「第3病院」漢方・洋方協診の医療ドラマ、新鮮あるいは危険な理由

TVREPORT |

韓国初の“漢方・洋方協診”の医療ドラマが誕生した。ケーブルチャンネルtvNの新水木ドラマ「第3病院~恋のカルテ~」(演出:キム・ヨンジュン、キム・ソルメ、脚本:ソン・ジンミ)だ。漢方・洋方協診病院内の神経外科がその舞台となる。天才神経外科専門医キム・ドゥヒョン(キム・スンウ)と、天才漢方医キム・スンヒョン(オ・ジホ)が繰り広げる仕事と恋愛の運命的な対決を描く。“ヒポクラテスとホ・ジュン(朝鮮時代の名医)の対決”。果たして通じるのだろうか。

三つの期待

漢方・洋方協診:お茶の間に始めて紹介されるテーマだ。韓国ではまだ“漢方・洋方協診”に対する認識が広まっていない。新しい医療の世界を描くということに意味がある。

制作会社のTAEWONエンターテインメントのチョン・テウォン代表は「ドラマを通じて現代医学と伝統医学の調和、協診システムの望ましい道を提案したい」と抱負を語った。

韓国医学界の現実もリアルに描く。医学の第一線で死闘を繰り広げている神経外科と非主流医学に転落した韓医学。難易度の高い脳の手術から細かい漢方の治療がお茶の間を沸かせる。

100%事前制作:女優キム・ミンジョンは「以前にも事前制作のドラマに出演していたが、そのようなドラマもいつの間にか“生放送のドラマ”になりがちだった。ここまですべてを事前制作してから放送に入るケースは初めてだ」と述べた。

「第3病院~恋のカルテ~」は徹底なる事前準備と事前制作のドラマだ。ソン・ジンミ脚本家はこの作品を3年間執筆した。慶熙(キョンヒ)医療院などの病院や多くの医師から資料と諮問を得た。俳優たちの準備期間も長かった。リアルな医術の演技を期待できるのもそのためだ。

キム・スンウは「撮影だけで5ヶ月はかかった。撮影の3~4ヶ月前からドラマを研究し、約1年近く作品を準備したと言える。医師役は初めてだったが、研究する時間が多かったので撮影に対するプレッシャーは少なかった」と伝えた。

名俳優たち:キム・スンウはここ数年、“初めて”に力を入れているようだ。KBS 2TV「キム・スンウの乗勝長駆(スンスンチャング)」で自身初のMCに挑戦し、「1泊2日」では自身初のバラエティ番組に挑戦した。「第3病院~恋のカルテ~」では自身初の医療ドラマに挑戦する。キム・スンウは自ら手術を参観し、撮影前から医学大学の教授たちから指導を受けた。“初めて”を恐れない彼の挑戦は現在進行形だ。

オ・ジホは針を刺す方法を覚えるだけで1ヶ月を費やした。漢方医の免許はないが、実際に針を刺せるほどのレベルまで勉強をした。オ・ジホは「針術は繊細な演技が必要なので、より力を注いだ。あまりにもリアルなので、人々が代役だと思うのではないかと心配だ」と伝えた。

キム・ミンジョンは「ニューハート」以来、多くの医療ドラマを断ってきた。4年ぶりの出演作として「第3病院~恋のカルテ~」を選んだ。真なる医師を目指す神経外科の研修医、チン・へイン役を演じる。キム・ミンジョンは「あまり飾り気がなく、サバサバとしている性格だ。これまで演じてきた役とは違って体もたくさん使う役だ。だから選んだ」と伝えた。”美しさ“よりは演技を選んだ女性主人公だ。

三つの心配

度を過ぎた話題作り:「大韓医師協会が抗議しそうだ」「放送禁止の仮処分が申請されるのでは?」29日に開かれた制作発表会で出てきた言葉だ。「第3病院~恋のカルテ~」は放送前から議論を予想していた。逆に議論を楽しんでいるようにも見えた。

チョン・テウォン代表は「制作をしながら、多くの議論があるだろうと思った。地上波側が放送を避けていた部分もある」と認めた。また、「そこで、逆にtvNとさらに攻撃的に漢方・洋方協診を描いてみようと話し合った。議論が広まれば解決策も見えてくるし、視聴率も高くなるだろうと思った」と説明した。

ドラマは、その質と面白みで勝負しなければならない。度を過ぎた話題作りは禁物だ。放送中に“議論”だけが先走る可能性もある。「第3病院~恋のカルテ~」は視聴者に明確な企画の目的を知らせる義務がある。“漢方・洋方協診”という新世界を描こうとするのか、それとも単純な“医師対漢方医の対決”を描こうとするのかをだ。

病院と恋愛模様:韓国ドラマの不変の真理。スポーツでも、音楽でも、医学でもテーマは“恋愛”だ。「第3病院~恋のカルテ~」も例外ではない。漢方・洋方協診を脅威する恋愛が始まる。前に向かって走るだけだった神経外科専門医も、温かい性格の天才漢方医も、使命感溢れる研修医も皆“恋愛”のために悩む。

助演たちも同じだ。イム・ヒョンジュンは主人公のキム・スンヒョンの親友の漢方内科医として登場する。浮気好きの遊び人な漢方医がコンセプトだ。イム・ヒョンジュンは「20話の間、針を刺すシーンはなく、“オルチャン(整った顔)”研修医のチェ・ユンソだけに付きまとう。医師のガウンを着ているのに、得たのは汗疹だけだった」と可愛い愚痴を口にした。

恋愛は、できない人はいてもしない人はいない。病院でも恋愛は花を咲かせるものだ。だが、本質を忘れてはならない。「第3病院~恋のカルテ~」は医療ドラマだ。度を過ぎた恋愛模様はドラマに毒となれる。

独善的な判断は禁物:洋方と漢方は優位を図ることのできない領域だ。どっちが正しいのかも判断できない。なのに、スタートから片方の肩を持っている。制作会社は「洋方よりは漢方側でもっと喜ぶようなドラマだ。韓国では、洋方が漢方よりずっと優位にある。『大韓医師協会』は力の強い団体だ。地上波で放送すれば、反発が強く、放送を続けられるのだろうかと思った」と伝えた。

前提条件ができた“力の強い洋方と弱い漢方”。メイキング映像でキム・スンウは漢方医のオ・ジホに「お前のどこが医師だ?」と胸倉をつかんだ。作品の紹介でも似たようなニュアンスが感じられる。「洋医学と韓医学は永遠に平行線を描きながら対立するしかないのか。医師としての本当の勇気は何なのか。彼らが権威主義を脱ぎ捨てた時、どんな奇跡が起こるのか?」

「第3病院~恋のカルテ~」が見つめている韓国医療界の現実は、嘘ではない。事実に基づいている。問題は、ドラマの特性上、大げさに表現されるしかないというところだ。視聴者が偏見を持つようになるのではないか、懸念が残る。「第3病院~恋のカルテ~」は現実と混同するかもしれない視聴者のために対策を講じた。ドラマが始まる前に字幕で“仮想の現実”であることを知らせるという。効果があってほしい。

記者の予感?

とりあえず新鮮だ。これまでには見られなかった医療ドラマに間違いない。長い準備期間と事前制作、俳優たちの努力も実を結ぶと思われる。

キム・スンウは「制作陣が全20話を20本の映画を作るという心構えで制作した。俳優たちも20本の映画に出演するという気持ちで頑張った」と伝えた。

キム・スンウの言葉通りに20本の医学映画がお茶の間で見られることを期待している。「第3病院~恋のカルテ~」は9月5日の夜11時から韓国で放送が始まる。

記者 : イ・スア 写真 : キム・ジェチャン