【PREVIEW】「カクシタル」チュウォン“韓国型スーパーヒーロー”にふさわしいか

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写真提供=KBS

KBS水木ドラマ「カクシタル」(脚本:ユ・ヒョンミ、演出:ユン・ソンシック、チャ・ヨンフン)5月30日初放送
「力さえあれば賤民でも総理になれる時代だ。見てろよ、俺がどこまで上り詰めるか」日本統治時代、朝鮮の独立運動をしている最中に変死した父と、大日本帝国政府による厳しい拷問により精神がおかしくなってしまった兄のイ・ガンサン(シン・ヒョンジュン)を持つイ・ガント(チュウォン)は、それならばと大日本帝国に忠誠を誓う巡査になろうとする。彼が巡査として出世街道を歩んでいたある日、突然馬に乗って現れたカクシタル(韓国のお面劇で妻役が付ける仮面)を被った反逆者が、鋼の尺八ひとつで武装した巡査たちを攻撃する。反逆者を追い詰めたところで、ガントはカクシタルの正体が兄のガンサンであることを自分の目で確認し混乱に陥る。

チュウォンは“韓国型スーパーヒーロー”にふさわしいか?

日本統治時代、必ず成功したいと野望を燃やすガントの目は、十分にエネルギーと反抗心を表していた。特にユン・ソンシク監督は「チュウォンの目つきを見て、彼をキャスティングした」と言い、「彼が目をギラつかせて睨むと、漫画によく登場する“あの”四角い感じの目になる」と冗談まじりの説明をしてくれた。そしてチュウォンも、「テッキョン(韓国の伝統武術)や空手など、休みの日にはいつもアクションの練習をしている」と語っている。これならスーパーヒーローになるための基本的な条件を満たしていると言えるのではないだろうか。ただガントとは、大日本帝国政府に忠誠を尽くしていたが、とあるきっかけによりカクシタルになるという人物である。正反対に変わってしまう姿を、説得力を持って演じるためには、より繊細な感情表現が必要になりそうだ。

ホ・ヨンマンの漫画「カクシタル」とはどのように違うのか?

ドラマは原作の大きな枠組みだけを借りただけで、キャラクターの性格や細かい設定には大きな違いがある。原作でのガントは隙が多くバカにされそうなほど優しい性格なのだが、ドラマではしぶとく強く冷たい人物として生まれ変わった。さらに作品の始めの方で、カクシタルとして活躍するガンサンも実は原作ではそう大きく扱われていないキャラクターである。だが、決定的に原作とドラマを区別するのは恋愛要素の有無である。漫画ではモクダンという人物が主役級で登場もしなければ恋愛も一切ない。それがドラマでは、モクダン(チン・セヨン)とガント、木村シュンジ(パク・ギウン)の複雑な恋が彼らの悲劇的な運命と交差し、よりダイナミックな展開となる予定である。

日本統治時代と抗日運動は興味深い物語?

日本統治時代が「韓国人なら誰もが注目する時代背景」(チュウォン)ではあるのだが、KBS「京城スキャンダル」や映画「モダンボーイ」など、これまで同時代を扱った作品の成績はそれほど芳しくなかった。それだけ、当時を生き抜いた人物の物語が、現代を生きる人の共感を引き出すのが難しいと言えるだろう。暗い時代のことだけに、ストーリーが深刻で重たい方向へと流れてしまうのも大きな難点である。「カクシタル」が、KBS「チュノ~推奴~」や「逃亡者PLAN B」で使われた“レッドワンカメラ”よりワンランクグレードアップされた、“レッドエピック”を使って撮影され、より明るい解像度と深度で「日本統治時代をもっと明るく華麗に」(ユン・ソンシク監督)描こうとするのもそのためである。もちろん抗日運動をする人物と視聴者の共感を作り出すことが、見栄えのいい画面を作ることよりも優先すべきではあるのだが。

見守っています

―シン・ヒョンジュンの狂った演技とはどれほどでしょうか。参考にSBS「愛の贈り物」でシン・ヒョンジュンが演じたチェ・ゴマンはバカではなく天才でした。
―コクドンサーカスの団長の名前はシン・ナンダ(イ・ビョンジュン)、団員の名前はオ・ドンニョン(イ・ギョンシル)。「ムン・ヨンナム脚本家スタイル」の命名法が流行ってるのか?
―KBS「ブレイン 愛と野望」とSBS「屋根部屋のプリンス」に続いてもう一度お母さん役で登場するソン・オクスク。演技賞に“すばらしい母親賞”があるとしたら彼女がもらうべきかも。

記者 : ファン・ヒョジン、翻訳 : イム・ソヨン