「九家の書」ユ・ヨンソク“拷問シーンを演じるとき、本当に気を失ってしまった”

OSEN |

時には物凄く冷たいが、時には限りなく優しい男。25日に韓国で最終回を迎えたMBC月火ドラマ「九家の書」でパク・テソを演じた俳優ユ・ヨンソクの目つきは、実に変化に富んだものだった。父パク・ムソル(オム・ヒョソプ)を死に追いやったチョ・グァヌン(イ・ソンジェ)に対立するときはカリスマ性があるが、たった一人しかいない友であり、半人半獣のチェ・ガンチ(イ・スンギ)に対してはこの上なく優しかった。ユ・ヨンソクは笑顔を見せるか見せないかのような単純な表情一つにしても正反対の感情を伝えることができる俳優だ。

厳しいドラマ撮影を終えたばかりのユ・ヨンソクはまだ疲れている状態だった。撮影が終わった後、伸びた髪を切り、久しぶりに韓服(民族衣装)ではない衣装を着たが、未だ韓服ではない現代の衣装に慣れないという。

「時代劇に対する漠然とした不安があったのですが、思った以上にいい思い出ばかりが残っています。撮影も楽しかったですし、視聴者の方々に知っていただける機会ができて個人的に気持ちいいです。撮影は大変でしたが、終わってみると寂しくて名残惜しいです」

ユ・ヨンソクは、映画「建築学概論」や「私のオオカミ少年」などの映画で活躍し、「九家の書」でも安定した演技力でドラマへの集中力を高めた。初の時代劇出演だったが、全く違和感のない演技はドラマを見るもう一つの楽しみとなった。

「時代劇だとして特にきついことはありませんでした。素敵な韓服を着ることも、そして重みのある物語を演じることも楽しかったです。演技をするとき、ジーンとくるものがありました。次も時代劇に出演したいです。どうせなら身分の高い王様を演じてみたいです。悲運の思悼世子(サドセジャ)のようなキャラクターもいいですし(笑)」

「九家の書」はファンタジー・武侠(武術・任侠をテーマにした作品)時代劇という変わったジャンルにもかかわらず俳優の好演、安定した台本、美しい演出などに支えられ、視聴率1位で高い関心を集めた。

「本当に物語から力が感じられ、密度がありました。カン・ウンギョン脚本家は、パク・テソが妹のパク・チョンジョ(イ・ユビ)を守るために裏切る場面で、感情移入がしやすいよう緻密に作ってくれました。指示がとても細かく書かれているんです。カン・ウンギョン脚本家は、僕が演技をするとき逃すところのないように感情を繊細に書いてくれました。そんな完璧な台本をシン・ウチョル監督が繊細で美しく演出してくださいました。どうして監督がこれまで人気の高いドラマを作れたのかが今回のドラマを通してはっきりと分かりました」

パク・テソは、序盤にチョ・グァヌンの暗示で自分を信じて従うチェ・ガンチを殺そうとしたり、妹のパク・チョンジョを救うため裏切ったりするなど、心の葛藤が多い人物だ。しかし、結局はチェ・ガンチへの信頼から、命懸けで彼を助ける心強い姿で視聴者から支持を受けた。

「テソがガンチを裏切るのも、妹を守るためのものでした。一見悪く見える行動ですが、理由がちゃんとありました。裏切ったあと、罪悪感を持つことや声をこらして泣くシーンは、テソの行動にとって正当な理由になりました。テソには切実なものがありました。家族愛の大きい人物です。家族を守ろうとする切実さが怒りとなり、怒りが裏切りに繋がりました。それで演技をしながら泣くべきシーンでもないのに不思議と涙がたくさん出てしまいました」

ユ・ヨンソクは今回のドラマで感情が爆発する演技で優れた能力を見せた。特に、チョ・グァヌンの計略で命が危ぶまれるほど拷問を受ける演技は見る人に切ない気持ちを与え、涙を流さずにはいられなかった。

「そのシーンを演じながらあまりにも大声を出して怒り爆発し、本当に気を失ってしまいました。体中の全てのエネルギーを使ってしまった感じでした。グァヌンを睨み、感情を爆発させるシーンでは体力的にもかなり厳しかったです。そのシーンを演じる前から重要なシーンだと思っていたので、物凄く気を遣いました。僕の演技は完璧ではありませんでしたが、ベストを尽くせたので惜しいところはありません」

ユ・ヨンソクは今回のドラマで歌手兼俳優のイ・スンギと息を合わせた。あまり年の離れていない二人は、ドラマを通じて一気に仲良くなった。

「イ・スンギさんは若いけれど、色々な経験をしてきていますよね。主人公としてドラマを引っ張っていこうとする責任感の強い人です。話がよく合うし、特に気が合ったと思います。撮影現場ではイ・スンギさんだけではなく、miss Aのスジさん、ソンジュンさんにも仲良くしてもらいました。特に、このドラマの撮影現場の雰囲気はとても良かったです」

ユ・ヨンソクは少しだけ休息をとった後、tvN「応答せよ1994」に出演し、来月から撮影に入る。24話のドラマを終えたばかりだが、休まず走ることに決めた。

「これまでずっと演技をしてきたので、今も休むよりは働いている方がいいです。新しい目標ができ、目標に向かって集中する過程が面白いです。リフレッシュする時間も目標に向かって走ることを思うと楽しいです。イ・スンジェ先輩とシン・グ先輩、パク・グンヒョン先輩、ペク・イルソプ先輩が『花よりおじいさん』に出演されますよね。僕はその方々が目標です。年をとっても情熱的に演技される先輩方を見ながら色々と学んでいます」

ユ・ヨンソクは最近MBCバラエティ番組「僕らの日曜の夜-リアル入隊プロジェクト本物の男」(以下「本物の男」)を楽しんで見ている。空軍で服務した彼は、軍隊を体験するバラエティ番組「本物の男」への関心が高い。

「『本物の男』に出演したいです。空軍に行けば上手くやれると思います(笑) 最近本当に面白いです。出演者の方々の軍隊生活を見ながら強く共感しています。絶対に出演したいです(笑)」

記者 : ピョ・ジェミン