「取引」ユ・スンホ“新しいことに挑戦し続けるので楽しみにしていてほしい”

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写真=wavve
「いろいろ全部やってみようとしています。当然温かい感じのロマンスやヒューマニズムにも挑戦しますし。面白い役がたくさん待っている気がして、最近すごく楽しみになっています。機会があれば絶対やる予定です」

ユ・スンホは最近、ソウル市永登浦(ヨンドゥンポ)区汝矣島洞(ヨイドドン)にあるポストタワーでマイデイリーに会い、wavveオリジナルドラマ「取引」(脚本:ホン・ジョンソン、演出:イ・ジョンゴン)に関するインタビューを行った。

同作は、偶発的に友人を拉致した2人の青年の100億ウォン(約10億円)の“拉致スリラー”で、同名のウェブ漫画が原作となっている。「友達を取引する」という奇抜な題材と、“昨日の友人が今日の人質、明日の共犯者”になる若者たちのストーリーを描いた。

ユ・スンホは劇中、除隊した後、新しい人生を決心すると同時に、100億ウォンの拉致劇に巻き込まれ、その中心に立つジュンソン役を演じた。彼は人生の崖っぷちで取り返しのつかない選択により、予期せぬ代価を支払うことになる若者の葛藤を表現した。

この日彼は「いつも新しいことに挑戦したいと思っていましたし、スリラーや犯罪ジャンルに関心はありましたが、イメージを変えて演技することが簡単ではないということもよく分かっていました。監督が先に手を差し伸べてくれて読んでみたのですが、題材がとても面白いと思いました。台本がよかったのですぐに連絡して、出演したいと言ったことが思い出されます」と、同作の第一印象に言及した。

また「これまでの出演作を見ると、真剣で正直というような人物を主に演じてきたと思います。ロマンスも多かったですし。同作ではジュンソンという人物自体が根本的に正直で優しい性格なので、これまでと完全に違うキャラクターではありません」とつけ加えた。

そして「ジュンソンがジェヒョ(キム・ドンフィ)とともに拉致犯ではありますが、その中でも確かに善と悪は存在します。悪はジェヒョ、善は僕が務めましたが、これまでやってきたキャラクターとそこまで大きく離れはしない、最後まで道徳的なラインを守ろうとする部分があります」と説明した。

イ・ジョンゴン監督は、若者たちの感情を緻密にキャッチした映画「NOT OUT」で、「第22回全州(チョンジュ)国際映画祭」で3冠を達成して演出力を認められた。監督から「取引」への出演をオファーされたユ・スンホは、「丸刈り、短い髪にしてほしい」と言われたという。

これについて彼は「髪をもっと短くしたい、というのは僕の意見も反映されたのです。俳優の感情的な部分も重要ですが、ビジュアル的にも関心を引きたいと思いました。ジェヒョとジュンソンが拉致犯ではありますが、なんか中途半端な感じを与えたかったんです」とし、「そのような姿が面白く見えたら、と思いました。それで監督に『トイレに行ってもっと短く切ったらどうでしょうか』と言って誕生しました。面白かったです。現場に行く時、朝に特別な手入れをしなくてもいいので楽でした」と語って笑いを誘った。

ジュンソンというキャラクターは少し複雑だ。拉致犯だが、確かに優しい人物だ。しかし、犯罪を積極的に止めたり通報はしない。そのためジュンソンが妥協したのか、自分なりに友情を守ろうとしたのか、悪が内在していたのか、視聴者の好奇心を刺激する。

彼は「その部分について、監督と出演陣もたくさん悩みました。拉致という犯罪が悪いということは分かっていますが、自分が直面した環境、父親との関係、軍隊でした決心、自分の友達など、様々な状況が一番足枷になったのだと思います。それにもかかわらずジュンソンは、とにかくこのすべての状況をうまく解決したいと思っていたでしょう」とし、「ジェヒョと摩擦が生まれてうまく進みませんが、少なくとも道徳的なラインを守ろうとする点から、ジュンソンの心や性格が表れているのではないかと思いました」と説明した。

ジュンソンはコンビニでアルバイトをする中、違法のtoto(スポーツ振興くじ)でお金を稼ぐと、ローンを組んでまで投資するが、全て失ってしまう。キャラクターの準備過程と感情の演技について聞くと彼は、「コンビニで違法サイトを見るシーンがありますが、難しかったです。初めて見るものもありました。インターネットやYouTube、ニュースを探してみたり、監督から教えてもらったりしました」と答えた。

そして「演技をしながらジュンソンという人物を見て、『僕だったらどうしただろう』とたくさん考えました。ジュンソンの姿でしたが、ユ・スンホという人間が理解してあげたら、もっとリアルな演技ができるのではないかと思いました」とし、「一つ大変だったのは、元々拉致で始めること自体が理解しにくい領域でした。ユ・スンホという人物が感じるものより、一人で想像し、二人の俳優たちの反応や監督との会話を通じて、自分だけの方式で描いていきました」と撮影過程での苦労について語った。

特に劇中、ジュンソンが自分の人生を表現する“エムセン(底辺の人生という意味)”という単語について「実はその単語を初めて聞いたんです。友人たちにどのように受け取るべきか、どのような意味なのか聞いてみました。作品に必要だと言ってたくさんサポートしてもらいました。単語のニュアンスや印象について勉強しました。監督にも聞いてみました」と演技への情熱を示した。

彼はジュンソンという人物を表現する際にサポートしてくれたキム・ドンフィ、ユ・スビンを絶賛した。彼は「キム・ドンフィさんの場合、集中する姿に驚きました。愉快で笑いが絶えない現場だったにもかかわらず、一番先に集中していました。僕たちより年下ですが、提案というか、現場を作るためたくさん意見を出してくれて、面白いシーンを作るのに力を添えてくれました」と述べた。

また「ユ・スビンさんもエネルギーに溢れた俳優でした。現場のムードメーカーでした。年上のお兄さんとして、言わなくても現場の中心になった部分が確かに存在しました。もちろん演技も言うことがありませんでした」とつけ加えた。

2000年にデビューしたユ・スンホ。現場で大先輩を選ぶなら、当然彼だったはずだ。しかし彼本人は自分自身について「実は僕が一番中途半端で、曖昧なポジションでした。僕はただ自分に与えられた任務を一生懸命にやりました。僕の性格ですが、演技をする時に意見を出すよりは、他人の意見を聞いて自分だけの方式で表現しようとするスタイルです」とし、「なぜなら相手が楽に演じてこそ、僕も楽に演技ができるからです。だからいつも相手の話をよく聞いて、従おうとしています」と話した。

映画「おばあちゃんの家」を通じて、彼を知った人も多い。そのため「取引」は彼にとって新しい挑戦、新しい試みだ。カメラの前で悪口を言い、大人にだけできる喫煙の演技にも初めて挑戦した。

ユ・スンホは「今も成熟した大人になるため頑張っています。『おばあちゃんの家』は作品が大ヒットして注目を集めたので、今も言及する方々は多いです。二十歳の頃には早く抜け出したくて、避けようともしました。ですが、今考えてみると僕の大切な作品で、自分で観ても『すごくかわいい』と思えるほど美しい思い出です。すごく可愛くないですか? 若い頃には大人っぽく見せたくて努力し、似合わない服も着たりしました。今は頭を空にして、目の前の作品、役に集中しようとしています」と明かした。

また「取引」への知人たちの反応について尋ねると、彼は「作品が公開されて、正直に言うと楽しみにしていました。知人から連絡がたくさん来るんじゃないかなと。意外に誰も連絡してくれませんでした。すごく寂しくて僕が先に知人に連絡したら、『第8話まで公開されるから、一気に見るため待っているよ』と言われました」と正直に答えて笑いを誘った。

そして「軍隊の先任であり、友人である知り合いがいますが、第6話まで一気見したそうです。メールが届いたのですが、全羅道(チョルラド)に住んでいて、方言で『お、演技いいね』と書いてありました。とても嬉しかったです。なぜなら彼は冷静に評価をしますから。新しい挑戦もよかったし、頑張ったのが見えたと言ってくれてすごく嬉しかったです」と笑顔を見せた。

1993年8月17日生まれである彼は、今年30歳になった。しかし、彼が務めたジュンソンは除隊したばかりの人物だ。実際の年齢と多少差がある役のために努力した部分について尋ねると、「逆にありのままの姿がジュンソンに似合うと思って、髪も切って髭の跡を少し残してもいいと思いました。特別準備したことはありません」と語った。

久しぶりに軍服を着た感想については「不自然に感じられました。今年から民防衛隊なので、もう軍服は着ないんです。たんすに入れておきましたが、久しぶりに軍服を着たら慣れない感じでした。自分の軍服ではないですが、『最近はこんなふうに着るんだ』『このような名札をつけるんだ』と楽しかったです」と語った。

インタビューの最後に彼は、もう一度軍隊に言及した。子役出身俳優であるため、自ら選択した仕事ではなかったが、除隊した頃からは俳優という職業を自分自身で選択したようだったという。彼は「服務中にテレビを見て、僕が一時はあそこに立っていて、あのようにかっこいい俳優だったんじゃないか、と思いました。そのような姿を見てちょっと不思議な気分になって、除隊したら再びぶつかってみようと思うようになりました」とし、「僕の夢が警察、軍人、消防士のような職業だったのですが、経験しましたから。再び頑張って演技してみたい、と思いました。ちょうど除隊する時がその起点だったようです」と告白した。

そして「僕の30代は、本当に小さいことから変化を与え始めました。朝起きることや他人と一緒に食事することなど。普通の人々にとっては簡単なことですが、自分にはものすごい挑戦ですから。これからどうなるのか、正直に言って分かりません。これまでやったことのないことにずっと挑戦し続けるので、楽しみにしていただきたいです」と伝えた。

記者 : カン・ダユン