色気溢れるイ・ジュンギに落とされる甘く切ない “ツンデレ”恋道!「夜を歩く士<ソンビ>」観賞コラムVol.1

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3人の美しい男たちが織り成すラブロマンス ― ソンヨル編

「なぜ(私を)見つめるのです?」
「美しくて……。その心が美しい」
目を輝かせて本売りの話をする男装少女ヤンソンを前に、孤高の“士(ソンビ)”キム・ソンヨルは、そう話す。「美しくて……」と、しばらく見つめられたあとの「心が」というオチ(柔らかな微笑み付き)。これは翻弄なのか? ツンデレの手法なのか?

夜の山中、転んで足を怪我したヤンソンの前に現れた彼は、怪我の手当てをしてやると、ひょいと彼女を抱き上げ、歩き出す(つまり、お姫様だっこ運び)。
「夜の山で怪我をしている者を見たら、お前でなくても助ける」

助けに現れたくせに冷たい。ツンか、やはりツンなのか?本意を知りたくてあれこれ聞いても、無表情でじっと見つめ、決して答えてくれることはない。口を開いたかと思えば、魔除けのネックレスをヤンソンの首にかけ、「これで2度目だ。もうなくすな」と、答えてない〜!!なツンの上書き。と、まぁ、あげればキリがないツンデレ疑惑エピソードだが、「疑惑」とつけるには理由がある。


ツンデレ“疑惑”!? 女心を翻弄する罪な貴公子・ソンヨルとは

まず、「夜を歩く士(ソンビ)」は、人の姿をしたヴァンパイアの物語だ。そう、ツンデレ(ツン多め)の香りを身に纏う男キム・ソンヨルの正体は、吸血鬼。しかも、心の奥には、愛する恋人の血により生きながらえた罪悪感と苦しみを隠し持つ。ツンなのに哀しい、一筋縄ではいかない吸血鬼。演じるのは、時代劇の雄イ・ジュンギとなれば、ますます気になるキム・ソンヨル。彼は一体、何者なのか?

①悪鬼クィから人間を守る “守護鬼”として選ばれた男。
(元は人を愛する心を持った人間で、望んで吸血鬼になったわけではない。そのため同じ人間の血を吸って生きる獣のような人生は、まるで生き地獄。つまり“苦悩萌え”)
②守りたいものは“人の心”。
(吸血鬼の本能を必死で抑え込む理性ゆえのクールさ。一方で、弱者を助け、幼子には優しい眼差しを向ける。結果、微笑まれた少女たちは100%恋に落ちる)
③愛する者の血にもっとも惹かれる。
(吸血鬼の本能により、恋情を抱く相手の血を求めてしまう。ゆえに、愛する者を害さぬよう、常に恋情を心から排除している。哀しいっ!)

と、非常にワケありな男なのだ。彼がヤンソンに「その心が美しくて」と口にしたときも、それはツンデレ特有の天の邪鬼言動ではなく、彼女の持つ「人の心」を純粋に愛おしんでのこと。しかし、彼女を愛おしく思ったら最後。その血を求め、正体を見せてしまいかねず、突き放すしかない。ツンな態度の裏側にある、計り知れない苦悩たるや! では、彼はどうするのか?

人ならぬ者の切ない恋を演じるイ・ジュンギの新たな魅力

「これは夢でしょうか。現実でしょうか?」
「これは夢だ。目が覚めたら、忘れる」
酔ってソンヨルを「夢」だと思い込むヤンソンに、不意打ちのキス。

夢にしてしまうのか。夢ならいいのか? その後も、キスのリアルさに夢だったのか否か気になって聞きたがるヤンソンをことごとくスルー。繰り返すが、彼の冷たさは、よくある「愛を知らない御曹司」のそれではない。むしろ、愛を知っているからこその「突き放し」。不器用系ではなくワケあり系。イ・ジュンギ十八番のキャラだが、これまでなら、わざと明るく振る舞ったり(イルジメ)、悪い男を装ったり(朝鮮ガンマン)、硬軟の差で魅せたところを、無感情・無表情な“吸血鬼”的冷気で魅せているところが新しく、ゾクゾクする。

そんな「ワケありのツン」に萌えるだけではない。物語が進んでいくにつれ、その「ワケ」が「じわり」と胸にくる展開がやってくる。シリーズ中盤でヤンソンがソンヨルの家に住み始めてからのエピソードにその「じわり」がある。弱ったヤンソンをソンヨルが負ぶってやるシーンだ。「重くないか?」と訊くヤンソンに、ソンヨルは一言。

「お前の心の重さに比べれば、軽いものだ」
前述の「心が美しくて」にも繋がり、グッとなる。人の心を尊び、愛する気持ち。その直向きでけなげなソンヨルの思いは、後半、“悪鬼”クィとの戦いが本格化するほど切になり、胸締め付けられるほど。

ソンヨルだけでない。国の上に立つ者として、同じように「心」を失うまいと葛藤する世孫ユン(チャンミン/東方神起)、ソンヨルとの戦いを通じ、孤独が浮き彫りになっていくクィ(イ・スヒョク)。彼らが、ソンヨルを通して変わっていく姿、そして取り囲む女性たちの思いも含め、様々な「ワケ」が明かされていく後半にも注目したい。

ライター:高橋尚子

■作品情報
「夜を歩く士<ソンビ>」
DVD-SET1/Blu-ray SET1 好評発売中
DVD-SET2/Blu-ray SET2 好評発売中
価格:各¥20,000+税(DVD) 各¥23,000+税(Blu-ray)
※レンタルDVDリリース
Vol.1-5 リリース中、9/2(金) Vol.6-11、10/4(火) Vol.12-18
発売元・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

■関連サイト
公式サイト:http://kandera.jp/sp/sonbi/

記者 : Kstyle編集部