Vol.2 ― BIGBANGのSOL「やっと自分についての答えを見つけた」

10asia |

―2010年に欲しいものが「新しい友達」だとおっしゃってましたが、ようやく新しい関係について興味が沸きましたか?

SOL:はい。以前は誰かに会ったり、新しい関係を作ったりすることに対して、結構心を閉じていましたから。今もそんなに積極的だとは言えないですが、そういう気持ちになることはいいことだと思います。新しい関係について自分がもう少し興味を持つようになって、人間関係についてもさらに深く考えることも。

―そんな気持ちの変化が歌い方にも影響を与えたと思います。特に「Take it slow」を聴いて見ると、声も繊細でたくさんの変化を与えていて、「自分の歌が引っ張っていく曲」という感じがすごく強かったと思います。

SOL:僕がメロディを作ったからそういう部分がさらに目立ったと思いますが、今では歌う時ほど自分が持っているものをそのまま表現したいと思っています。前は歌う前に仮想の設定をよくしていました。自分自身の経験ではないので、歌詞を見て自分なりの設定をしたかったんです。そうやって初めて本当の気持ちとは少し違う表現をするようになるんです。今はこの歌詞をどう受け止めたのか確認することから始めます。真心を込めて歌えるようになれば、どうやったらさらに繊細に表現できるか少しは分かるような気がします。

「出勤中は希望を与え、仕事帰りは癒される…そんな音楽をやりたいです」

写真=YG ENTERTAINMENT
―普通の音楽は作曲や編曲で構成を作り出すのに、SOLさんは声でそれをやってのけるため、良い意味でとんでもないと思いました(笑) そういう点で、このアルバムで自作曲を作る時は、どのような部分に一番気を遣いますか?

SOL:作曲というにはまだ照れくさいですが、プロデューサーのテディ兄さんが作った時、聴いてすぐピンと来る曲のメロディを作ります。まずは自分の声、自分のトーンによく合うメロディを探すことが大事です。そして、全体的な流れを一番に考えます。僕に表現できるメロディを作ることが、最も重要だと思います。

―テディさんとは、もともと何度か一緒に作業していて、SOLさんが要望をすぐに捉えることができたはずですが、チョングンやchoice37みたいな新しいプロデューサーたちとはどうでしたか?

SOL:choice37はテディ兄さんがアメリカで出会った長年の友達で、G-DRAGONのアルバムから韓国で作業する予定だったので、話し合いがとても大事でした。何より、自らが望む部分を的確に表現することが必要だと考えました。こういうアルバムを作りたいから、こういうところをやってほしいということをはっきりと話すんです。それで、今回のアルバムではデジタルなサウンドよりは、アナログ部分を多く盛り込んでほしいと話しました。ソウルフルな感じが欲しかったんです。

―確かに今回のアルバムは、最近の韓国のトレンドとはかけ離れているようです。でも、心配になりませんか?一定のリズムの中で、繊細に歌いながら優雅なバウンス(音やリズムをバウンドさせるように演奏するスタイル)を作っていく音楽をやりたかったようですが、それが韓国で一般的なスタイルではないでしょう?

SOL:僕が求める音楽が、現在人気があるものとは程遠いと思っています。そして、あるレビューでは自分が表現したい気持ちや意図とは関係なく、外国のあるミュージシャンに似ているという風に書かれて、もどかしかったこともあります。僕としては全然考えずに、心のままに作ったアルバムですから。僕の目標は、自分が一番上手く出来て、自分が満足できる音楽なのです。もう少し先を考えると、韓国だけでなく、世界にこんな音楽をやっていて、こんな歌が歌える歌手がいるということをアピールしたいのです。「I need a girl」が一般的に身近な感じがすると思ってタイトルにしました。

―最高の人気アイドルが、現在のトレンドよりも自分の音楽が最優先だと決めることに悩みがあったはずですが。

SOL:今すぐ目の前の現実を見てアルバムを出し、韓国のトレンドに合わせてアルバムを出せば、いい結果を得られると思います。しかし、そうすると自分が満足できないかもしれません。目に見える結果によって人々が自分のことを評価してくれるかも知れませんが、大事なのはそこじゃないと思います。

―以前、自分を認めることが重要だという話をしたことがありますが、今は自らの信念が最も重要になったようですね。

SOL:はい。僕が自分自身をもっと知らなければなりません。

―今回のアルバムを通じて、自身についてさらに理解できるようになったところがありますか?

SOL:その前も自分自身が分からなかった訳ではありません。しかし、今回のアルバムでもっと具体的に分かってきたと思います。例えば、悪い習慣などがあるとしたら、これは仕方がないと受け止めるようになりました。自分は自分なんだ、みたいな考えです。ある意味、自分についての答えを見つけたのです。僕がこれからやるべき音楽は何なのか、みたいなことを。

―どんな音楽だと思いますか?

SOL:どう聞こえるかは分かりませんが、えーと……これは僕が小さい頃から夢見てきたものですが、今回はっきりと掴んだと思います。出勤中は希望に溢れ、仕事帰りに聴いた時は癒される音楽。時には、聴いたら気持ちいいというよりすごく楽しい曲なのに、また気分が違う時に聴くと悲しく感じられるような音楽です。

「今のBIGBANGも、トレンドより基本的な音楽について考えています」

―音楽的な方向性を掴んで、ステージについても信念を持つようになったようですね。「I need a girl」と「I'll be there」は両方とも本人を大きな絵の一部、又はミュージカル俳優として捉えているように感じます。「Where U at」や「ウェディングドレス」のように華やかなテクニックをもっと見せたいとは思いませんでしたか?

SOL:実は「I'll be there」をする前はすごく悩みました。テクニックを重視し、振り付けを作って、ダンサーたちと群舞を見せることが正しいだろうかとも思いました。ダンスだけを考えたら、そんな悩みはなかったはずです。でも、僕が歌う歌はそんな絵が必要なので、ミュージカルみたいな構成のステージを考えました。それに、既に一度見せたものを繰り返すことに、僕には大きな意味はありませんでした。歌とダンスが一つになって、人々に気持ちが伝わるストーリーラインを作りたかったんです。テクニックを強調するのは後でもできますから。

―しかし、そういうステージは歌とサウンドが一緒に作り出す感じを理解してこそ受け止められるものではないでしょうか?つまり、アルバムを聴いて曲を鑑賞してから見ると効果があるのに、韓国はそういう環境ではないでしょ?普通の家にあるTVスピーカーからサウンドがよく聞こえるわけでもないし。

SOL:多くの人々に音楽をきちんと鑑賞してほしいとは思いますが、とにかく見る人は見ますし、聴く人は聴くと思います。それで、僕の音楽が素敵だと思う人はステージを見てくれると思いますから、それほど悩んだりはしません。そんなことを悩んでいたら、こんな音楽はやらなかったでしょう。

―しかし、本人の世界を繊細に表現するほど、人々に少し難しい人と思われるかもしれないという心配はしませんでしたか?一番人気のあるアイドルのうちの一人なのに、SOLはとても真剣だ、少し近付きにくいというイメージもあるようです。

SOL:実は心配しています。でも、そんなに心配するくらいだったら、こんなことはできなかったと思います。そんな心配より、自分の意志に従って結果を出した時、満足感がもっとあって癒されると思います。

―そうするとBIGBANGの音楽とSOLの音楽が結構変わってしまいますが、BIGBANGでの自分の役割について考えが変わる部分がありますか?

SOL:僕にできることをソロで別にやって、BIGBANGの中にいる時はBIGBANGにふさわしい音楽をやることで、その時はできなかったことにチャレンジするチャンスが増えたと思います。その中でできる部分を一所懸命やっていると、チームにも凄く役立って、人々もそう受け止められるようになると思います。そのためグループでもソロでも、同じ気持ちになれるのだと思います。

―BIGBANGの新しいアルバムはどういった方向性ですか?

SOL:以前は「時代にふさわしい音楽を多く反映し、音楽だけでなく人気を得なければならない」という負担がありました。でも、今はむしろ基礎的なものを大事にするようになりました。みんな充実した音楽をやりたいという気持ちを根底に持ってますから。今回のアルバムはまだ準備中ですが、以前とは違う感じの曲が多く収録されると思います。

「常に変わらない姿を記憶に残したいです」

―SOLとBIGBANGはやっている音楽も違いますが、韓国と海外での反応も違います。ソロアルバムに向けて、海外のファンたちの反応が力になりませんでしたか?サウンドのリズムではなく、声で流れやバウンスを調節するのは、やはり韓国ではまだ不慣れなスタイルですから。

SOL:アメリカにいる友達は凄く好きだったようです(笑) 海外のファンたちの反応が確信と信念を与えてくれていると思います。今回のアルバムについて何の反応もなかったら、これが本当に正しいのかと凄く悩んだと思います。でも、海外活動もしていないのに、音楽がYouTubeで広がって、iTunesチャートに入って、こうして続けて行くと僕の音楽が好きな人は聴くようになって、分かってくれる人は分かってくれるとはっきりと感じました。海外にいる方々が歌とステージだけで見分けることが、凄く大きな力になると思います。

―海外活動への計画はありますか?

SOL:個人的には、海外で人気がある曲を収録したインターナショナルアルバムの反応が良ければ、色んな国でやってみたいとは思っています。でも、まだ現実的には不可能なので、とりあえず自分の音楽をさらに深めて良い結果が出るようにしなくてはいけないですね。そうすると、チャンスが生まれるでしょうし。実は、今のようにiTunesに音楽をアップすること自体も考えられなかったんです。これからもう少し自分が考えていることが現実になってくるのかなと思います。

―そうなればなるほど悩みはさらに増えるでしょう。SOLさんがやりたいことは、多くの人々の好みとは反対に近いですから。ボーカルの繊細な変化や精巧に合わせたサウンドを、わざわざ聴いてくれることはないじゃないですか。

SOL:そうなっていくかもしれないとは思っています。今はサウンドそのものが、トレンドを徹底的に排除した音楽でやっていますから。だからといって、僕が時代に合わせた音楽だけをやったら、自分がもっとしんどくなるような気がします。全くアルバムを出せなかったかも知れません。実はすごく心配になります。これから音楽をやっていかなければならないことも心配ですが、僕が世界的にメロディで気持ちを伝える歌よりは、特定のサウンドだけを強調する場合が多いですから。

―アナログ青年なんですね(笑) 音楽も昔の曲をよく聴くそうですが。

SOL:そうですか?(笑) 最近、余りにもデジタル中心に変わって、僕が聴いていた音楽から感じた感動を覚えられる音楽が少ないんです。小さい頃、実は友達と余り遊ばなかったし、彼女もいなかったし、愛というものについて感じる機会がなかったんです。その時、音楽がそういう気持ちを凄く感じさせてくれたんです。でも、最近はそういうものがかなりなくなったようです。それで、今回のコンサートのサウンドをバンドの演奏で飾りたいと思っています。

―それでは、これから1~2年後にはどんなミュージシャンになりたいですか?

SOL:えっ、難しい質問ですね。

―軽い気持ちで聞いたのですが(笑) さすが音楽に対しては真剣なのですね。

SOL:ハハ。とりあえず今もそうですが、常に変わらない姿を記憶に残したいです。これからもずっと初心を忘れず音楽を勉強して、自分自身を知るためにより努力するので。自分のポジションでベストを尽くして、どこにいても自分を見せることのできる音楽で大きな感動を与えられるミュージシャンになりたいです。そして、10年後にはさらに大きな感動を伝えられる歌を歌いたいです。

―それでは、10年後にはどんな音楽をやっていると思いますか?

SOL:もっと繊細な音楽です。そして、その年輪に相応しい音楽をすることになるのではないですかね?なんとなくそうなると思います(笑)

記者 : カン・ミョンソク、翻訳 : ハン・アルム、編集 : イ・ジヘ