ「馬医」が、25日第50話を最後に放送終了となった。この日の放送でペク・クァンヒョン(チョ・スンウ)は御医(王の主治医)となり、カン・ジニョン(イ・ヨウォン)と結婚した。数年後、グァンヒョンは衿川(クムチョン)の県監になっていた。グァンヒョンは人々と実際にコミュニケーションをとるだけでなく、動物をも治療していた。グァンヒョンが馬に針を刺す最後のシーンで、現在のグァンヒョンと過去馬に初めて針を刺していたグァンヒョンの姿が交差し、大きな余韻を残した。

「馬医」は「ホジュン~宮廷医官への道」「トンイ」「イ・サン」などを演出し、執筆したMBC時代劇の大御所イ・ビョンフン監督とキム・イヨン脚本家が意気投合した作品だ。チョ・スンウの初めてのドラマ出演作品でもあった。チョ・スンウはペク・クァンヒョンに溶け込んだ。序盤にはやや違和感があり、発声が似合わないとの指摘もあったが、チョ・スンウはペク・クァンヒョンと共に成長していった。チョ・スンウは「2012 MBC演技大賞」で大賞を受賞した。その時チョ・スンウは「視聴率が20%を超えてほしい」と話していたが、その影響なのか1月に放送された第32話で「馬医」は20%の壁を越えた。最高視聴率は23.7%だった。

「馬医」は劇の序盤で動物のエピソードを描いていたので、新鮮さがあった。実際に病気を患っているような馬や猫などの演技は話題になった。グァンヒョンはジニョンに猿を使って花を渡し、自分の気持ちを伝えたりもした。どのドラマでも使われていなかった前例のないプロポーズだ。

またチョ・スンウが披露した「さすが昼は貞淑でも夜は遊べる女性ですね」(PSYの「江南(カンナム)スタイル」の歌詞をパロディした台詞)や「僕、医女さんにだけ特別にこの針を刺す方法を教えますので……気になりますか?気になったら5分頂戴」(「ギャグコンサート」のコメディをパロディした台詞)などの面白いパロディと図々しい演技はドラマを明るいものにした。ユニークで若い感性を持つスクフィ姫役のキム・ソウンの恋も欠かせないドラマの活力源だった。

ペク・クァンヒョンが馬医という低い身分にもかかわらず、躊躇せず医術試験を受けるシーンは痛快だった。しかし、人を治療する人医になってからストーリーは陳腐なものになった。グァンヒョンが助けられない人はいなかった。この頃からドラマは「ホジュン~宮廷医官への道」「宮廷女官 チャングムの誓い」「トンイ」などと同じようなストーリーで展開された。

写真=MBC
グァンヒョンには大きな試練もあった。グァンヒョンはコ・ジュマン(イ・スンジェ)の腐骨疽を治療するために手術を行ったが、コ・ジュマンは後遺症の破傷風で命を落としてしまった。グァンヒョンは自らを責め、清へ外科術を学ぶために去った。しかし、背景が中国になっただけで、展開は同じだった。グァンヒョンには毎日のように危機が訪れ、グァンヒョンは危うくなりながらも結果的には素晴らしい成功を遂げた。グァンヒョンは危機脱出の鬼才だった。

3年後、グァンヒョンは朝鮮に戻り、内医官になった。そして姫や皇太子、王様、大妃などが一度は病に倒れた。グァンヒョンは王室の人々の病を全て完治させ、その能力を認められた。しかし、ジニョンとの恋はなかなか実を結ばなかった。イ・ミョンファン(ソン・チャンミン)の陰謀のせいでもあったが、何よりも二人はすれ違う運命を生きていた。

「馬医」の出生の秘密は、青春時代の愛する男女が背負うには重いものだった。しかし、この出生の秘密にも温かい感情が溶け込んでいた。それは父性愛だった。過去ペク・ソック(パク・ヒョクグォン)はカン・ドジュン(チョン・ノミン)への感謝の気持ちから、自分の娘であるジニョンとドジュンの息子であるグァンヒョンをすり替えた。ドジュンの子供が息子である場合その場で殺されるため下した決定だった。このように温かい心を持つソックの元で育ったグァンヒョンは、真っ直ぐな青年に成長することができた。さらにグァンヒョンはドジュンから譲り受けた天才的な才能も兼ね備えていた。グァンヒョンは実父のドジュン、そしてソックを誇りに思い、二人に感謝していた。ジニョンは後で幼い頃に出会ったソックが自分の実父であるということを知り、熱い涙を流した。そして自分を育てたミョンファンを憎むも、彼を父として認めた。

「馬医」の繰り返されるストーリーは残念だったが、温かいドラマではあった。グァンヒョンは患者の一人一人を真心を込めて治療し、命を助けるために孤軍奮闘した。彼が患者の心を癒していたので、お茶の間までも“ヒーリング”された。特にグァンヒョンが馬医から御医になるまでの過程は非常に険しかった。ただで得た地位ではなかった。諦めることなく、自分自身と戦っていたおかげで可能だったのだ。グァンヒョンの成功が与えた意味は大きかった。

何よりもグァンヒョンは御医になっても何一つ変わらなかった。グァンヒョンは最後までグァンヒョンらしかった。県監になっても馬を治療するグァンヒョンの姿は、「本当にこのような人がいるのだろうか」という疑問さえ抱かせた。

どろどろ系のドラマが溢れている中、「馬医」は一筋の光のような存在だった。グァンヒョンは治療を通じて成長し、視聴者には勇気を与えた。ペク・クァンヒョン、そしてチョ・スンウは“ヒーリングのアイコン”として長い時間が経った後も人々の心に残っているだろう。

「馬医」の後番組としてはイ・スンギとmiss Aのスジが主演を務めるドラマ「九家の書」が放送される。半人半獣として生まれたチェ・ガンチが人間になるために奮闘するストーリを描いた時代劇で、4月8日に韓国で第1話が放送される予定だ。

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記者 : ソン・ヒョジョン