ルックスを諦めきれないイ・ダヘ&ファン・ジョンウム、不協和音を奏でる

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既に綺麗な彼女ら、いまやルックスより“演技への情熱”を見せる時

女優にとって美貌とは、諦めきれない自尊心だ。皆が綺麗な姿を見せようと頑張るが、美貌というのがブラウン管に自然に映るか、反対に役柄をも無視した顔への執着に映るかは紙一重だ。

実際にSBS「その冬、風が吹く」のソン・ヘギョの美貌は賛辞を受けるが、KBS 2TV「IRIS 2」のイ・ダヘやSBS「お金の化身」のファン・ジョンウムには賛辞より叱責が押し寄せている。彼女らが諦めきれなかったルックスが、ドラマに自然に溶け込めなかったからだ。女優が綺麗で初めてドラマもヒットするという通念とは違い、乳白色の肌と大きな瞳の彼女らへの批判の声が高まる理由は、何だろうか。

イ・ダヘ、どの瞬間にも清楚で美しいNSS要員?

「IRIS 2」の最大の問題は、投げ放たれた状況に比べ、物語の展開の仕方が粗雑な点だ。IRISとNSS間の葛藤と陰謀がこのドラマの最大の軸となるが、終始貫く重い雰囲気はさて置き、アクションと演技はディテールを生かせず、演出も落ち着かない。視聴者が「IRIS 2」に期待しているのは“緊張感”だ。しかしこれは、粗末な構成により訴求力を持たない。200億ウォン(約17億円)という制作費が恥ずかしくなる瞬間だ。

演出に緊張感がないなら、視聴者が愛情を持って見守りたいキャラクターでもいなければならない。粗末な設定も視聴者がキャラクターと恋に落ちる瞬間許されるからだ。しかし、「IRIS 2」には視聴者が何が何でも味方したいキャラクターも存在しない。キャラクターがむしろストーリーに埋もれるだけで、魅力を吹き込めないでいる。その場を代わりに埋めているのは、拷問シーンやベッドシーンなどの刺激的なシーンだけだ。問題は、このようなシーンさえも粗雑だということだ。

写真=KBS
その中でも、ヒロインのイ・ダヘは没入を最も妨害する要素として指摘されている。発音と発声の面でイ・ダヘは没入を妨害する演技者ではない。しかし彼女は、どのような役柄を演じても、自分のルックスが崩れることを許せない点で、視聴者から叱咤されている。演技者には、役柄により違う姿を披露し、状況に相応しい設定で視聴者を理解させなければならない責任がある。しかしイ・ダヘは、前作「チュノ~推奴~」でも状況に相応しくないメイクと綺麗な顔で批判されている。

これは「IRIS 2」でも続いているが、イ・ダヘは訓練中はもちろんのこと、病院でも濃い目の完璧なメイクを施し、顔への執着を手放さなかった。女性の精鋭要員としての役柄よりは、“ヒロイン”としてのイ・ダヘがさらに強調される瞬間、視聴者は抵抗を感じる。演技者が画面にどう映るかばかりを考えていることが視聴者に分かるのは、得よりは失が大きいのだ。強烈さを与えるための選択だったのかは分からないが、真剣な状況でイ・ダヘのアイラインを見ていると、ストーリーに集中するよりは「あんな真剣な状況でもアイメイクに工夫する時間があったのか」という疑問の方が大きくなるのだ。

演技者として安着したファン・ジョンウムのNGポイント、“サークルレンズへの愛”

写真=SBS
このような問題は、「お金の化身」のファン・ジョンウムにも見られる。ファン・ジョンウムは「お金の化身」で、不細工からすらりとした美人に生まれ変わるポク・ジェインというキャラクターを演じている。「お金の化身」は終始好奇心を煽るストーリーと、興味深い人物構成で今後がさらに期待されるドラマだ。ファン・ジョンウムも、以前より発展した演技力を披露し、演技者として自然に安着しつつある。

しかし、演技が発展したとしても、ファン・ジョンウムが俳優として認識され難いのは、自分を諦めないルックスが原因でもある。「お金の化身」でファン・ジョンウムは、デブで眼鏡までかけた不細工だったが、その瞬間にもファン・ジョンウムの瞳だけはきらきら光っていた。ファン・ジョンウムが諦めないのは、“サークルレンズ(カラーコンタクト)”だ。ファン・ジョンウムは男たちに無視され外見を着飾らない設定の時はもちろん、全身整形手術を受け包帯を解くその瞬間まで、サークルレンズをつけていた。太っているからといって外見を飾らないわけではないが、キャラクターの性格や状況からは決してしそうにない行動だった。

ファン・ジョンウムの最大の問題点は、外見が崩れることを過剰に恐れている点だ。十分可愛い顔にも関わらず、ファン・ジョンウムスタイルの演技には定型化された何かがある。例えば、大きな目をパチパチさせ、唇をすぼめたまま少し下を向き、目は大きく顔は小さく写そうとする“可愛いふり”などだ。ファン・ジョンウムが本当に演技をしたいのなら、顔を諦めた方が一層自然になるだろう。自分が持つ何かを諦めキャラクターを演じる時、人々は初めて彼女を演技者として認めるだろう。

美貌は死んでも諦めたくないものの一つであるだろうが、その美貌が視聴者の没入を妨害するならば、それは意味を持つだろうか。彼女らはブラウン管で“イ・ダヘ”や“ファン・ジョンウム”ではなく、“チ・スヨン”と“ポク・ジェイン”を演じなければならない。彼女らは既に十分綺麗だ。視聴者はブラウン管で女優の外見も見るが、時間が経つほど目にとまるのはルックスよりは演技だ。綺麗だということはもう十分わかっているので、これからは崩れるとしても演技への情熱を披露する時が来た。いまや、ルックスより役柄にハマった彼女らに会いたいと思う。

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記者 : ウ・ドンギュン 写真 : イ・ジョンミン