【PEOPLE】チャン・ドンゴンを構成する5つのキーワード

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チャン・ドンゴン

男前だ。愛国者だ。全国民から絶大な支持を受けている。ただ一人の国民のために自身の全てを賭けることができる。アメリカと日本との外交にも決して足踏みしない。もちろん、現実にはそんな人物はいない。しかし、チャン・ドンゴンなら? いつのまにかそんな“大統領”を演じるのが当然なほどのトップスターになったその瞬間、彼が選択したターニングポイントとは。


パク・スネ

タレント。チャン・ドンゴンが初めて出演した洗剤のCMの主人公だった。
当時、浪人生だったチャン・ドンゴンは予備校の費用も自分で稼がなければならないと思い、このCMに出演。Tシャツを着て、胴体だけが出る役だった。その時、チャン・ドンゴンは3日間の撮影で25万ウォン(約1万7千円)をもらい、次に海水浴場を背景に上半身裸で出る、カセットのCMを撮影した。そして、三本目のCMを撮る頃に、テレビ局のタレントにさえなれば、出演料が200万ウォン(約3万3千円)に上がると聞き、タレント試験を受けた。チャン・ドンゴンはその当時に対して「アピールできることが一つもなかった。何か未来のビジョンでも提示すべきだろうに、何もなかった」と話した。


チェ・ユンソク

ドラマ監督。チャン・ドンゴンのドラマデビュー作であるMBC「われらの天国」を演出した。
「われらの天国」は、当時既に若手スターであった俳優キム・ミンジョンの名前が挙がっていたが白紙になり、新人だったチャン・ドンゴンにチャンスが訪れた。当時チャン・ドンゴンは、数本のCMのエキストラ出演が経歴の全てで、これといったマネージャーもいなかった。そのため、極めて異例なことだったが、チャン・ドンゴンだから、なぜか納得ができる。当時チャン・ドンゴンは、初めての撮影でまともに演技ができず、主演を交替するという話もあった。しかし、お腹がすいてギョーザを盗み食いするシーンを撮るために、本当に二日間、何も食べずに撮影をするなど、演技に必要な全ての動作を覚える努力をし、ドラマ出演を継続することができた。


ソン・ジチャン

タレント。チャン・ドンゴンとMBC「ファイナル・ジャンプ」で共演した。
当時バスケットボールブームと共に製作されたこのドラマは、バスケットボールの試合を撮影するために蚕室学生体育館で撮影をすると、1万6千人余りの青少年らが殺到し、5人の怪我人が出るほどの絶大な人気を博した。この作品を通じてチャン・ドンゴンは、爆発的な人気を集め始めた。しかし当時、彼はハンサムな俳優として注目され、演技力はなかなか認められなかった。MBC「イルジメ【一枝梅】」出演当時には、「助演らの素晴らしい演技に主演が埋もれる」という言葉を聞くこともあった。
チャン・ドンゴンはその時から「容貌を評価されることに、必ず克服しなければならない宿題のような負担」を感じ、「なぜ、いつも容貌だけを見るのかという反発心」が生まれたと言う。


イ・ソンギュン

俳優。チャン・ドンゴンと共に韓国芸術総合学校に通った。
在学当初チャン・ドンゴンは、学生たちが自分をじろじろ見るのが気になり、授業の途中で教室を出たこともあったが、イ・ソンギュンやオ・マンソクらと交流し、次第に学校生活に馴染んだという。チャン・ドンゴンは、学校で身体を利用した演技に良い評価を受けていた。チャン・ドンゴンの韓国芸術総合学校入学は、彼が単なるイケメン俳優から抜け出す最初のきっかけとなった。ハンサムな俳優が活動を休み、2年間、演技の勉強をしていることで、人々は彼をこれまでのハンサム俳優とは違った視線で見るようになった。


パク・チュンフン

映画「NOWHERE~情け容赦無し~」で共演した俳優。自身の容貌のために悩んでいたチャン・ドンゴンに、「男前が何だってんだ」という言葉で慰めたことでも有名だ。
チャン・ドンゴンはこの教えを10年後、KBS「パク・チュンフンショー」への出演で返した。チャン・ドンゴンは“学校に行く学ぶ心”で「NOWHERE~情け容赦無し~」に出演し、“監督の言うとおり忠実に”従いながら、しっかりとした映画演技を学んだ。チャン・ドンゴンは「NOWHERE~情け容赦無し~」を実質的な映画デビュー作と考えている。また、彼が配役に関係なく出演したこの映画は、人々にも韓国芸術総合学校入学と同様に、彼が“俳優”になるために努力しているというイメージを与えた。
「一時は石膏像のようだ(ハンサムだ)という言葉を聞けば内心は気分が良かった」と言う彼は、「NOWHERE~情け容赦無し~」出演以後、「俳優はイメージで生きる職業なので、一つのイメージで固定されることほど危険なことはない」と考え、映画で様々なキャラクターを演技したいと思うようになった。


クァク・キョンテク

チャン・ドンゴンが出演した「友へチング」や「タイフーン/TYPHOON」の映画監督。
「友へチング」はチャン・ドンゴンを数字の取れる俳優にしただけでなく、人々が彼に「ハンサムだが演技もうまい」と、俳優としての信頼感を持つ決定的なきっかけになった。
彼が参考にしたというトム・クルーズのように“ハンサムな俳優”が身につけられる、全てのものを手にした。彼の最もヒットした作品である「友へチング」と「ブラザーフッド」は、老若男女すべてを引き込むことができる内容の作品であった。暴力団員の人生を悲劇的に描いた「友へチング」では言葉どおり“目をはがして裏がえした”姿を見せ、「ブラザーフッド」で見せた演技は、人々に「演技がうまい」という認識を与えるのに充分だった。最も代表的なハンサム俳優が、最高のヒット作で全ての人に強い印象を与えられる演技をする。それだけチャン・ドンゴンは、韓国人の大多数にハンサムで演技のうまい俳優という、両方の側面において“普遍性”を獲得することができた。チャン・ドンゴンよりもかっこよい俳優や、チャン・ドンゴンよりも演技がうまい俳優はいるかも知れない。だが、その2つを兼ね備えた俳優でチャン・ドンゴンほど知られており、チャン・ドンゴンほどに認められる人物はいない。


ポブ・ジョン

僧侶。チャン・ドンゴンの愛読書「無所有」の著者であり、臓器提供団体の生命分かち合い実践会の理事長でもあった。
チャン・ドンゴンは過去、その団体に死後角膜寄贈を約束した。当時チャン・ドンゴンは、生命分かち合い実践会のPR大使の活動をし、「他の人にだけ臓器提供を薦めるのは飾り」という考えで自らもこのような決定を下したという。さらにチャン・ドンゴンは、「政府がスクリーンクォーター(自国内で製作された映画の上映日数やスクリーン数などに最低基準を設けて国内の映画館に義務付ける制度)縮小を代価に、米市場開放を10年の間猶予するのを勝ち取ることができるならば、こんなにまで反発しないだろう」と、スクリーンクォーター縮小反対1人デモを行なった。
また、なかなかバラエティ番組に出演しないチャン・ドンゴンだが、友人のコン・ヒョンジンの頼みであればラジオ番組への出演を快く受け、韓国シリーズ始球式にはかっこよく球を投げた。さらに、「活字中毒」という噂も素晴らしい。ハンサムで、演技も上手で、社会活動はもちろん「芸能人X-FILE」でも良い話しか出ないほど、私生活も徹底している。今、チャン・ドンゴンの位置は単なる芸能人でなく全国民が信頼する“完璧な男”に近い。


カン・ホドン

チャン・ドンゴンを俳優パク・チュンフンに奪われたMC。
カン・ホドンをはじめとする全てのMCは、チャン・ドンゴンが自分の番組に出演してくれることを願う。だがチャン・ドンゴンは、「秘密主義ではないが、ある程度のプライベートは秘密にして作品の中キャラクターを通じて観客と触れ合う方が良い」と話す。そういった彼の姿勢は、トップスターとしてのカリスマを維持するには正しい選択だったが、それだけ距離感もできる。「友へチング」以後、「ブラザーフッド」「タイフーン/TYPHOON」「PROMISE 無極」「戦死の道」など、どんどん大作に出演しているため、彼のキャラクターが一般人の姿から遠ざかっていくのかもしれない。彼は現在、ペ・ヨンジュンと共に、韓国で最も大きく、最も重い歩みを持った名前だ。もちろん彼は「なってソング」のように「人間チャン・ドンゴン」の姿が見られるCMにも出演しているが、いつからか映画とCMの中だけでしか見られない存在になり始めた。


チャン・ジン

チャン・ドンゴンが出演した映画「グッドモーニング・プレジデント」を演出した監督。
「グッドモーニング・プレジデント」は、今のチャン・ドンゴンに最もふさわしいが最も思いがけない選択だった。とんでもなく有名で、容貌から私生活まで、傷一つ見つけることが難しい彼の姿は、大統領にふさわしい。
だが、そのような大統領をコメディの対象とするチャン・ジン監督は、予想できない選択だ。チャン・ドンゴンの既存イメージと異なる、荒々しい組み合わせである。これはあたかも彼が「NOWHERE~情け容赦無し~」に出演した時を連想させる。イ・スンジェ、コ・ドゥシムなどの大先輩と主な役割を1/3ずつ分けた中で、チャン・ドンゴンは彼のこれまでのイメージぴったりのキャラクターを予想外の方法で表現する。俳優なら誰でも酒に酔う事ができ、おならをする演技もすることもできる。だが“大統領”チャン・ドンゴンがそれをする瞬間、その姿は全て斬新なものになる。「グッドモーニング・プレジデント」の序盤の興行は、チャン・ドンゴンから“完ぺきな男”と“人間的なスター”の姿を同時に見たい人々の期待が大きく作用していると言えるだろう。このようにチャン・ドンゴンは、また新しいターニングポイントを設けた。


プレーボーイズ

チャン・ドンゴンが所属する野球チーム。
チャン・ドンゴンは「グッドモーニング・プレジデント」公開後に行なったインタビューで、いつもプレーボーイズに関する話をする。チャン・ドンゴンは勝負に対する欲のため、プレーボーイズの時だけは悪口を言うほど人間的な姿を見せる。これは今、チャン・ドンゴンの新たな変化を見せているということなのかもしれない。17年前、エキストラのモデルだったハンサムな青年は、最高のハンサム俳優になり、多くの観客を動員するトップスターとなって、現在は国民に最も“近くて遠い名前”になった。そして彼は「グッドモーニング・プレジデント」で“大統領の日常”を見せて、少しだけ人々に近づいた。
チャン・ドンゴンは、その名前の重みから抜け出して、もう少し余裕のあるゆったりとした歩みを見せることができるだろうか。“人間的なチャン・ドンゴン”になるということは、さらに全てを手にした人間の誕生になるのかもしれない。

記者 : カン・ミョンソク