カンヌ出展作「蜜の味」イム・サンス監督“金のために屈辱を味わった”

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写真=マイデイリー DB
5月17日から韓国で封切られた映画「蜜の味 テイスト オブ マネー」。その露骨なタイトルとストーリーで注目が集まっているこの作品は、イム・サンス監督の前作である映画「ハウスメイド」に対する物足りなさから始まっていると言う。監督は「ハウスメイド」のウニ(チョン・ドヨン)を通じて、金の有無により階級が生じ、金ですべてが解決される社会を映し出した。「ハウスメイド」の拡大版とも解釈できる「蜜の味 テイスト オブ マネー」は、「ハウスメイド」と比べ、犠牲者と加害者の関係が複雑になり、心理描写も一層豊かになった。

また、ナミ(キム・ヒョジン)を通じて「ハウスメイド」との関連性を伝え劇中「ハウスメイド」を見るシーンも登場する。このように「蜜の味 テイスト オブ マネー」では「ハウスメイド」の痕跡を簡単に見つけることができるのだ。そのため、イム・サンス監督は、この映画が「ハウスメイド」から始まっていることを堂々と話す。

イム・サンス監督は、マイデイリーのインタビューで「ハウスメイド」での心残りを打ち明けた。彼は「『ハウスメイド』は隠喩的な映画で、ひとつの象徴だった。私たち自身がハウスメイドであるということを伝えたかった。だが、共感を得られなかったようだ。ウニを通して、人々の共感を得ることができなかったという点が残念でならない。だからそれをもう一度違う形で表現しようと思った」と話した。

続いて「『ハウスメイド』の時はユーモアが足りなかった。でも作品の内容的にそれを表現することが難しく、時間もなかった。でも私はもともとユーモアが大好きで、これまでの作品でも目立ちはしないが、自然にユーモラスに仕上げようと努力してきた」と付け加えた。

二作品連続で“金”をテーマに描いたイム・サンス監督。監督自身は、金のせいで屈辱を味わったことがないのか聞いてみた。

「屈辱?作品を撮るたびに屈辱を味わっているよ。スポンサーから出資してもらう時なんかはね(笑) 金は、本来屈辱的なものだと思う。映画は特に数十億ウォンという費用がかかるから」

彼は「蜜の味 テイスト オブ マネー」で金により屈辱を味わったことを暴露したが、映画という芸術作品は、金と純粋な芸術性の間を行ったり来たりするもの。彼が二度も作品の中で表現しようと思ったテーマ“金による残酷な屈辱”は、監督自身が痛感していたことなのかもしれない。

金の屈辱だけでなくイム・サンス監督が、常に前線で戦わなければならないものとは、映画を観る観客の欲求だ。観客は、常に強く刺激的なものを求める。それらを満足させるために制作スタッフは、常に苦悩する。「ハウスメイド」の露出度の高いラブシーンに続き、「蜜の味 テイスト オブ マネー」でも公開直後は、露出度の高いラブシーンがマーケティングの前面に打ち出されていた。65歳のペク・ユンシクと大女優ユン・ヨジョンも例外でなく、キム・ガンウとキム・ヒョジンのラブシーンにも関心が集まっていた。

「マーケティングという部分では、期待値を高めたが、イム・サンスの映画を観てきた人だったら、やたらと脱ぎまくる訳ではないと思ってくれたと思う。カンヌにも進出できる映画なわけだし。それでもパーティーシーンやマッサージシーンは、そう簡単に観られるものじゃない。あ、でも人々は常にもっと、もっと、もっとと求めるだろう。『グラディエーター』のラッセル・クロウが『もっと』と叫ぶシーンがある。それは、監督の心境であり、私の心境だと言いたい。もっと残忍で、もっと脱ぐ、もっと豪快な。あぁ、辛い(笑)」

辛いと話す彼だが「蜜の味 テイスト オブ マネー」が封切られる前に、次回作の計画に取り掛かった。この次回作もまた普通じゃない。彼は、「フィリピンの女性歌手が韓国に芸能ビザで入国するが、人身売買のブローカーと繋がってしまい売春婦となる。その後、脱走したアメリカ兵士と出会い、殺人事件に巻き込まれてしまう。さらに韓国人の男女まで絡んできて捜査が始まり、アメリカ大使館も登場する、そんな物語を撮ろうと思っている」と話した。

映画「蜜の味 テイスト オブ マネー」は、第65回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出展し、世界的に有名な監督たちの作品と競い合う。カンヌでの結果と同じくらい次回作への期待感も高まっている。

記者 : ペ・ソニョン記者