【FAN REVIEW】「CROSS GENE」2012年という不運なデビュー時期を乗り越える術は?

Kstyle |

CROSS GENE「TIMELESS -BEGINS- Japan Edition」

2012年アジアを超えて全世界の音楽ファンたちを魅了させる新しいコンセプトのグローバルプロジェクトとして結成された韓国・中国・日本の3カ国6人による注目のダンスボーカルユニット“CROSS GENE”。

韓流ニュースサイト「Hwaiting!」で連載中のがっちゃん(『韓国の人がぶっちゃける、「韓」の「流」れ』)による“CROSS GENE”ショーケースレポート。

需要よりも供給が多くなってしまったら市場は危機を迎えると言いますが、今まさに韓国のアイドル業界が、そのような状況。

もう2011年の段階で既にアイドルグループが飽和状態になっている韓国という舞台で、今年以降デビューするアイドルグループは、勝率の低い戦場に自ら飛び込んでいくようなもの。

……と、誰もが口を揃える2012年のアイドル業界へ、先日勇敢なデビューを果たした「CROSS GENE」

選び抜かれた逸材、有名プロデュースの楽曲と踊り、長い間準備されたであろう洗練された事務所のマーケティングなどが期待されるところですが、彼らのデビューショーケースでの舞台を見て、正直、頭を抱えそうになってしまったのも事実。

「日・中・韓の3ヵ国メンバーがいる」という特徴以外には、何らパッと目をひく印象が無く、この手のアイドルとしては大事な要素である「外見」も、アイドルよりはバスケットボール選手のようなガッチリした雰囲気。日本や中国でならまだしも、果たして今の韓国の大衆に注目される事は可能なんだろうか、と。

せっかくショーケースまで観させてもらっている身なのに、こんな感想ばかりで申し訳無いなぁと思っていたところ、そんな彼らの印象がガラリと変わる、貴重な瞬間がやってきたのです。

それは、20~30分ほどのトークタイム。正確にはMCの方と記者の方々とのインタビューでしたが、そこでやっと「日・中・韓の3ヵ国メンバーがいる」という特徴が光を見た瞬間を迎えました。

たどたどしい韓国語で必死に喋る、意外に真面目そうなリーダーの日本人メンバー。

聞き取りすらままならない代わりに、大げさなジェスチャーで存在をアピールする中国人メンバー。

言葉の上手さ以前に、喋るたびに天然さがにじみ出る中国人メンバー。

そして彼らを何とかフォローしようと頑張る役回りの韓国人メンバーたち。


トップスターの顔つきでデビューしてくる最近のアイドルグループにはあまり見かけられない「初々しさ」が、バラエティやトークショーなどに出たとき個性として光る可能性がある。そう思ったのです。

どこの国でも、たどたどしい言語で頑張る外国人タレントは視聴者の目に可愛く映るもの。2PM・ニックンやf(x)・ビクトリアが、いくら美男美女さんとは言え、もしも韓国人だったら、果たして(特定ファン以外の)大衆的に、あれだけ注目を浴びて認知されていたかは断言できないものです。

そして何より、アイドルグループでは意外と大事なのが「末っ子」のキャラと役割だと信じて疑わない私。末っ子のキャラクターしだいで、チームのカラーが決まると言っても過言では無いワケですが、こちらの末っ子である中国人メンバーは、幸運なことにも「天然・無邪気」というイメージを持っていらっしゃる。

これはチームとしては本当に幸いな事なのです。

外国人メンバーで、天然で、しかも末っ子。これだけ貴重な要素が揃うのも珍しいもので。彼らは決して、巷で流行った「神秘主義」などの手法を取ってはいけない事だけは確かでしょう。

外国人メンバーを出来るだけ多くのバラエティに出演させ、そのキャラクター性と初々しさを全面に押し出して多国籍グループとしての魅力を存分に発揮するべきだ、と私は思いました。

もちろん歌手なので歌と踊りが大事なのも確かですが、アイドル音楽が伸び悩む市場ではインパクトに欠けるのも事実。むしろ「天然系外国人アイドル」というキャラクターで、とにかく大衆的な認知度を高めていく事こそが、彼らのデビュー曲「La-Di Da-Di」への関心を高める近道だと確信しております。

このあふれるアイドル業界に、日・韓・中の魅力をクロスした新鮮な流れをもたらしてくれることを期待するのみ!

CROSS GENE Debut Show Case
2012年6月7日(木) AX-KOREA(ソウル市広津区)

記事:がっちゃん
韓国の人。 東京外国語大学への交換留学時代に身につけた戦闘能力で出版した本(東方神起への時間旅行2004-2012:扶桑社)がベストセラー入りし、トマトを頭に被ってのサイン会を催すなど、収まることを知らない悪ふざけを糧に今まで何とか生き抜いてきた人。
持ち前の変態度合いが人様にウケて、いつの間にか物凄い事になってしまったブログを運営しているものの(開設1年ちょっとで累計訪問者数3000万アクセス超) 実はただのマニアックな平和主義者。大統領との通訳をしたり、大学の生徒会役員を勤めたりなど、 (韓)国内でも幅広いスペックを持っているが、 実際は部屋にひきこもってアニメ鑑賞や深夜ラジオを聴いてる瞬間が一番心休まる人。

音楽やドラマだけじゃない。ファッション、アート、ダンス、K-コミック、K-文学など、幅広いK-カルチャー情報を発信するHwaiting!/ファイティン

記者 : Kstyle編集部