「Barbie」イ・チョニ“結婚前は不安だった…クラブに行くのを止めれるのか”

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ハードなスケジュールで声が低くなっていた。「風邪のせいです。僕は温かいゆず茶かレモンティーがいいです」とニッコリ笑う姿が、間違いなく“チョンデレラ”(チョニ+シンデレラ)だ。“すごく悪い奴”を期待していたが、彼は依然と隙だらけのソユちゃん(イ・チョニの娘)のパパだった。

映画「Barbie」(監督:イ・サンウ、制作:インディカムメディア)で一攫千金のために幼い姪に海外の養子縁組を強いる残酷なマンテク役を演じたイ・チョニ(33)。叔父さんとして姪に海外養子縁組を強いること自体が人から後ろ指をさされることなのに、それが平凡な養子縁組でもなく、違法臓器売買のための犯罪だった。その事実を知りながら知らないふりをする残酷さが、さらに衝撃的だ。

それだけではない。イ・チョニは韓国で11月に公開される予定の「南営洞(ナミョンドン)1985」(監督:チョン・ジヨン、制作:アウラピクチャーズ)でも末端刑事のキム係長に扮し、悪役を演じた。イ・チョニは最近悪役のキャラクターにどっぷりハマっている。

「本当のイ・チョニが気になる」

普段からバラエティ番組を通じて“隙だらけのチョニ”“チョンデレラ”と呼ばれるなど無邪気な魅力をアピールしていたイ・チョニが、隠していた棘を見せ始めた。“継母”ことキム・スロと“お嬢様”ことパク・イェジンがいじめていた“チョンデレラ”はもういない。

これまでの優しいイメージに飽きたのだろうか?上記2本の映画を通じてイ・チョニは本格的な“悪党”になった。わざと公開の時期を合わせたかのような絶妙な(?)タイミングである。当分は魅力的なイ・チョニの笑う目は忘れたほうが良さそうだ。

連続して悪役を演じることに、プレッシャーを感じても不思議ではないが、イ・チョニはいつ悪役を演じたのかと思わせるほどニッコリと笑い「大丈夫です」とプレッシャーを吹き飛ばした。イ・チョニは「本当に偶然の一致だ。僕はどんなイメージであろうと気にしない。周りでは『ニュー!日曜日は楽しい-ファミリーがやってきた』(以下「ファミリーがやってきた」)でのイメージをなくすために悪役を演じているのではないかと心配でもない心配をするが、それは絶対に違う。どんな形であろうと、皆さんが僕のことを覚えてくれれば、それは感謝すべきことだ」と打ち明けた。

さすが“前向き大魔王”のイ・チョニだ。短い会話しか交わしていないたった10分の会話でも、彼への信頼が生まれた。イ・チョニこそ“優しい男”だ。そんな彼が一発殴りたくなるマンテク役とキム係長役を演じるとは、裏切られたような気持ちでいっぱいだ。

どんな姿が本当のイ・チョニなのだろう。イ・チョニは「僕の本来の姿というのが、どんなものなのか分からない。どんな姿が本当の僕なんだろう」と聞き返した。ユニークに見えても、彼が心から感じているジレンマでもあった。

イ・チョニは「こうやってインタビューでお喋りをしている姿も僕だし『ファミリーがやってきた』での隙だらけの僕ももちろん僕だ。実は、普段の生活では隙だらけのイ・チョニだけど、演技をする時はそのキャラクターに合わせて変化しなければならない。隙だらけの僕であろうとも、喧嘩をする時は笑わないように、悪役を演じる時に本当の僕が映し出されることもあるけど。もちろんバラエティ番組の笑える僕も本当の僕だ。どんな僕でも全部僕なのに、ある一面だけを見て一次元的に評価されるのは寂しい」と話した。

「普段『“隙だらけのチョニ”のイメージがもっと好きです』とよく言われます。一度はこんなこともありました。『ファミリーがやってきた』では面白かったのに、実際には面白くない人なんだ、と言われました。こう言われると、心配になりますね。『Barbie』も『南営洞1985』も重い映画なのに、これ以上明るく振る舞うこともできないでしょう?本当の僕は“隙だらけのチョニ”に近いです。だけど、『Barbie』や『南営洞1985』の公開の時だけは暗く重い雰囲気を演出しようとしています。僕、どうしましょう?(笑)」


「自分の演技は見ていられないほど恥ずかしい」

「Barbie」のマンテクという人物は、“悪い奴”というレベルの悪役ではない。人としてやってはいけないことをする悪党だ。「南営洞1985」のキム係長も同じだ。まだ「南営洞1985」を見ていないというイ・チョニは自分がどれだけ悪い人として映されているのか、気にしていた。

最近イ・チョニはMBCの海外ボランティアプロジェクト「2012 KOICAの夢」の撮影で「南営洞1985」の試写会に出席できなかったという。「南営洞1985」は第17回釜山(プサン)国際映画祭のガーラプレゼンテーションの招待作品として6日に釜山で初公開された。

紛争地域であるパレスチナでボランティア活動を行ったイ・チョニは「共演した先輩たちと一緒に釜山を訪れることができず、とても残念だった。パレスチナで、メッセンジャーで記者懇談会の写真を見たが、とても寂しかった。イ・ギョンヨン、ミョン・ゲナム、パク・ウォンサン、ソ・ドンス、キム・ジュンギ先輩たちとチョン・ジヨン監督が揃って並んでいる写真を見たが、死ぬほど羨ましかった」と可愛い愚痴をこぼした。

またイ・チョニは「(参加できなかったのは)とても残念だけど、実は、いざ僕は僕が出演した映画が見られない」という意外な告白で笑いを誘った。イ・チョニは「恥ずかしく見ていられないというか。僕が悪口を言ったり人をいじめたりする姿に違和感を感じる。とてもじゃないけど見られない」と首を横に振った。

だが、イ・チョニが自分の全作品を見ていないわけではない。昨年開かれた第16回釜山国際映画祭の「韓国映画の今日のビジョン部門」の招待作品「Barbie」。イ・チョニは1年前、釜山で「Barbie」を見ることになった。当時は撮影を終えたばかりだったので、その勢いで見ることができたという。1年が過ぎると、当時の記憶が蘇り、恥ずかしくなったとか。

隙だらけの魅力が輝きを増す瞬間だった。見たいと何度も言っていた作品だが、いざ見ることになると勇気が出ないみたいだ。その分、作品と触れ合う時は慎重で謙虚な姿勢で臨んでいるというイ・チョニである。

「最近、妻(チョン・ヘジン)と映画を見に行きました。CGVムービーコラージュでしたが、『Barbie』も招待されていました。人々も『Barbie』のタイトルを見て呼応してくれました。僕はその光景をこっそりと見守りながらただ胸がいっぱいになったのです。映画館に入り、リラックスした姿勢でスクリーンを見ていたら、突然見慣れている画面の予告映像が出てきました。『Barbie』の予告映像でした。予告映像で見ることになるとは、想像もしなかったです。真剣に悪口を言うマンテクを見て、唾も飲み込めなくなるほど焦ってしまいました。妻はそんな僕を見て爆笑してました。ハハハ」


「逸脱、やるだけやってみたけど僕には合わないものだった」

たしかに「Barbie」と「南営洞1985」を通じてイ・チョニの演技の幅は広くなり、深くなった。また丈夫でしっかりとした基盤となった。「こんなに演技が上手い俳優だったのか」と感じるほど好演を見せた。

イ・チョニに「見事に悪役を演じきった。演技が本当に素晴らしかった」と感想を述べると、イ・チョニは「細かく見るとミスだらけで、隙だらけだ」と謙遜した。悪口を言う自分の姿に違和感があったという説明も忘れなかった。

「もともと悪党なわけではないので、大丈夫」と彼を慰めると「そうだ。実は僕は悪口があまり言えない」と同意してくれた。また「僕が悪口を言うと、なぜかすごく可笑しい。イ・サンウ監督も僕を見て『本当に悪口が下手だ』とうんざりしていた。僕にできる悪口は二つぐらいしかない」と打ち明けた。

「僕は本当に腹が立つと自分をどうすることもできないほど興奮してしまいます。たまに友達と喧嘩をする時も、自分をどうすることもできず悪口を言いますが、それがまた可笑しいみたいです。友達が爆笑してしまって。それほど似合わないみたいです(笑) ドラマもそうです。怒りを感じるシーンもたくさんあるけど、テレビという特性上悪口は言えないでしょう?だけど、怒りを感じる演技は必要なので役作りをします。だけど、どこか浮いているというか。愛する人が離れることになり、怒りを感じるけど、重く『行かないで』と言ってカリスマ性をアピールするのではなく興奮した状態で『行かないでってば~』と言って劇を台無しにしてしまいます。そこで、最近は自粛しようとすごく努力しています(笑)」

思ったよりも筋の通っている男だった。一見激しい反抗期を経験した世間知らずの少年のように見えても、内面には人生を知っている大人がいる。「早く物心がついたほうなのか」という質問にイ・チョニは「早いほうではなかったけど、結婚をしてから物心がついたようだ」と答えた。

音楽が好きだったイ・チョニは結婚する前に「クラブ音楽にハマっているのに、僕はクラブへ行くことを止めることができるのだろうか」という不安が大きかったと告白し、場内を爆笑させた。また「でも、結婚をしてからクラブに行かなくてもやることが多くなったし、楽しくなった。『こんな楽しさもあったんだ』という幸せな気持ちを知った」と話した。特に最近はキャンピングにハマり、生きる楽しさを感じていると付け加えた。

「僕自身も逸脱した行動が多かったほうだと思います。もちろん、マンテク役やキム係長役とはレベルが違いますけどね。僕の基準にしてはものすごい反抗と逸脱を経験しました。もしかしたら悪役を無難に演じきったのも僕の逸脱が幅広くなく、ささやかな逸脱であったためであるのではないかと思います(笑) だけど、逸脱と僕とは傾向自体が合わないんです。まずは不快な気分になりますので。今はキャンピングで少しの逸脱を味わっています。初めての場所で親しい人々と率直な会話を交わせる魅力が本当に良いです。ハハハ」

記者 : チョ・ジヨン