【スターコラム】チュウォン“もっと大きな夢に向かって” ― Vol.3

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悪役で強烈な印象を残した。切ないながらも甘いロマンスを披露し“若手スター”として浮上した。善と悪を行き来する内面の演技を通して演技力を認められた。“ライジングスター”から“次世代演技派俳優”という賛辞を得るまで、チュウォンは注意深く足を運んだ。助走を終え、次は這い上がる番だ。夢を広げていく彼の羽ばたきに、奥ゆかしい香りが漂うように。/編集者

NAVER スターコラム 第3回:チュウォン

「カクシタル」2012年5月30日~9月6日 暑かったけど、幸せだった

2010年から1年に1つの作品に着実に出演してきた。全て記憶に残るが、最近終えた「カクシタル」に一番愛着がある。肉体的にも、精神的にも非常に厳しかったが、それだけ僕を成長させてくれたドラマだと言いたい。僕が担当したイ・ガントという人物は、家族に対する苦しみがある。また、木村シュンジ(パク・ギウン)という友人との運命的な対決による苦しみも経験しなければならなかった。確かに木村シュンジとは、かけがえのない親友だったけれど……撮影をしながら「どうしてこうなってしまったのだろう」と疑問に思うほど、胸が熱くなった。

第3者の立場から見ても、イ・ガントと木村シュンジの関係は、胸が痛くなるしかなかった。二人とも一番親しい友人の家族を殺さなければならない運命に置かれ、それによって対立もより激しくなった。本音を語り合ったり、大変なときは肩に寄り添って慰めてくれた木村シュンジが、一晩で敵になった状況で、お互いを疑い、憎むようになった二人の現実に思わず涙が出た。この気持ちは、実際に撮影しながらも続き、木村シュンジ役のギウン兄さんとも作品に関する話をしながら「僕たち、どうしてこんな風になってしまったのだろう」と言うほど心が痛んだ。

そのため「カクシタル」のラストシーンも、さらに胸が締めつけられる思いだった。イ・ガントが愛する全ての人を手放さなければならなかったためだ。心より嗚咽するしかない状況が自然に作られたと言えるのだろうか。どれほど泣いたのか、今でもそのときを思い出すと涙が出そうだ。イ・ガントとして生きているときは、二重生活を送ることが大変だった。

劇中の人物だけを騙さなければならないのか、そうでなければ全てのものを見ている視聴者も騙さなければならないのか。その微妙な境界を表現することが大変だった。序盤は、キャラクターの歴史を理解することで感情を引き出すことが難しかったが、後半は心理的に疲れた。言葉通り善と悪を行き来しなければならなかったし、最後には我慢していた全てのものを噴出しなければならなかったため、体力的に厳しかった。

ラストシーンでイ・ガントは、オ・モクダン(チン・セヨン)の死を目にし、大声で泣いた。このシーンを見て多くの方々が一緒に泣いたとおっしゃった。また、一部では「もうちょっとカメラに気を遣えば良かったのに」という反応もあった。だが、高校時代から「演技をするときは、顔には気を遣わないようにしよう」という僕なりの演技の哲学があった。僕の顔がカメラにどう映されているのか、綺麗に見えるのかに気を遣うと、真の演技ができないと思ったためだ。見た目にこだわらなければ、誰でも共感できる真の演技を見せることができると思う。

「製パン王キム・タック」を終えて、母校の教授の頼みで後輩に講義したことがあるが、そのときもそのような話をした。「見かけにこだわらないように」と。これは、役者にとって一番重要な姿勢で、俳優チュウォンの哲学でもある。3月から「カクシタル」のために走ってきた。暑かったし、台風もあって、俳優だけでなくスタッフも本当にたくさん苦労した。撮影現場までの距離も遠かったし、移動時間が長くて体力的にも大変だった。

非常に暑い日に暑苦しい制服を着て、ある日は息の詰まるような思いがして少し休憩をお願いしたこともある。それにも関わらず、幸いにも撮影現場はいつも和気藹々とした雰囲気だった。良いスタッフ、俳優と一緒だったから頑張れた。先輩たちの配慮で勇気を出せたし、視聴者の皆さんに僕たちの汗と涙の努力を分かっていただけて、笑うことができた。今でも、そして今後も伝えていきたい。「カクシタル」は本当に幸せな作品だったと。


9月6日 また誰かと出会う準備を!

これまで演じてきたキャラクターの中で一番良かった人物?「カクシタル」のイ・ガントだ。俳優として表現することの多いキャラクターだったし、撮影しながらたくさんのことを考えた。もう一歩跳躍させてくれたイ・ガント!

それだけ役に対し悩んだし、研究した。俳優になっていく一つの過程を「カクシタル」を通じて経験した。今までは僕の実際の年齢より年上の役割を主にしてきた。ささやかな望みがあるとすれば、これからは実際の年齢に合うキャラクターも演じてみたいということだ。あまりにも強い人物を演じたので、力を抜いて美しい役にも一度挑戦してみたいと思う。

ドラマのキャラクターに没頭するため、毎回撮るたびに努力し、集中しようとする。そして、監督の「カット」という合図を聞くと、空しい気持ちがしばらく続く方だ。イ・ガントへ完全に別れを告げるためには、もっと時間が必要になると思う。

家族、友人と近いところでも旅行に行って、些細な日常の幸せを満喫したい。色々と話も交わして、日差しの良い日に歌も聞きたい。イ・ガントとは寂しいけれど、美しいお別れをしなきゃ。そして、また新しい誰かに出会う準備をする!たくさんのことを得た作品「カクシタル」で成熟しただけに、次の作品ではファンの皆さんからいただいた身に余る愛をお返ししなければならない。真の俳優に生まれ変わるために最善を尽くしますので、今後ともたくさんのご声援と愛情をお願いします。皆さんの信頼と愛情をそのまま作品の中に反映する俳優、チュウォンになります。今日より、明日がもっと期待されるチュウォン!もっと大きい夢に向かって、ファイト!

文:チュウォン

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記者 : Kstyle編集部、編集 : ファン・ヨンヒ(イシューデイリー局長)