「ヨンガシ」パク・ジョンウ監督“息子まで真冬の噴水に飛び込ませた”

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写真=CJ E&M

純制作費30億ウォン台に56回撮影の劣悪な環境「皆さん、お詫びします」

映画「ヨンガシ 変種増殖」が、スパイダーマンのヒットに待ったをかけ、5日間で観客動員数100万人を突破するなど、破竹の勢いを見せている。「ヨンガシ 変種増殖」は、今年公開された韓国映画の中で、公開第1週目の最高スコアを記録した。

怪獣や恐竜、ゴジラのような巨大な化物が現れ暴れる巨大怪獣大型映画でない、普段見くびっていた寄生虫1匹が人の命を奪うという設定がどれほどの波及力を持てるか。韓国映画界の関係者たちは疑問を示し、試写会当日までもその期待値はとても低いものだった。しかし、映画が公開されて以来、この作品の映画的な面白さについてあちこちで驚きの嘆声が上がっている。

人々の体内どこかにいるかも知れない寄生虫。実際に存在するヨンガシ 変種増殖という寄生虫の変種が人間の体に入り、人々を死に至らせるという設定は、実際か虚構かが区分できないほど現実的に感じられた。観客の体感温度は高まり、それがそのまま口コミに繋がりヒットに直結した。

映画で、普段よく見るミミズの数倍の長さのヨンガシ 変種増殖を見て、ホラーのように毛嫌いする姿を見せた観客も多かった。このヨンガシ 変種増殖は、驚いたことに全てCG処理されたものだ。序盤のガラス瓶の中のヨンガシ 変種増殖だけでなく、人の体から突き出るヨンガシ 変種増殖に至るまで、その生々しく気色悪い動きに皆が仰天した。

写真=CJ E&M

「ヨンガシ 変種増殖は全てCG…CG会社を急かしすぎたようで申し訳ない気がします」

パク・ジョンウ監督は、このヨンガシ 変種増殖CGのせいで試写会3日前まで夜も眠らずCGチームを急き立てた。

「実は、CGが僕の期待に至らないと思っていました。試写の3日前までCGを補強し続けたくらいです。もうこれ以上時間もないことだし、これが最善だということでCG作業を締めくくりました。試写会の時は、ヨンガシ 変種増殖が出てくるシーンでは心配になってそっぽを向いたりもしました。それが、試写会の時CGについては誰にも何も言われなかったし、反対に良かったと言ってくれた方も多かったです。ほっとしました」

パク・ジョンウ監督はヨンガシ 変種増殖の質感と動きが、さらに柔軟で細やかになることを望んだ。数十回モニタリングしてチェックしたヨンガシ 変種増殖なので、その微細な違いまで鋭い目で見つけて修正し続けたという。

「500以上のカットがCG処理されました。CG会社を大いにいじめました。冗談交じりに『うちの映画の仕事が終わったら廃業したら?』と言ったことまであります。振り返ってみると申し訳ない気持ちです。CG会社にこれまでのことを謝らなければなりませんね」

パク・ジョンウ監督は5、6年前にこのヨンガシ 変種増殖の存在を知り、それ以来映画化する過程で多くの文献を調べた。寄生虫の博士たちが収集した資料を見て、ヨンガシ 変種増殖の動きについて研究を重ねた。学会には実際2mくらいになるヨンガシ 変種増殖が報告されているそうだ。

写真=CJ E&M

「真冬に入水したエキストラたちと息子に申し訳ない」

ヨンガシ 変種増殖のCG処理と共に監督を最も悩ませたのは、十分でない予算だった。純制作費30億ウォン(約2億円)台に、56回の撮影。パク・ジョンウ監督は「本当に狂ったように映画を撮った」と回想した。そして俳優と助演出、スタッフとエキストラたちに申し訳ない気持ちを伝えた。

「予算は十分でないのに、撮りたいシーンは多かったんです。そのために、現場で強く駆り立てるしかなかったです。エキストラ、スタントマンが真冬に入水しなければならない状況で、申し訳ないと思いながらも『もう一度、もう一度』を繰り返しました。冬に撮ったので、本当に寒かったはずです。でも僕は知らんぷりをして、『もう一度』を叫びました。このような劣悪な資本では、もう二度とパニック映画を作りたくありません」

劇中では、ヨンガシ 変種増殖に感染して脱水症状を感じる人々が、漢江(ハンガン)、湖、自宅のバスタブ、ひいては寿司屋の水族館にまで入るシーンがある。

「子供も入らなければならないのに、大人だけだったんです。それで、子供を一人だけ撮ろうとしましたが、やれる子供がいないんです。子供は冬に水に浸かって一歩間違えると心臓麻痺や低体温症が来ますから。親がいくら欲があっても、出演ははばかるんです。当たり前のことですが」

それで、小学校2年の息子に「お前がパパの映画のためにちょっと犠牲になりな」と言って連れてきました。そこで思い違えたのが、僕は河川より噴水台の方が寒くないと思いました。でも、かえって水が流れる河川の方が寒くないそうです。当時はそれを知らない状態で息子に噴水台に入るように言いました。息子が噴水台に飛び込んだんですが、僕たちが思っていた方向じゃなかったので、もう一度頼みました。そうすると息子が『ちくしょう』と言いながらぶるぶる震えるんです。本当に申し訳ない気がしました」


写真=イ・ジョンミン

「クールなふりをして、撮影を駆り立てました」

幼い息子を真冬に噴水台に飛び込ませながら映画を撮る監督の心境はどうだっただろう。親だけが測り知れる辛さだったと思う。彼は「それだけでなく、収容所に200人くらい閉じ込めて撮る撮影でも、休む間もなくひどく駆り立てた」とやるせない思いを伝えた。

「この映画を撮りながら、『ああ、アイテムは多いのに、どうしてパニック映画なんか選んで人々にこんなことまでやらせてるんだろう』という思いがしました。でも、詫びたり弱まるとさらに辛くなりそうで、クールなふり、冷静なふりをして駆り立てました。ディテールも活かして広く展開もする、色んな面を盛り込みたかったんですが、そこまではできなかったです。狂ったように駆り立てました」

実際の撮影現場で映画のようなスピード感を持って駆り立てたから、こんなにもスピード感のある映画がリアルに撮れたのだろうか。

「リアルな感じのスピードで駆り立てました。シーンを並べて撮りまくったんです。実際のスピードのように、現場も緊迫感に満ちていました」

記者 : チョ・ギョンイ