Vol.2 ― 「嘆きのピエタ」チョ・ミンス“キム・ギドク監督の作品が韓国で公開されるなんて!”
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ベネチア国際映画祭での受賞より望んでいることは、帰ってくるまで「嘆きのピエタ」が上映され続けていること
女優歴23年のベテラン女優だが、初めての国際映画祭、しかも世界3大映画祭の一つであるベネチア国際映画祭への出品は緊張するに違いない。しかも、ベネチア国際映画祭にもっとも多く出品した経験があるキム・ギドク監督の作品であるため、受賞も期待できる。インタビューのために会ったチョ・ミンスに、映画祭出品に対する感想と期待を聞くと、彼女は断固としていた。「世界3大映画祭は監督の舞台で、私はただ一緒に楽しくついていくだけです」と言う。それでも密かな期待とトキメキはないのかと“執拗”に聞くと、「遊びに行くから嬉しい」と言って朗らかに笑う。
「私があまりにも淡々と話すからおかしく思うかもれませんが、ベネチアに行くと最初に聞いたときは、『わぁ!レッドカーペットを踏めるの?』と聞き返しました。韓国の映画祭では一つの日にまとまってみんながレッドカーペットに集まりますが、あそこは違うみたいです。映画が上映されるその日にレッドカーペットを踏めるということなので、これはまた違う感じじゃないですか(笑)」
「嘆きのピエタ」最初は映画マニア向けだと思った?
チョ・ミンスはインタビューをしながら、5月に開かれたカンヌ国際映画祭の話を切り出した。当時、コンペティション部門に出品された「蜜の味 テイスト オブ マネー」が2300席余りのリュミエール大劇場で上映されたとき、観客たちは監督と俳優に対して数分間拍手を送り続けた。もちろん、映画祭に作品を出品した監督と出演俳優に対する礼儀を重んじる心が強いが、現場に一緒にいた当事者としては感激で胸がいっぱいになった瞬間であったことは間違いない。「招待を受けて遊びに行くことになったというだけで嬉しくて、期待はしていません。期待をして何がどうなるかなどは考えません。最初は『嘆きのピエタ』が多くの人々には見てもらえないだろうと思っていました。『映画マニアかキム・ギドク監督のファンがDVDを買って見るんだろう』と考えて作品に参加しました。しかし、いつからか配給会社がついて劇場で公開されるという話を聞いて驚きました。配給会社の関係者がキム・ギドク監督のファンだったそうです。『あ!監督の人徳だな』と思いました。単純に映画が好きな人くらいが見るだろうと思っていたのが、人々に披露されると思うと幸せでした。そういう意味でベネチア国際映画祭出品は私には『もう一ついいことができた』という程度です。今望んでいることは、受賞よりはベネチアから帰ってきたときまで『映画館で上映し続けられていますように!』ということです(笑)」
昨年、キム・ギドク監督が発表した「アーメン」「アリラン」はいずれも海外の複数の映画祭に出品したが、韓国では公開されなかった。もちろん、既成の俳優が参加しなかったり、監督が自らを撮った形式の作品だが、韓国の観客にとっては残念なことだった。そういう意味で、チョ・ミンスの言葉は十分に共感できる答えだった。
疲れているときにリフレッシュする方法?ちゃんと休むことも大事
ベネチアでの計画を伝えながら、チョ・ミンスは本の話をした。読みたい本を持って行って、飛行機やホテルで読む計画だという。実は撮影がない日は、近所の本屋に行って本を読むことが趣味とのこと。女優にとっては休むことも仕事に負けないほど大事だ。休むということは体と心をリフレッシュする瞬間でもあるが、次の作品のための構想の時間でもあるためだ。普段チョ・ミンスは、ぼうっとしている時間がないという。最近は登山を始め、時々山に行き、自宅にいる日は常に何かを作るとのことだ。料理ではなく、編み物から家の中で活用できる簡単な小物を作る程度だ。
「作って販売するほどの実力ではありません。とにかく何かを作って忙しくしています(笑) パズルもしますし。雑念が多いときにやれば集中ができて、他のことは思い出さなくなります。その時間に没頭しています。何かをしているけど、かえって平穏になる瞬間です」
「リトル・トリー」は、チョ・ミンスが最初に選んだ本だった。大変なときにいつも読んでいる本だとしながら、チョ・ミンスは「心が温まる経験をすることになる」と付け加えた。彼女には癒しの意味がある本なのだ。
「『7年の夜』を書いたチョン・ユジョンさんですか?その方が書いた『私の心臓を撃て』も好きです。本当に奇抜な本です。推理やサスペンス小説といえば、以前はシドニー・シェルダンやジョン・グリシャムをよく読みましたが、それを超えています。私が感心しながら読んだ韓国の作家でした。最近はチョ・ジョンレさんの『太白山脈』を読んでいます。まだ読み終わっていませんが、ベネチアに行って読み終える予定です。一文字一文字に心がこもっているというか、『たくさんのことを考えて苦労して書いたんだな』と感じました。韓国の現実が忘れられているんじゃないかと思いました。私たちの世代やそれ以降の世代のためのいい古書で歴史本です」
記者 : イ・ジョンミン、イ・ソンピル