「99億の女」イ・ジフン、チョ・ヨジョンと撮影“初めてのキスシーン…5回もNGを出してしまった”

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イ・ジフンはドラマ「99億の女」を通じて“セクシーなゴミ”という愛称がつけられた。多少過激だが、イ・ジフンが演じたイ・ジェフンというキャラクターにぴったりな表現だ。ただイ・ジフンは喜びながらも「僕に退廃美はないけど」と恥ずかしそうに言った。

最近、韓国で放送が終了となったKBS 2TV水木ドラマ「99億の女」は、偶然に現金99億ウォン(約9億円)を手に入れた女が、世の中と立ち向かう話を描いたドラマで、イ・ジフンはイ・ジェフン役を通じてチョン・ソヨン(チョ・ヨジョン)との致命的な愛から、ユン・ヒジュ(オ・ナラ)との切ない夫婦演技まで多彩な魅力をアピールした。

初回から大胆な演技で注目を集めたイ・ジフンは、わざとセクシーに見えるための努力をするよりは、ジェフンというキャラクターをよりよく表現するために計算せず、現場で感じたとおりに演技しようと思ったと告白した。

「粗末に見えるとしても計算はしないで、演技しようと思いました。気を使ったらこのキャラクターの分別のない姿たちが伝わらないと思って、飾らなかったんです。話を聞いてみると、前半には『演技が誇張されたようだ』という反応があったようですが、後半に進むほどそんな反応はなかったです。後に、そんな部分のおかげで力ができたのだろうと思っています」

イ・ジフンは実際の本人とイ・ジェフンというキャラクターの共通点として「分別がないこと」を選んだ。「今も僕は自ら子供みたいだと思っています」と話したイ・ジフンは「子供のように、飾らなかったんです。それでこそジェフンが憎めないだろうと思いました」と話した。

最終回を控えて残念ながら死んでしまったイ・ジェフン。しかし元々はドラマの半ばに死ぬ予定だったという。

「第14話を撮影する時、第15話の台本をもらったんですが、(ジェフンが死ぬシーンが)どこかでたくさん見たような気がしました。『男たちの挽歌! 僕の考えが正しいのか?』と思いました。終わってから脚本家に聞いてみたら『男たちの挽歌』のオマージュだと答えました。お父さんが一緒に台本を見てくれるのですが『この台詞、男たちの挽歌の感じがするね』と言ったんです。レスリー・チャンの演技ももう一度見てから『僕はジェフンのように、ジェフンらしく死のう』と思ったんです」

イ・ジフンは台本を見て心が痛かったという。ユン・ヒジュ(オ・ナラ)のような妻がいる、遅れてヒジュに対する“本物の愛”に気づいた、死を控えてすべてが遅れてしまったジェフンと彼を巡る状況たちが残念に思われたからだ。

「そのシーンを演技する時、夜明けにナラお姉さんに連絡しました。元々通話シーンを撮影する時、相手の台詞が聞こえると思って演技するのですが、実際にお姉さんに電話してほしいと頼んだんです。お姉さんは家で台詞を言ってくれて、僕はそれを聞いて演技しました。僕が『君』と初の台詞を言うとき、一緒に(演技)した時間たちがあるから声を聞くや否や涙が出てきました。悲しかったです」

イ・ジフンはオ・ナラとの共演がよかっただけではなく“人生アドバイス”もたくさん受け、オ・ナラがたくさん配慮してくれたと伝えた。「君」という言葉も最初は「正気なの」と思ったが、ある瞬間「帰ったの?」と自然に話すようになったと。イ・ジフンは「楽しく撮影しました」と当時を思い出した。しかし、ドラマがベールを脱ぐ前には二人の年の差が14歳ということに注目し、懸念する視線もあった。

「僕がナラお姉さんに比べて人生も、演技も後輩なので(お姉さん)が頼りになってくれてよかったです。心配になったのはキャスティングニュースが報じられた後、14歳の年の差に関心が集められることをナラお姉さんが意識しているようでした。『どうすればナラお姉さんをよくサポートすることができるだろう』と悩み続けました。声もお姉さんと一緒にいる時には違和感を感じられないように、そんな部分に気を使いました」

ドラマ前半、チョ・ヨジョンとの激情ロマンスを披露したイ・ジフン。チョ・ヨジョンとのキスシーンがデビュー以来、初のキスシーンだったという。彼は「(以前の作品で)頬にキスをしたことはあるのですが、本物のキスシーンは初めてだったので当時、汗が手と背中、首の後ろまで……本当に大変でした」と告白した。特に監督が「男性美を見せてくれよ」「一気に」などと注文し、さらにプレッシャーを感じたと話して人々を笑わせた。
「ヨジョンお姉さんには事前に『下手だけど、一回でOKをもらえるようにします。申し訳ないです。ご了解お願いします』と話したのですが、お姉さんが『気楽にしてね。緊張しないで』と言ってくれたんです。しかし5回もNGが出ました。実はまだそのシーンは見ていません。見ることができないです(笑)」

イ・ジフンはチョ・ヨジョンとのエピソードも公開した。そのおかげで心が温かくなり、俳優としてもたくさん学んだという。

「ヨジョンお姉さんが人を人間的に接してくれるというか、撮影しながら率直な人という感じを受けました。『とても温かい人なんだ』と感じました。お姉さんに感謝しています。お姉さんが皆にお餅をプレゼントしたことがあります。僕が最後のシーンを撮影する時、控え室に入ったらお餅の上に『ジフンのお餅! ジフン、これぜひ持っていってね』というメモがあったんです。感動しました。主人公は難しい位置だと思うけど、同僚たちをたくさん配慮してくれました。『このぐらいの人になってこそ、主人公の資格があるんだ』と学びました」

イ・ジフンは「99億の女」を通じて俳優としてもスペクトルをさらに広げた。前作「新米史官ク・ヘリョン」での真面目なキャラクターと相反するキャラクターだっただけではなく、従来のイメージを変え「俳優イ・ジフンはこんなキャラクターもできるんだね」という事を証明した。

「僕が挑戦したことがない人物を演技し、もう少し関係者の方々や視聴者の方々に見せなかった部分を見せることができたようです。『この俳優に新しい姿もあったんだ』と分かってほしくて、そのような部分をアピールしました。個人的に良く、記憶に残るドラマ、キャラクターでした」

今回の作品で新しいイメージを披露したイ・ジフン。実際に出演オファーが入る作品のジャンルも多様になったという。

「僕は僕が優しい顔だとは思わないです。でも線が柔らかで弱い役割のオファーが入って驚きました。『99億の女』に出演してからは、男性美のある役割のオファーも入るんです。役割が重なるのが嫌で、イ・ジェフンに似ている役割よりは、やっていない役割に挑戦する予定です。事務所は分かりませんが、僕の意見はそうです(笑)」

記者 : キム・ミリ、写真 : G-TREE CREATIVE