Vol.2 ― 「共謀者」イム・チャンジョン“アドリブを入れたくて口がむずむずした”

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写真=ユ・ジンヒョン
イム・チャンジョンが、顔から笑いを消した。これまで観客の笑いを誘ってきた彼のことを考えると、意外だと言える。

彼は、キム・ホンソン監督の犯罪スリラー映画「共謀者」で臓器密売組織現場の総責任者であり、最高の実力者でもあるヨンギュ役を演じ、冷静な悪人に扮した。彼が“悪”のかなりの部分を占めているだけに、映画の中で彼のコミカルな姿を期待したら、がっかりするかもしれない。

それだけに、今回の映画は暗くて慎重な雰囲気の中で行なわれた。強い男性的なイメージを強調するために釜山方言まで駆使した。そのため、いくらアドリブの達人と言われるイム・チャンジョンだといっても、即興でアドリブを考えることは容易ではなかった。

彼は、「口がむずむずした。この台詞の後にアドリブをしたいが、方言でしなければならなかったので、心の中でしかできなかった。アドリブは浮かんできたが、できなくて気が狂ってしまった。NGを出した後、どうすればいいのかと聞いてみた。その台詞を言おうとしても撮影現場で方言を学んだため、上手く表現できなかった。そして、監督さんが『なるべくアドリブをしないように』とおっしゃった。監督さんがヨンギュではなく、イム・チャンジョンの姿が見えるのを嫌った」と説明した。

イム・チャンジョンは「共謀者」を撮影しながら、肉体的に辛い時間を過ごした。彼自ら「映画『南部軍』以来、こんなに肉体的に大変だったのは初めてだ」と打ち明けたほどだ。零下20度の厳しい寒さと戦わなければいけなかったし、肋骨を骨折したまま、難易度の高い自動車のアクションシーンを見事にこなした。

写真=ユ・ジンヒョン
また、心的な負担も彼を苦しめた。劇中、ヨンギュが釜山(プサン)の方言を使うため、1ヶ月間釜山で暮らしながら方言を習得したが、彼は満足できなかったのだ。

イム・チャンジョンは、「方言は長い間、その地域で暮らしてきた人々の情緒が盛り込まれている。同じ抑揚で話しても、情緒まで代弁することはできないと思う。いくら頑張っても真似するだけで、その地域で暮らしている人にはなれない。これは演技者としてはいけない言い訳だが、努力をしなかったという話ではなく、その情緒を表すためには、長い間その地域で暮らしてみなければならないということだ」と大変さを打ち明けた。

だが、こうした困難を乗り越えて誕生した「共謀者」は、彼に異なった世界を広げてくれた。コミカル俳優というイメージを払拭させただけではなく、スリラー映画にも合う俳優だという事実を証明してくれた。

彼は、「“いつか”ということに対する強迫観念はない。昔からスリラー映画が好きで、『共謀者』のような映画にも出演したかったが、『僕にこういう役を演じさせてください』ということではなかった。僕は待ち続ける。『いつか、その時になり、時間が経てば、僕にも変化というタイトルが付くだろう』『いつか、その時になると僕にも来るだろう』と思う。僕は仕事が与えられると、どんなことであれ自分の心を動かすことができるし、これを通じて人々の心を動かすことができるのならば、どんな本、どんなポジションでも頑張るだけだ」と語った。

映画「共謀者」は、韓国と中国を行き来する旅客船で旅行者たちを対象に臓器を摘出し、組織的に売買する企業型犯罪集団の実態を描いた犯罪スリラー映画だ。イム・チャンジョンの他、チェ・ダニエル、オ・ダルス、チョ・ユニ、チョ・ダルファン、チョン・ジユンなどが出演した。韓国で29日に公開される予定だ。

写真=ユ・ジンヒョン

記者 : キム・ミリ