K-POPブーム、万能でなければならなかったアイドル

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上から東方神起、少女時代、KARA 写真=マイデイリー DB
「俳優の事務所でもアイドルを育てる時代。私たちも波に乗らなければならないのか不安です」

最近会った大手芸能事務所の重役の言葉だ。彼の言葉通り、今アイドルが流行している。音楽業界の一角では、すぐに冷めてしまうかもしれないという恐れが逆にブームを煽っているとの見解だ。もちろん初めが肝心だが、中間地点までに行くために努力した多くの悩みと試行錯誤がアイドルの成功を導いたという。

アイドルの飽和問題は昨日今日の話ではない。90年代半ば、H.O.T.の登場以降、SECHSKIES(ジェクスキス)、FIN.K.L(ピンクル)、S.E.S.、神話(シンファ)、godなどが続々と登場した時もアイドルが音楽業界の多様性を阻害すると心配された。1世代アイドルの出現後、2世代、3世代のアイドルたちが出てくる度に同じ指摘を受けてきた。

今も昔とあまり変わりはない。以前よりも更に多くのアイドルが“韓流ドル”を夢見て誕生している。昨年は約36組のアイドルグループがデビューした。1ヶ月に平均3組のグループが出るという計算だ。音楽業界は今年も昨年に劣らない勢いになると言われている。

数字が全てではないが、プラスの効果もある。アイドルはまるで“自家発電”するように熾烈な内部競争をしながら水面の上に浮かんでいる。情熱と実力がなければ研修生の時に潰される。オーディション番組の「スーパースター」や「偉大な誕生」のようなサバイバル競争システムである。

彼らは食事や休憩以外の時間は練習に集中する。ダンスを踊り、歌も歌い、演技もする。足の爪がむけて血が出るほどの苦痛に耐えて初めてデビューの喜びを味わえる。しかしデビュー後が本戦だ。元々いるアイドルや、同時期にデビューしたアイドルたちと再び争う。このような過程を10年あまり続ける。これに対し、ある業界関係者は「今の韓流ブームはK-POPだけで起きたのではない」と語った。

わずか7~8年前の韓流は、俳優たちの場所だった。ドラマ「冬のソナタ」で“ヨンさま”や“ジウ姫”が人気になった。その後、イ・ビョンホン、チャン・ドンゴン、リュ・シウォン、ソン・スンホン、クォン・ソンウ、ウォンビンらが続き、最近の“グンちゃん”チャン・グンソクまで続いた。K-POPブームが世界中に広がったのは2年前だ。SNSに乗って世界中のファンたちがK-POPを聞き、ダンスを踊り熱狂した。

昨年KARAが日本で記録したアルバム販売受益が730億ウォン(約48.5億円)に達するほどにブームは激化した。K-POPにより“新韓流”が動きだした。K-POPも、アフリカを除く全てに広がるほどグローバル化した。

K-POPはこれにとどまらず、芸能界まで変えた。ウェルメードスターエム、キーイースト、fantagioなどの国内の代表的な芸能事務所がK-POPに手をつけ始めた。ウェルメードスターエムではすでに男性アイドルAAをデビューさせている。

俳優と歌手の会社間の連携も本格的になった。俳優のチ・ジニ、ハ・ジョンウらが所属するfantagioが、歌手のソン・ダムビ、AFTERSCHOOLの所属するプレディスと手を組み“キッズアイドル”を選抜しようと立ち上がった。逆にKARAの所属するDSPメディアとSecretの所属するTSエンターテインメントは俳優側の会社と手を組み所属歌手たちの俳優デビューを支援している。

バラエティ番組にも変動が起こっている。人気のあるK-POP歌手たちの出演が、海外に輸出されるほどの効果を出している。「ランニングマン」は“イ・ミンジョン編”で中国と香港の空港まで迎えに来たたくさんの現地ファンたちの熱狂的な応援の中で撮影を成功させた。

俳優は演技だけをして、歌手は歌だけを歌うというのは昔の話だ。ここにギャグ韓流がプラスされたら鬼に金棒だ。韓流ブームがこれからどれだけ続くのかは専門家によって見解が違う。しかしK-POPブームが簡単に終わることはないという意見は一致している。移り変わりの激しい文化コンテンツの流れを正確に読み、発展させていくことが必要だ。それによって芸能界を変えた俳優と歌手の短所を補い合う連携が本格的に始まる。

記者 : ナム・アヌ、翻訳 : 橋本真由美