カミソリの血を舐めるJYJ ジュンス、こんなにセクシーなバンパイアとは…「ドラキュラ」プレビュー公演レポート

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写真=ODミュージカルカンパニー

ジュンスの純愛演技が印象的な「ドラキュラ」

ミュージカルファンの期待を集めていた「ドラキュラ」がやっと蓋を開けた。JYJのジュンスは、PRが絶対的に必要だった中型公演企画会社を大型公演企画会社に成長させた張本人でもある。「ドラキュラ」を一言で要約すると、ジュンスの、ジュンスによる、ジュンスのための公演だといえる。

そのわけを今から見ていきたい。ジュンスが「ディセンバー」のように日常的な役柄ではなく尋常ではない存在を演じる時にさらにオーラを放つことは、「エリザベート」で死(トート)のような非常に自然な演技を通じてミュージカルファンに証明済みだ。周知の通り「ドラキュラ」の主人公は吸血鬼だ。

「エリザベート」でオーストリアの皇后を死へと誘惑していたジュンスをトランシルヴァニアの吸血鬼とつなげることは難しくなさそうだ。第1幕の序盤でカミソリについた血を舐めるジュンスは、彼が自然な存在を演じる時に、より強いオーラを放つことを見せていた。


愛する人の幸せを奪いたくないドラキュラ

ドラキュラが愛する昔の恋人を忘れられず、彼女と瓜二つのミナに出会ってもう一度恋の約束をするというミュージカルの設定は、ドラマ「星から来たあなた」でト・ミンジュンが以前愛していた女性と同じ顔のチョン・ソンイに出会って恋に落ちるという設定と似ている。ミナが恋人のエリザベスと瓜二つの顔でなかったなら、ドラキュラが獲物の人間と恋に落ちることはなかったはずだ。

実は、ミュージカル「ドラキュラ」は、映画のファンなら、もとい文学に興味のある人なら誰もが知っているストーリーだ。ミュージカルは新しい解釈を試みていない。フランシス・フォード・コッポラが監督・制作を手がけた同名映画では、神に忠誠を誓ったドラキュラが反旗を翻すしかない事情を序盤に並べていたとすれば、ミュージカルはこのようなドラキュラの事情を第1幕の中盤にミナに説明する。このような展開はドラキュラのストーリーを知らない一般の観客に、彼がどんな痛みを持つ人物なのか序盤から説明するよりは理解しやすくする。

ミナにはすでに婚約者がいた。ドラキュラが400年前に切ない恋をしたロマンチストだったとはいえ、ミナが今愛している人を一瞬に裏切り、ドラキュラを愛することもできない。そのためミナは婚約者とドラキュラの間でどうすることもできない状態になってしまう。

ジュンスが演じるドラキュラは、どんな吸血鬼なのだろうか。愛する女性に自身の愛を強制するよりは、自身の愛に説得されることを待っているほうと言えるだろう。ジュンスのドラキュラは待ち続ける。第1幕で愛する人が自身に近づいてくるまで焦らず責めることもない。ミナの心が十分に開くまで待ってあげる。

しかし、待っているばかりの純愛だけを見せることはない。第2幕では、積極的に求愛してとうとうミナの気持ちを惹きつける。ミナを演じるチョ・ジョンウンがジュンスの黒い上着を脱がせるシーンは、心の門を開くことに成功したドラキュラの愛の結実を見せる。

このミュージカルのキラーコンテンツは、耳から離れないナンバー「Loving You Keeps Me Alive」だ。歌詞の一部を見てみよう。「君を始めて見た瞬間、息することさえできなかった。僕たちの縁は時間を超えて一緒になる運命。もう一度僕のもとに戻って踊ろう。朝に向かって」このナンバーを聴いていた観客の一部は涙を流した。

ドラキュラが女心をくすぐる決定的な要因は、愛する女性が自身の世界に足を踏み入れることを拒否することだ。もし、ドラキュラがミナを吸血鬼にしてしまえば永遠に一緒に暮らすことができるが、愛する女性は神の呪いを受ける幽霊になってしまう。

人間の血を吸う幽霊だからといって、非難されるばかりの対象ではない。愛が一番大事だとはいえ、愛するという理由で彼女の幸せを奪いたくないジュンスの演技が観客の心を動かす。自身の愛を求めるために愛する人の幸せを一定部分担保にするのが人間の本性だが、彼女の本当の幸せが何かを察してあげるドラキュラを通じて、観客は代理満足をすることができる。

プレビュー公演のため、まだ補完すべきところはある。ドラキュラとミナのクライマックスシーンは、前列の観客でないと視野を確保しにくい。ジュンスの海外ファンが少なくないだけに、「カフェ・イン」の時のように日本人観客のための字幕の準備が必要なように思える。観客の割れんばかりの拍手に応えるかのように、ジュンスは独特なカーテンコールの始まりと終わりを見せた。それは公演会場で直接ご覧あれ。

記者 : パク・ジョンファン