「大風水」イ・ジン“私の演技点数は82.5点…長い空白期間が薬になった”

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写真=キングコングエンターテインメント

「好評は予想できなかった」

女優というタイトルよりも、ガールズグループFin.K.L(ピンクル)のメンバーというタイトルに慣れていたイ・ジン。彼女が変わった。10年間演技だけに力を注いできた結果なのだろうか、深みのある演技を披露した彼女には“イ・ジンの再発見”という好評が殺到した。

SBS大企画「大風水」で抜群の演技力をアピールしたイ・ジンに会った。早朝のインタビューであったが、疲れを見せるどころか終始笑顔を見せ、演技に対する話をする時には目を輝かせた。

イ・ジンは「大風水」で堅固たる意志と真っ直ぐな性格を持ったソウングァンの教授で、切ない母性愛の持ち主でもあるヨンジの若い頃を熱演した。ドンリュン(チェ・ジェウン)に恋をしてチサン(チソン)を妊娠するが、イ・インイム(チョ・ミンギ)の妻になる悲運のキャラクターだ。様々な感情を持ち、演じるのが難しいキャラクターである。そのためだろう。イ・ジンはヨンジというキャラクターに対する愛情を表した。演技力が高く評価されたことについて聞くと、手を振りながら笑った。

「予想できなかったこと。私一人の成果ではない。監督や共演者の方々がたくさん手伝ってくださったおかげ。3拍子がうまく合ったので良い結果が出たんだと思う。何よりキャラクターがよかった。誰でも欲しがる役だった。これまで見せてきたことよりも、はるかに多様な姿を短い時間に見せることができたし、そのような点をよく評価していただけたと思う」

イ・ジンは「大風水」に出演する前、すでに時代劇に出演した経験があった。2007年に韓国で放送された「王と私」でチャスン大妃役を演じたのだ。今回のドラマで時代劇には2度目のチャレンジとなったが、緊張感を緩めなかった。プレッシャーも感じていた。短い登場ではあるものの、第8話までのストーリーをリードする重要な配役であったためだ。

「ヨンジ役にキャスティングされた時は不安だった。200億ウォン(約14億円)を投じた大作だったし、物語の序盤をリードしなければならなかったし、一度放送が見送られた作品だったため、かなりのプレッシャーがあった。しかし監督が力になってくれた。私が気楽に演技できるようにしてくれた。監督を信頼して撮影を始め、私のプレッシャーを監督に分けた(笑)」

ヨンジ役を完璧にこなしたイ・ジンに、好評が殺到した。イ・ジンの演技人生において初めてのことでもある。周りの反応ではなく、イ・ジン自らがつける点数が気になった。すると、最初は躊躇したが、じっくり考えた後に恥ずかしそうに話を始めた。

「好評を受けたことについては感謝するだけ。しかし、実際完璧に気に入る演技はない。物足りなさが残って、車でセリフを再び言ってみることもある。他の役者もそうだと思う。もっとうまくできたかもしれないという気持ちがずっと残っている。『大風水』でも同じだった。よくできた演技もあれば、物足りないと思った演技もあるので、(点数をつけると)82.5点くらいだと思う」

「オ・ヒョンギョン先輩に感謝している」

イ・ジンは今年の6月から俳優チョ・ミンギ、オ・ヒョンギョンらと息を合わせてきた。夏と秋を一緒に過ごしたわけだ。俳優の中の末っ子としてたくさん可愛がってもらえたという。チョ・ミンギはイ・ジンに“ティンカーベル”というニックネームをつけたりもした。

「撮影チームの中で一番若かったので、皆さんに可愛がってもらえた。チョ・ミンギ先輩は強いキャラクターをよく演じるので怖いイメージがあったけど、台本練習の時からとても優しくしてくれた。そのような面が実際の演技にまでつながり、気楽に息を合わせることができた。また、先輩はいつも若い感覚を維持しようとして、対話も面白くしてくれた。先輩だけど、他の先輩とは違って、たくさん話をすることができた」

何より「大風水」ではイ・ジンとオ・ヒョンギョンのカリスマ対決が注目を集めた。先輩女優と鋭い対決を繰り広げることは簡単ではなかったはず。この部分に対してイ・ジンは、オ・ヒョンギョンに対する感謝の気持ちを表した。

「オ・ヒョンギョン先輩はベテラン女優。だから、プレッシャーがなかったというのは嘘になる。でもそれを乗り越えることができたのはオ・ヒョンギョン先輩のおかげだった。リハーサルの時に一緒にセリフの練習をしてくれた。後輩にそうしてくれる先輩はいない。また、たくさん配慮してくれた。数回のリハーサルを通じて良い演技をすることができた」

イ・ジンはチョ・ミンギとオ・ヒョンギョンの演技スタイルまで把握していた。「オ・ヒョンギョン先輩は撮影前のリハーサルの時から没頭するスタイル。でも、チョ・ミンギ先輩は撮影に入る前までは真剣じゃないけど、撮影が始まるといきなり変わるスタイル」と言い、「そして、私は先輩に合わせるスタイル」というセンスのある発言を付け加えた。

「スランプだと思ったことはない」

ガールズグループFin.K.Lとしてデビューしたイ・ジンは、華やかで忙しい4年間を過ごした。学生時代のすべてをFin.K.Lの活動のために捧げたのだ。その後、ガールズグループとしての生活を終えた彼女は役者に目を向けた。デビュー作はMBCシットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で連続放映されるコメディドラマ)の「ノンストップ3」だった。

「振り返れば、Fin.K.Lとして活動したおかげで演技の道が早く開けたと思う。『ノンストップ3』は同年代の同僚たちと楽しく撮影をした。女優になりたいと本格的に思った時、バラエティ番組にも出演したが、そのイメージがあまりにも強かった。他の演技をしてもキャラクターが重なったし、劇中のキャラクターとして見てくれなかった。その時、時間が必要だと思った」

人々に完全な女優のイメージをアピールしたかったが、容易ではなかった。「Xマン」「反転ドラマ」などのバラエティ番組で作られたイメージが強かったからだ。彼女はバラエティ番組でのイメージだけでなく、Fin.K.Lのイメージも捨てたいと思っていた。結局、活動休止を決めた。そして自身を省みる時間を持った。そのような努力が今のイ・ジンを仕上げた。

「せっかく余裕を持とうと心に決めたので、楽しむことにした。家族や高校の時の友達などに会いながら心の余裕を取り戻した。若い頃は人に見られたくないと思って、出掛ける時には顔を隠した。周りのことは見ようともせず、自身の欲を満たすことにあくせくとしていたが、今は変わった。薬になる時間だった」

すでに女優としてデビュー10年目を迎えるイ・ジンだが、多作はしなかった。8本の作品に出演しながら休んだ時間も長かったが、それをスランプだと思ったことはないと言う。これからがさらに重要だと強調した。また、彼女はバラエティ番組のことも考えていた。だが優先順位をつけると、一番は演技だ。彼女は「演技に対する支障がない限り、バラエティも並行したい。演技する時には女優として、バラエティに出演する時には芸能人として見てくれたら良いと思う」と率直に打ち明けた。

女優として歩んできた道よりも、これから歩む道が長いイ・ジン。演技の本当の味を味わった彼女の変身が楽しみだ。彼女はどんな女優になりたいのだろうか。

「演技が好きで、面白い。一生続けたい。欲張らず、今のように楽しみながら幅広い演技をしたいと思っている。一つのキャラクターを引きずることなく、どのようなキャラクターもうまく演じきる女優になりたい」

記者 : パク・グィイム