2AM スロンがおすすめする「男の世界を描いた映画」
10asia |
顔立ちが整っている。体格は、すらりとしている。スーツがよく似合って、スーツ着て歌を歌うと多くの女性が歓声を上げる。そして、彼はこう言った。「人々に認められるということは、結局僕のすることが人々に受け入れられた時に可能じゃないですか。歌もそうですし、番組で何か一言、発言しても、僕がちゃんとしていればこそ、人々に受け入れられるわけですから。だからこれからも成長し続けたいと強く思います」
アイドルグループ2AMのスロンは、インタビューで質問される度に、まず先に一度考えてから答えた。なるべく自分の言葉でまとめようとするし、楽に話せる問題と敏感に扱わねばならない問題によって、使う言葉も変わる。練習生時代、地下鉄に乗って事務所と家を行き来する間、歌の実力をつけるために頭の中で絶えず歌うことで曲を頭に馴染ませたという彼の真剣さは、2AMでアイドルスターになった後もさらに深まったようだ。「今回のアルバムを出す前までの時間は非常に大事なものでした。ものすごくたくさんの考えをまとめることができた時期だったと思います。歌いながら、今回のアルバムで、強い感情を表現できたと思っていますから。外に出せず、内では気にしていて。それでも、他の人のためなら少し我慢して平気な振りをすることができるような。年を取るほど他の人々の前では、自由に泣くこともできなくなるし、悲しいとも言いにくくなると思います。少しずつ年齢が重なるほど、捨てるべきもの、我慢すべきものが多くなりますから」。2AMの今回のアルバムのタイトル曲「君も僕のように」を歌った心境について説明するスロンの姿は、彼の現在の姿をそのまま見せているようだった。
2AMは「Never let you go~死んでも離さない~」を起点に名実ともに人気アイドルグループとして浮上し、“バラードアイドルグループ”という独特のアイデンティティを確立し、その歌唱力を認められるまでに至った。しかし、人気が出れば出るほど、経験することも、一人で解決しなければならないことも増える。歌、バラエティ番組、演技など、どれも休まず活動しなければならないし、同時に1小節だけを歌っても、気持ちのすべてをさらけ出さなくても、人々に自分が伝えようとするものを感じさせる声への悩みは次第に大きくなっていく。アイドルスターの認知度とボーカリストとしての欲、そして人生についての悩み。20代のど真ん中で、スロンの考えはますます深くなる。そんなスロンが、“男の世界”について、そしてその中で悩む男たちについての映画を選んだ。
1.「ゴッドファーザー」(The Godfather)
1977年/フランシス・フォード・コッポラ
「言葉が必要ない映画じゃないですか。この映画を観て、マーロン・ブランドとアル・パチーノに、はまっちゃいました。彼らの演技もひとつひとつ全部素晴らしかったですけど、時代を継ぐ男たちの宿命に、とても胸が痛みました。こんなふうに演じるためにどれほどたくさん悩んだのか、想像もつかないです」
「ゴッドファーザー」以降、数々のギャング映画が制作されたが、依然として、最高の映画ランクの上位にはこの作品がランクインされる。作品がそうであるように、観客たちも世代と世代を超えて、絶えずこの映画を観て、感嘆して、語りたくなる。古くて野暮ったい感覚など微塵も感じさせず、何十年も前に作られたにも関わらず、とめどなく新たな発見があり再評価する部分が多い名作である。
2.「シンデレラマン」(Cinderella Man)
2005年/ロン・ハワード
「これこそ重荷を背負った男の話じゃないですか。大恐慌時代に家族を養わなければならないけど、それなのにできることはボクシングしかないし。ずっと殴り殴られながらも、とにかくリングの上で生き残らなければならない男の話に、胸が熱くなります」
リングの上に立ったラッセル・クロウ。これひとつだけでも映画についてのすべてが説明できるのではないだろうか。ラッセル・クロウがその鍛え上げられた体で、リングの上ですべてを投げて戦う。男でも女でも、生きるためにもがいているサラリーマンなら、大いに感情移入できることだろう。
3.「アダルトボーイズ青春白書」(Grown Ups)
2010年/デニス・デューガン
「アダム・サンドラーが出演するコメディ映画が好きです。ただ笑わせるコメディのように見えますけど、その中に人間的な温もりが盛り込まれているんです。この作品が特にそうです。年は取ったけど、心は相変わらず成熟していない男たちの話でもあるし、家族の大切さについて描いてもいるんです。未熟な自分、友達、家族。それが男の人生なのかも知れません」
韓国ではそれほど人気が高い方ではないが、アメリカでのアダム・サンドラーは、いつも信頼して映画を任せられるコメディ俳優のうちの一人だと言われる。小さい頃、同じバスケットボールチームにいた友人同士が、当時のコーチの訃報により集まることから始まるこの映画は、アダム・サンドラー特有のコメディと温かいホームドラマが合わさって、笑いとともに感動を伝える。アメリカでは1億6千万ドルの収入を上げ、大成功した。
4.「J・エドガー」(J. Edgar)
2011年/クリント・イーストウッド
「韓国では映画として公開されなくて、この前DVDが発売されたので観ました。主役のレオナルド・ディカプリオが好きですけど、イケメンだった若い頃より、中年になった今のほうが大好きです。この作品には、たくさんのストーリーが盛り込まれていて、何度も噛みしめるように観ます」
クリント・イーストウッドが演出し、レオナルド・ディカプリオが主役を演じた。一体なぜ公開されなかったのか理解しがたい作品。アメリカの捜査機関FBIの創設者のJ・エドガー・フーバーを扱いながら、アメリカの歴史と巨大組織を立ち上げた一人の男の人生を盛り込む。演出、演技、メッセージまで、すべてが秀逸な作品。
5.「甘い人生」(A Bittersweet Life)
2005年/キム・ジウン
「一番好きな監督と先輩たちがみんな集まっている作品です。キム・ジウン監督とイ・ビョンホン先輩のコンビは本当に最高だと思います。『悪魔を見た』もとても好きな作品ですし。暇がある度に繰り返し観て、観る度に本当にたくさんのことを学んでいます」
すでに数多くの俳優たちがその魅力を語っている作品。シャープで鋭敏であると同時に、硬くて気概のある表情の中に気怠さを抱いたイ・ビョンホンの顔は、それ自体でノワール映画(虚無的、悲観的、退廃的な指向性を持つ犯罪映画)だと言っても過言ではなかった。ノワールの要素を持っているが、それと同時にすべての大人たちにジレンマのような疑問を抱かせる作品だ。ひたすら前だけをみて生きてきた人生に、誰かが甘い亀裂を引き起こそうとしている。その時、自分は何を選ぶのか?
「音楽は続けるでしょう。演技もやりたいですし。でも、何をするかよりは、ただ心の余裕を持ちたいです。自ら心の余裕を持っていれば、成功しても失敗しても揺るがないでしょうから」。スロンは数年間、数本のドラマと映画に出演し、俳優としての活動も始めた。今年は全州(チョンジュ)国際映画祭の広報大使も務めた。人気アイドルである彼に、新たな選択の時期は近づいて来ているのである。しかし、スロンは選択の結果についての負担はある程度振り切ったようだ。彼にとって今一番重要なのは、彼自身の選択についてのことだ。「ぐっすり休むだけではダメで、自分の考えが上手くまとまって、主観がはっきりしていると余裕ができる」という彼は、自分との戦いを乗り切る方法が分かっているようだった。「まだ(僕は)安定していると思います。僕らは人々の前で活動しているから、すべてをさらけ出すわけにはいかないじゃないですか。そういう点で制約があるかもしれませんけど、そういったことについて自ら余裕を持って考えながら、ある程度は上手くやりこなしているほうだと思います(笑) 自分について誤解されるようなことが起きても、あまり傷つかないと思いますし。とりあえずは、それでいいんだと思います」
アイドルグループ2AMのスロンは、インタビューで質問される度に、まず先に一度考えてから答えた。なるべく自分の言葉でまとめようとするし、楽に話せる問題と敏感に扱わねばならない問題によって、使う言葉も変わる。練習生時代、地下鉄に乗って事務所と家を行き来する間、歌の実力をつけるために頭の中で絶えず歌うことで曲を頭に馴染ませたという彼の真剣さは、2AMでアイドルスターになった後もさらに深まったようだ。「今回のアルバムを出す前までの時間は非常に大事なものでした。ものすごくたくさんの考えをまとめることができた時期だったと思います。歌いながら、今回のアルバムで、強い感情を表現できたと思っていますから。外に出せず、内では気にしていて。それでも、他の人のためなら少し我慢して平気な振りをすることができるような。年を取るほど他の人々の前では、自由に泣くこともできなくなるし、悲しいとも言いにくくなると思います。少しずつ年齢が重なるほど、捨てるべきもの、我慢すべきものが多くなりますから」。2AMの今回のアルバムのタイトル曲「君も僕のように」を歌った心境について説明するスロンの姿は、彼の現在の姿をそのまま見せているようだった。
2AMは「Never let you go~死んでも離さない~」を起点に名実ともに人気アイドルグループとして浮上し、“バラードアイドルグループ”という独特のアイデンティティを確立し、その歌唱力を認められるまでに至った。しかし、人気が出れば出るほど、経験することも、一人で解決しなければならないことも増える。歌、バラエティ番組、演技など、どれも休まず活動しなければならないし、同時に1小節だけを歌っても、気持ちのすべてをさらけ出さなくても、人々に自分が伝えようとするものを感じさせる声への悩みは次第に大きくなっていく。アイドルスターの認知度とボーカリストとしての欲、そして人生についての悩み。20代のど真ん中で、スロンの考えはますます深くなる。そんなスロンが、“男の世界”について、そしてその中で悩む男たちについての映画を選んだ。
1.「ゴッドファーザー」(The Godfather)
1977年/フランシス・フォード・コッポラ
「言葉が必要ない映画じゃないですか。この映画を観て、マーロン・ブランドとアル・パチーノに、はまっちゃいました。彼らの演技もひとつひとつ全部素晴らしかったですけど、時代を継ぐ男たちの宿命に、とても胸が痛みました。こんなふうに演じるためにどれほどたくさん悩んだのか、想像もつかないです」
「ゴッドファーザー」以降、数々のギャング映画が制作されたが、依然として、最高の映画ランクの上位にはこの作品がランクインされる。作品がそうであるように、観客たちも世代と世代を超えて、絶えずこの映画を観て、感嘆して、語りたくなる。古くて野暮ったい感覚など微塵も感じさせず、何十年も前に作られたにも関わらず、とめどなく新たな発見があり再評価する部分が多い名作である。
2.「シンデレラマン」(Cinderella Man)
2005年/ロン・ハワード
「これこそ重荷を背負った男の話じゃないですか。大恐慌時代に家族を養わなければならないけど、それなのにできることはボクシングしかないし。ずっと殴り殴られながらも、とにかくリングの上で生き残らなければならない男の話に、胸が熱くなります」
リングの上に立ったラッセル・クロウ。これひとつだけでも映画についてのすべてが説明できるのではないだろうか。ラッセル・クロウがその鍛え上げられた体で、リングの上ですべてを投げて戦う。男でも女でも、生きるためにもがいているサラリーマンなら、大いに感情移入できることだろう。
3.「アダルトボーイズ青春白書」(Grown Ups)
2010年/デニス・デューガン
「アダム・サンドラーが出演するコメディ映画が好きです。ただ笑わせるコメディのように見えますけど、その中に人間的な温もりが盛り込まれているんです。この作品が特にそうです。年は取ったけど、心は相変わらず成熟していない男たちの話でもあるし、家族の大切さについて描いてもいるんです。未熟な自分、友達、家族。それが男の人生なのかも知れません」
韓国ではそれほど人気が高い方ではないが、アメリカでのアダム・サンドラーは、いつも信頼して映画を任せられるコメディ俳優のうちの一人だと言われる。小さい頃、同じバスケットボールチームにいた友人同士が、当時のコーチの訃報により集まることから始まるこの映画は、アダム・サンドラー特有のコメディと温かいホームドラマが合わさって、笑いとともに感動を伝える。アメリカでは1億6千万ドルの収入を上げ、大成功した。
4.「J・エドガー」(J. Edgar)
2011年/クリント・イーストウッド
「韓国では映画として公開されなくて、この前DVDが発売されたので観ました。主役のレオナルド・ディカプリオが好きですけど、イケメンだった若い頃より、中年になった今のほうが大好きです。この作品には、たくさんのストーリーが盛り込まれていて、何度も噛みしめるように観ます」
クリント・イーストウッドが演出し、レオナルド・ディカプリオが主役を演じた。一体なぜ公開されなかったのか理解しがたい作品。アメリカの捜査機関FBIの創設者のJ・エドガー・フーバーを扱いながら、アメリカの歴史と巨大組織を立ち上げた一人の男の人生を盛り込む。演出、演技、メッセージまで、すべてが秀逸な作品。
5.「甘い人生」(A Bittersweet Life)
2005年/キム・ジウン
「一番好きな監督と先輩たちがみんな集まっている作品です。キム・ジウン監督とイ・ビョンホン先輩のコンビは本当に最高だと思います。『悪魔を見た』もとても好きな作品ですし。暇がある度に繰り返し観て、観る度に本当にたくさんのことを学んでいます」
すでに数多くの俳優たちがその魅力を語っている作品。シャープで鋭敏であると同時に、硬くて気概のある表情の中に気怠さを抱いたイ・ビョンホンの顔は、それ自体でノワール映画(虚無的、悲観的、退廃的な指向性を持つ犯罪映画)だと言っても過言ではなかった。ノワールの要素を持っているが、それと同時にすべての大人たちにジレンマのような疑問を抱かせる作品だ。ひたすら前だけをみて生きてきた人生に、誰かが甘い亀裂を引き起こそうとしている。その時、自分は何を選ぶのか?
「音楽は続けるでしょう。演技もやりたいですし。でも、何をするかよりは、ただ心の余裕を持ちたいです。自ら心の余裕を持っていれば、成功しても失敗しても揺るがないでしょうから」。スロンは数年間、数本のドラマと映画に出演し、俳優としての活動も始めた。今年は全州(チョンジュ)国際映画祭の広報大使も務めた。人気アイドルである彼に、新たな選択の時期は近づいて来ているのである。しかし、スロンは選択の結果についての負担はある程度振り切ったようだ。彼にとって今一番重要なのは、彼自身の選択についてのことだ。「ぐっすり休むだけではダメで、自分の考えが上手くまとまって、主観がはっきりしていると余裕ができる」という彼は、自分との戦いを乗り切る方法が分かっているようだった。「まだ(僕は)安定していると思います。僕らは人々の前で活動しているから、すべてをさらけ出すわけにはいかないじゃないですか。そういう点で制約があるかもしれませんけど、そういったことについて自ら余裕を持って考えながら、ある程度は上手くやりこなしているほうだと思います(笑) 自分について誤解されるようなことが起きても、あまり傷つかないと思いますし。とりあえずは、それでいいんだと思います」
記者 : カン・ミョンソク、翻訳 : ハン・アルム、写真 : チェ・ギウォン