ソン・イェジンがおすすめする「見るたびに新しい刺激を与えてくれる映画」
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綺麗な女優は数え切れないほどいる。その中でも演技の上手い女優も少なくない。綺麗な顔だけで早くにもスターダムにのし上がった女優が、20代を過ぎる前に、誰もが認める演技力を短編ドラマの16話まで刻んでおくことはとても難しいことだ。SBS「恋愛時代」のウノを演じたソン・イェジンが韓国女優の中で目立っていたことはこの理由のためである。一度の離婚を経験し、新たな恋愛に思いきりときめくことができない女性の心理を繊細に表現した25才の可愛い女優の登場は驚くべきことであった。それ以来、彼女に対する評価は好評であれ酷評であれ、その年齢の女優に期待するレベル以上のものとなった。
しかし今、この女優に興味を持つ理由は、目覚ましい実力を持った若くて綺麗な女優スターだからではない。自身が作り上げた高いレベルを受け入れ、次のステップをどこに置けばもっと成長できるかを悩んできたその向上心こそ、彼女が今までやり遂げてきた成果よりも興味深いところである。
「何かを表現することにあたって、一人の人間が見せられる部分というのは限られています。しかし、それで淘汰されたくないなら良い作品を選ぶことが重要です。ただ変身したいがための変身は危険だと思います」ロマンチックコメディを選んだ理由も同様である。「『ナンパの定石』『妻が結婚した』に続きコメディとしては3度目の作品ですが、前の二つの作品が良かっただけに、新しいことに挑戦できる幅が狭くなってしまったんです。しかし『恋は命がけ』はホラーをミックスした新たな面白さを見せられるのではないかと思いました」自分の作品を宣伝するのは当たり前のことであるが、その中で偽りのない心が感じることができたら、それは演技に対する意欲を隠してないからだ。女優である自分に刺激を与えてくれた作品を説明しながら、羨望と意欲を見せてくれた。

1994年/ロバート・ゼメキス
「随分昔に見た映画ですが、最近もう一度見ました。今までに4回くらいは見たのではないかと思います。トム・ハンクスという俳優が好きなのもありますが、特に悲しいのに笑える童話のようなストーリーが好きです。ペーソス(もの悲しい情緒)とも言えるでしょう。チャールズ・チャップリンのように、笑いの中に悲しみが含まれています。とても好きな作品なのでDVDも持っています」
IQ75の男性が世に出て成功する。「フォレスト・ガンプ」の設定、そしてヒッピーとして生きてきた女性主人公ジェニー(ロビン・ライト)とベトナム戦争で英雄になったガンプ(トム・ハンクス)を交えてアメリカンドリームの幻が色濃く敷き詰められている。さらに、取り上げにくい政治的な内容も含まれているにも関わらず、愛する女性のために全てを捧げる献身的なラブストーリーに強く感動した。

1997年/ロベルト・ベニーニ
「『フォレスト・ガンプ』を勧めた時にお話ししたペーソスの延長線上にあり、この映画もやっぱり好きです。ユダヤ人という理由で強制労働をさせられ、息子を守るために父親が死に至る。初めから終わりまでユーモアと悲哀を交えた、笑えるムードで話を繰り広げていくのが素晴らしいと思います。気づかなかったのですが、お勧めしてみると、私はこのような映画が好きなようです。
1999年アカデミーの主人公は、誰が何と言っても授賞式で大笑いを引き起こした、男性優秀賞の受賞者であるロベルト・ベニーニであった。外国映画でアカデミーにノミネートされたこの男は、俳優でもあり監督としてその年最高のコメディ「ライフ・イズ・ビューティフル」を残した。親切なナレーションで陽気なユダヤ人が収容所で息子の命を守った話を紐解くこの作品で、ナレーションの主人公が息子だということに気づいた瞬間、ぐっときたことを今でも覚えています。

1994年/リュック・ベッソン
「本当にいつまでもスタイリッシュな映画ですね。昔の映画なのに映像とストーリー、そして音楽、全てが感動そのものです。有名な植木の場面一つで多くの人が写真撮影などの際にアイデアを得ているじゃないですか。このような映像によるレオンとマチルダのラブストーリーはとても悲しく、スティングの歌まで、本当に完璧としか言えません」
公開当時は殺し屋のレオンのアクションを強調して宣伝しており、多くの観客がアクション映画だと思って劇場に行ったところ、期待とは全く違ったスタイルとストーリーで戸惑い、また熱狂した作品であった。殺し屋であるが少年みたく純粋な心を持ったレオンが同じ建物に住む少女、マチルダに親近感を寄せ、命を掛けて彼女を助けるストーリーはアクションヒーローの活躍よりも素晴らしい感動をもたらした。

2006年/ピエール・サルヴァドーリ
「オドレイ・トトゥも素晴らしいが、男性主人公のガド・エルマレのコミカルな演技は本当に秀逸です。オドレイ・トトゥはお金持ちを誘惑する女性として登場し、ホテルのバーテンダーとして働いているガド・エルマレが思いがけず彼女に大富豪のふりをして繰り広げられるストーリーです。この俳優の演技はオーバーでなくても面白いんです。たとえばホールのサービングをしている時にオドレイを見つけると、空いているテーブルに座りお客さんのふりをする演技があるのですが、そのリアクションは本当にいつ見ても愉快です」
憎めないキャラクターのオドレイ・トトゥと、ハンサムではないけれどラブリーなガド・エルマレの魅力を充分に活かしたロマンチックコメディである。お金持ちの男と結婚して幸せな人生を送りたい彼女が、お金持ちではないけれど自分を本当に愛してくれる魅力的な男に出会うこの物語は「ハートブレイカーズ」のような作品でも繰り返された、お決まりのテーマではあるが、ソン・イェジンが話してくれたように独特の軽快な雰囲気が最初から最後まで観客の心をがっちり掴んでいた。

2001年/ミヒャエル・ハネケ
「実はイザベル・ユペールという女優が誰なのかも知らずに、この映画を見たのですが、ただただ驚くばかりでした。外見はとても冷静であざ笑うかのように見えたんですが、演技とは思えない程の自然な演技でした。映画を見ている間ずっと、あの女優は誰なんだろう、あの人、イカれてるかも(笑)という気持ちで見ていました。死んでも私には出来ない演技で、同じ女優として衝撃的でした」
ロマン・ポランスキー監督の同名の映画とは違う、ミヒャエル・ハネス監督の作品である。前者がホロコーストの惨状の中でも一人で美しい音楽の世界を描いたとしたら、後者は激しい激情のリズムように統制できない愛、あるいは欲望を描いている。イザベル・ユペールが冷静ではあるが、その中に大いなる欲望を込めたピアノの教授として登場。天才的才能を持った男子学生と危険な愛に発展し、執着する演技を見せる。特に最後のシーンの演技を見たら、衝撃を受けずにはいられないだろう。

もちろん最も重要なことは実際の成果であるが、その過程における悩みから彼女の成長を汲み取ることは難しくない。「時には自分を羽交い絞めにして、仕事を楽しむことが出来ない時期もありました。しかしこれからは少し余裕を持って、ソン・イェジンとして、そして女優として成長していきたいです」と話す彼女の30代、意欲と余裕に相反した演技の発展が気になり始めた。
記者 : ウィ・グヌ、写真 : イ・ジンヒョク