広澤草「日本から韓国へ渡り、留学生活を始めた理由は…」

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日本の女優である広澤草(ひろさわ そう)は、「愛のむきだし」(監督:園子温)、「ソフトボーイ」(監督:豊島圭介)、そして韓国で撮影された「猫少女」(監督:チェ・ギョンジン)などの映画に出演し、韓国でのファンも少なくない。

最近、韓国と日本を行き来しながら様々な作品活動をしている彼女と、メールや電話を通して書面インタビューを行なった。

「殺人の追憶」で韓国映画に興味…ソン・ガンホさんが好き

―最近はどのように過ごしていますか?

広澤草:2月にソウルで撮影した短編映画が日本の沖縄国際映画祭に出品され、沖縄に行って舞台挨拶をして、観客との対話に参加するなどの活動をしています。現在沖縄では良い映画、映画関係者と一緒に楽しい時間を過ごしています。また、人との繋がりがテーマのオムニバス映画の中の一本で主演を務め、現在撮影を行なっています。

また、金井純一監督の「さよならケーキとふしぎなランプ」という映画が5月に公開される予定です。この映画は昨年、第18回釜山国際映画祭(BIFF)でも紹介されました。平田薫、梅垣義明さんが主演を務め、私は助演で出演しました。

―韓国語がとても上手ですが、特別に勉強されたのですか?

広澤草:韓国では8ヶ月ほど大学の語学堂に通いながら韓国語を学び、日本に戻ってからも毎日韓国の友人とメールや電話をしたり、韓国映画を見たり音楽を聞いたりしながら韓国語の実力を身につけました。

―韓国には友人が多いですか?

広澤草:はい、映画関係者の友人や語学堂で知り合った友人、そして韓国で活動している日本人の友人などがいます。

―韓国と韓国映画に興味を持つようになったきっかけは何ですか?

広澤草:初めて見た韓国映画がカン・ジェギュ監督の「シュリ」でしたが、その時はただ“すごい映画だな”“韓国映画って本当に素晴らしいな”と思う程度でした。その後、たくさんの韓国映画を見るようになり、2004年にポン・ジュノ監督の「殺人の追憶」を見た時、韓国映画がどのように制作されているのか、俳優たちはどのように勉強や経験をして演技をしているのか知りたくなりました。また、イ・チャンドン監督の「オアシス」を見てからは、韓国映画に出演したいと思うようになりました。

―「シュリ」が韓国映画に対する好感を与え、「殺人の追憶」で韓国映画に対する興味が深まり、「オアシス」で韓国で活動したいとまで思うようになったということですね?

広澤草:はい、そうなりますね。これらの映画をどう思われますか?

―私も好きな映画で、韓国映画の歴史において意味のある作品です。だからソン・ガンホさんと共演してみたいと思われたのですね?

広澤草:はい。ソン・ガンホさんが本当に大好きです。いつかは必ず共演してみたいです!


韓国で活動したくて留学生活を開始…良い経験になった

―昨年韓国で撮影された映画について教えてください。

広澤草:初めて撮影した作品が「猫少女」という映画でした。私の役は国籍や年齢などが明確ではありませんでした。私は韓国語も下手でしたし。それでも、ご縁があって私が主演を務めることになりました。監督やスタッフ全員が外国人の私を選んでくださって、撮影現場ではとても親切にしてくださり感謝しています。改めて感謝の言葉を伝えたいです。韓国の俳優の皆さんと一緒に演じられたことはとても楽しく幸せな経験でした。

そして最近、「ラン・ソウル・ラン」(監督:小鹿敬司)という映画を撮影しました。お笑い芸人のキム・デヒさんと、日本の俳優と一緒に撮影した短編映画です。監督も韓国で勉強した経験のある日本人で、スタッフの中には日本で活動していた韓国人もいました。ソウルで撮影しましたが、一風変わった感じで撮影現場も楽しくて良かったです。韓国語の出来ない日本人の男性と、日本語の出来ない韓国人の男性との間に生じる誤解と葛藤を描いたストーリーで、私はそのきっかけを引き起こす女性の役を演じました。

―面白そうな映画ですね。

広澤草:はい、本当に面白い映画です。完成後は沖縄国際映画祭に招待されましたが、現地での観客の評価はいずれも良かったです。日本での評判が良いので、韓国でも上映する機会があればと思います。

―韓国の監督と韓国のスタッフと撮影した前者と、両国の俳優とスタッフが共同で作業している後者の現場での経験はどうでしたか?広澤さんが感じた違いと、個人的な考えを伺いたいです。

広澤草:韓国の方々と一緒に仕事をした現場は、やはり新鮮で活気に満ちていました。皆さん本当に親切で、映画に対する情熱も溢れました。そして共同で作業をした今回の映画も一味違った新しい経験になりました。作品に対する考え方や撮影方法に違いがある人たちが同じ現場で1つの映画を力を合わせて作る過程に参加でき、面白くて意義のある経験でした。

また、映画を愛する気持ちは韓国人も日本人も同じでした。若干観点の違いや叙情の違いはありますが、現場で直接経験し、韓国と日本の文化の多様性を比較できる機会を持てたことも良かったです。韓国での撮影で日本と違って良かったことは、撮影する前に監督と出演者たちが話し合う時間が多かったことと、撮影の間はいつでも温かいご飯を頂くことができたことでした。日本はお弁当文化なので、撮影中はほとんどお弁当です。だからタイミングが合わなければ少し冷めてしまいます。

とにかく、私が韓国で留学生活を始めた理由が韓国で映画の仕事がしたいという気持ちからだったので、そのような経験を留学生活の間にすることが出来て良かったです。そして、日本に戻ってからも再び韓国の方々とお仕事することが出来て有り難かったですし、幸せでした。このように少しずつでも韓国で地道に活動できればと思います。

―好きな韓国映画と監督、俳優は誰ですか?

広澤草:好きな映画も監督も、俳優もたくさんいます。ポン・ジュノ、パク・チャヌク、イ・チャンドン、キム・ギドク監督の作品は全部見ました。特に「殺人の追憶」「オールド・ボーイ」「オアシス」「弓」などの映画が好きです。そのほか、「追撃者」「トンマッコルへようこそ」「おばあちゃんの家」などの映画も好きです。

好きな俳優はやはりソン・ガンホさんです。私に韓国映画に対する良い印象を与えてくださり、最も大きな影響を受けた俳優です。ですからソン・ガンホさんが出演する映画は全部見ました。そして、ソル・ギョング、チョン・ジェヨンさんも本当に好きです。また、韓国で暮らしていた時に見た映画のほとんどにオ・ダルスさんが出演していました。だから色んな役を演じる面白い俳優としてオ・ダルスさんが記憶に残っています。女優ではムン・ソリさんが好きです。「オアシス」で初めて見た時の衝撃は物凄かったです。その時の影響もあり、ムン・ソリさんのような女優は日本にはいない凄い女優だと思います」


人情深い韓国の人たち、映画で会う機会がありますように

―韓国の人々についてはどう思われますか?

広澤草:私が今まで出会った韓国の方たちは、皆さん親切で人情深かったです。そして、よく食べて、何よりもお酒に強い人が多いと思います。

―韓国料理の中で好きなものは?

広澤草:韓国料理はほとんど好きですが、特に参鶏湯(サムゲタン)やタクポックンタン(鶏と野菜の辛いお鍋)などの鶏料理が好きです。以前記者の方と一緒に食べたパダック(ネギチキン)が忘れられません。あと、キムチチゲと海苔巻きも本当に好きです。

―韓国にまた来る計画はありますか?

広澤草:今決まっていることはありませんが、2、3ヶ月に一度は行き来する予定です。良い作品と出会い、また韓国に行くことができたらもっと良いなと思います。

―韓国にも広澤さんのファンは多いですが、ファンの方たちに一言お願いします。

広澤草:未だにファンが多いということが信じられません。ですが、いつかは韓国で開催される映画祭に出たり、作品上映のために行くなど、機会があれば韓国の観客の皆さんにお会いしたいと思います。その時まで頑張りますので、これからも応援していただけたらとても嬉しいです。ありがとうございます。

記者 : パク・ホンジュン