圧倒的な興行成績の「悪いやつら」“これこそ俳優を見る楽しさ”

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チェ・ミンシク、ハ・ジョンウ主演の映画「悪いやつら」(ユン・ジョンビン監督)が、公開初日、圧倒的な成績で興行成績第1位を記録した。映画への評価や観客の観覧後の満足度が高く、当分の間1位を守ると見られる。

ユン・ジョンビン監督の長編映画としては3作目となる「悪いやつら」は、2日、一日16万4535人(韓国映画振興委員会集計)を動員、2位の「折れた矢」(7万509人)を制した。2位とはダブルスコアを超える大きな差がある。

「悪いやつら」の1位は、予約ランキング1位を占めた時から予想されていた。1990年、ノ・テウ大統領が宣布した“犯罪との戦争”に立ち向かう釜山(プサン)の暴力団の間で起きた裏切りや権謀術数を興味津々に描き、緊張感を高めた。133分に上る長さにも、飽きることなく最後まで楽しめたという評価が多い。

もしこの映画が長期間上映されるなら、その牽引役はなんと言ってもチェ・ミンシクとハ・ジョンウになるだろう。二人は俳優を見る楽しさを満喫できる素晴らしい演技で、観客を完全にリードした。韓国映画界で、こんな演技を見るのは久しぶりだ。映画が俳優と観客の“綱引き”だとしたら、二人は観客を相手に圧勝した。

2006年から出演作が少なくなっているチェ・ミンシクは、「悪魔を見た」に続いて「悪いやつら」でまるでスクリーンから飛び出してきそうな、鳥肌の立つ素晴らしい演技を見せてくれた。みすぼらしい釜山税関の公務員から、慶州(キョンジュ)チェ家の者であるという看板を盾に釜山地域の最大の暴力団のブレイン 愛と野望にまで成長する。国家安全企画部の力を借りて、利権事業の事業者としても選ばれる韓国最高のロビイスト、イクヒョン役を、チェ・ミンシク以上に演じられる俳優はいるのだろうか。

暴力の甘汁に慣れていた頃、ヒョンベ(ハ・ジョンウ)へのコンプレックスと組織内の暗闘に巻き込まれて生死を行き来し、その度に家族のために卑屈になる父・イクヒョンの哀れな後姿も、チェ・ミンシクの深い眼差しでなければ、多くの共感を得ることはできなかっただろう。

このようなチェ・ミンシクの好演を可能にしたのは、ハ・ジョンウという俳優の支えだった。ハ・ジョンウは「悪いやつら」の中で、チェ・ミンシクがどのようなボールを投げてもキャッチしてくれそうな、頼もしいキャッチャーだ。たまに暴投があるとしても、出てきて体でキャッチしそうな、責任感が感じられるリアクションや状況が、この映画を支えていた。ハ・ジョンウはインタビューで「キム・ユンソク兄さんが変化球を混ぜて投げる投手であるならば、チェ・ミンシク先輩は直球だけを投げる正統派右腕投手だ」と述べた。

ハ・ジョンウが器の大きい俳優であるということは、現場でユン監督とチェ・ミンシクが十分に意見交換を行える時間を確保できるように自分の欲は抑えていたということからも伺える。自分までも撮影現場で「これが良い、あれが良い」と意見を出していると、ややもすると撮影に支障が出るかもしれないので、OKカットに集中して“シーンダイエット”をしたという。演技への欲と言えば誰にも負けないハ・ジョンウが、徹底に映画全体を考えて作業をしていたのだ。

もちろん、二人の主演俳優だけでは映画は輝けない。どこで見つけたんだろうと思うほどシンクロ度の高い助演たちの活躍も印象深かった。中でもハ・ジョンウの右腕として出演したキム・ソンギュンは、この映画がデビュー作だというが、最大の収穫だった。1980年生まれで、三千浦(サムチョンポ)劇団出身の彼は、あらゆる映画会社にプロフィールと公演の映像を送ったという。それを偶然目にしたユン監督が彼を抜擢した。劇中でハ・ジョンウの眼差しや支持にだけ服従する彼は、いきなり組織に入ってきたイクヒョンが気に入らず、組織から追い出すために常にチャンスを狙っているナンバー2として印象深い演技を見せた。

釜山弁の台詞では最高の評価をもらったチョ・ジヌンと「俺がゴロツキったらゴロツキなんだよ」とチェ・ミンシクの睾丸を蹴飛ばすゴロツキのような検事、クァク・ドウォンも印象的だった。彼は映画「黄海」でハ・ジョンウに親指を切られる悲運の暴力団出身教授として出演していた。

2008年、江原道(カンウォンド)平昌(ピョンチャン)でハ・ジョンウが映画「国家代表」を撮影していた際、ハ・ジョンウとユン監督は古いマンションを借りて一緒に住んでいて、ハ・ジョンウは映画の撮影に出かけ、ユン監督は「悪いやつら」のシナリオを書いたという。その「悪いやつら」が、「折れた矢」のブームを抑えて2月の映画界のヒーローになれるのか、見守りたい。

記者 : キム・ボムソク