Vol.2 ―「追跡者」リュ・スンス“結末?後は裁判あるのみ”

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写真=マイデイリー DB
俳優リュ・スンス(41)が、SBS月火ドラマ「追跡者 THE CHASER」(以下「追跡者」)の演技で注目されている。

「追跡者」で正義を具現し、娘と妻を失った刑事ペク・ホンソク(ソン・ヒョンジュ)を助けるチェ・ジョンウ検事が、心温かい魅力で人気を呼び、これまで黙々と作品に情熱を注いできたキャリア16年目の俳優リュ・スンスは、この作品をきっかけに一気に知名度を上げた。


“お坊さんのイメージを脱ぎ捨てたい”

最近、マイデイリーとのインタビュー取材に応じたリュ・スンスは、ドラマの中で演じている検事チェ・ジョンウそのままのスーツ姿で現れた。ドラマの撮影真っ只中だからか、リュ・スンスの一言一言が、チェ・ジョンウ検事の口調と姿にかぶった。彼が、これほど話題になったことがあっただろうか。数多くの作品に出演してきた彼にとっても「追跡者」は、本当に特別な作品となったようだ。

「僕は、映画にたくさん出演してきました。俳優の仕事をしていると傷つくことも多かった。一番最初に僕を俳優としてデビューさせてくれた作品が、『達磨よ、遊ぼう!』でした。その作品の中でのお坊さんキャラのイメージが、十数年間僕に付いて回りました。ようやくチェ・ジョンウ検事というキャラにイメージチェンジできたようです」

彼のその言葉を聞いて、「追跡者」の一ファンである私は、リュ・スンスのものすごい人気ぶりを実感させられた気がした。これまでは考えられなかった世間からの熱い関心に上機嫌でいると思いきや、プロ意識の高いリュ・スンスには、それらすべてが責任感として返ってきた。

「たくさんの人々に応援してもらえることに喜んでばかりいられません。もちろん、こんなにたくさんの関心を寄せてもらえることは、本当に幸せなことでもあります。でも一方でプレッシャーも感じます。今は、横断歩道もパッと渡れないし、プライベートで悪口も言えなくなるでしょう。酒を飲んで歩きながら歌を歌うのが好きだったのにそれもできなくなりました。正義感溢れるチェ・ジョンウ検事という役がくれた生活の変化にプレッシャーを感じています(笑)」


“「追跡者」は、大統領選挙を控えた国民のためのドラマだと思う”

「追跡者」は、大統領選挙の有力候補カン・ドンユン(キム・サンジュン)が権力のために手段を選ばない姿が描かれる。この過程で娘と妻を失ったペク・ホンソクは、巨大な権力に立ち向かった末、大統領選挙当日にメディアを通じて痛快な復讐に成功した。実際に今年12月、大統領選挙を控えている韓国にとってドラマ「追跡者」は、多くのことを示唆する記憶に残るドラマとなった。

「個人的にこのドラマは、国民全員に一つのことを提示していると思います。『公平な大統領を選ぼう。選挙は大事だ。正しいこの国の希望を提示しよう』と。食事をしながらテレビを観ているときに政治の話題が流れると、『追跡者』を観ているような気がするんです。ひょっとすると、国と国民のために用意されたドラマなんじゃないかと。ドラマが人気を呼んで大統領選挙前にどんな選挙CMよりも良い効果を発揮している気がします。そのためか、これまでの作品よりもやりがいを感じます」

10日に放送された「追跡者」でペク・ホンソクは、大統領選挙当日に有力候補であり、娘と妻を死に追いやったカン・ドンユンの犯罪を全国民に公開することに成功した。1話延長が確定し、最終話まで残すところ3話のみとなった「追跡者」。その人気だけに結末が気になる。

「もう最終段階に入っています。後は、もう裁判あるのみですね。検事として公正な裁判をしたいと思います。『追跡者』を応援してくださる皆さまに心温まる結末をお届けしたいです。僕が一番多く話したセリフが、挫折した後に言う『さあ、始めましょう』でした。本当に悔しかったし、絶望もしましたが、世の中は捨てたもんじゃないということをお見せできればと思います」


“来年には結婚したい”

数多くの作品を通じて演技のキャリアを積んできたリュ・スンスは、本当にロマンスとは縁遠い。だからか、「追跡者」の中でのソ・ジウォン(コ・ジュニ)記者との微笑ましいロマンスが印象に残る。これまで撮影した作品も「達磨よ、遊ぼう!」「スーパースター☆カム・サヨン」「グッド・バッド・ウィアード」「高地戦」など、すべて男性向けの映画だ。今年41歳の彼の実際の恋愛観について聞いてみた。

「結婚はしたいと思います。結婚した友達から“妻と子供を持たないことにした”ということを聞いて強いショックを受けました。彼は、年とってから子供を持つと、老後を子供のために捧げることになると話していんです。僕もその言葉に同感します。子供を持たないと決めたなら結婚する理由がないと思います。もしも来年まで結婚できなかったら一生独身で過ごそうと思います」

リュ・スンスは、2009年に「俺みたいな俳優になるな」という自叙伝を出版した。彼がこの本を出版した理由は、金のためでも名誉のためでもない。単に下積みからスタートした役者の道を後輩の俳優たちのために残しておきたかっただけだ。彼の経験は、自叙伝を通じて演技を始めようとする多くの俳優の卵たちの良いお手本となっている。

「自叙伝は、今も書いています。『俺みたいな俳優になるな2』ですね。いつもメモしてきたことを本にまとめるんです。パート1が、一般の人と俳優のためのもので、パート2はもっと俳優のための本を書いています。僕が知っているノウハウを後輩たちにもこの本を通じて習得してもらえたらプラスになると思って」

休みの日は本を書いているというリュ・スンスは、1年半前から禁煙している。

「タバコを吸いながらテレビを観ていたらふいに“自分のためにしたことってあるのかな”と思えて。常に僕は、自分に否定的な考えばかりを持っていたんです。こんなふうに過ごして死んでしまったら僕自身に申し訳ないと思えて、僕自身のためにやれることの一つとして禁煙を決心しました」

出演中のドラマ「追跡者」までずっと走り続けてきたリュ・スンス。次の作品までしばらくオフを取るという彼にオフの過ごし方について聞いてみた。

「父が高齢で。パスポートを発行して随分経つんですが、韓国国内の済州(チェジュ)島にも行ったことがないんです。父を旅行に連れて行きたい。タイミングってあると思うので、今元気なうちに旅行に連れて行ってあげたいと思います」

記者 : チェ・ドゥソン