ヨン・ウジン「普通の恋愛」に隠された3つの裏話

10asia |

「淡白な恋愛ドラマがしたいといつも話してきました。そして、『普通の恋愛』はシノプシス(ドラマや舞台など作品のあらすじ)だけでも、そんなイメージが感じられる作品でした。刺激的なストーリーや感傷的な悲劇ではなく、お互いの感情を淡々と描いていく一つの水彩画のような感じが気に入ったんです。

そのため、ジェグァンがユネに一目ぼれするか、それとも徐々に恋に落ちていくかという、彼の感情が変わる部分をどんなふうに表現すればいいかということに最も悩みました。台本ではトーンを一定に維持しながらさりげなく台詞を投げる感じだから、感情が変化する部分を見つけることがなかなか出来なかったです。しかし、初めて全州(チョンジュ)に来た理由が、愛だと言えるくらいまではいかなくても、その人に対する関心があったからだと思いました。彼は7年前、彼女が川に溺れる姿を見てから気になっていたんです。それで、『この女、ちゃんと生きてるじゃん?』という感情から動き出しました。

ジェグァンがユネに向かい合う時、彼が心の奥に秘めた姿を見せない方がいいと思いながらユネに近づきました。しかし、それがとても大変だったんです。ストーリーの順番通りに撮影していくわけではないので、微妙な感情の流れを捕らえることが大きな課題でした」

「ジェグァンが見せる感情の頂点は、母親の本音を聞いた時だと思いました。最初は、兄さんが死んだ場所でジェグァンが1人で座ってわんわん泣く姿をユネが見るシーンがありましたが、そのシーンが修正されました。それで、母親役のキム・ミギョンさんとのシーンを中心に置いて、他の感情を細かく分けました。

ユネと別れる時に表現する悲しさの度合いもあらかじめ監督と話し合って、その時はむしろ淡々とすべきだと話しました。ジェグァンとユネにはそれが新たなスタートですから。しかし、ユネを手放したくないという気持ちが沸いて、僕も知らないうちに涙が出てしまってNGを出しました。かろううじて感情を抑えながら演じましたが、放送で見たら監督さんの判断が正解だったと思えました。涙を浮かべながらも口は笑っていましたが、バックミュージックも少し軽い感じの曲だったので、僕が泣いてはいけなかったんです」

「監督が『普通の恋愛』の舞台に、最初は全州ではなく慶州(キョンジュ)を考えていたらしいです。しかし、結果的には全州の風景がドラマによく合っていると思います。ソウルや江陵(カンルン)と違って、全州には静かながら気高いという全州独特の雰囲気があるからです。また、建物が描く低い平行線が主人公の心理描写にピッタリ合うと思いますし。

全州は『ただの友達?』の舞台挨拶で初めて行きました。その時、キムジョ・グァンス監督がご飯をご馳走してくれて、とてもおいしく食べた記憶があります。その後、家族旅行に行った時そのお店に行こうとしましたが、見つけることが出来ませんでした。今回ジェグァンとユネがご飯を一緒に食べるシーンに出るお店がそこです。元々、全州で有名なお店らしいです」

記者 : ユン・ヒソン、写真 : イ・ジニョク、編集 : チャン・ギョンジン、翻訳 : ナ・ウンジョン