南米のK-POPブーム…「2倍以上拡大する」

OSEN |

写真=C-JeSエンターテインメント提供
韓国からもっとも遠い国、チリのサンティアゴ、アルトゥーロ・メリノ・ベニテス国際空港を抜け、都心に向かう道路には、KIA、HYUNDAI、LG、SAMSUNG等、韓国企業の広告パネルがずらりと並ぶ。道路を通る自動車の3~4台に1台は韓国製。すでに韓国のブランドパワーが浸透しているこの場所で、今K-POPが重要な時期を迎えている。

チリで出会ったK-POPファン、公演プロモーター、メディア関係者は口を揃えて「今年は南米にK-POPを拡大させる絶好のチャンス」だと話す。

今年は2倍以上拡大する

チリで出会ったファンによると、現在チリのK-POPファンは高校のクラス30人のうち2~3人位だという。まだマニア層にとどまっているが、この熱狂的なファンのおかげで、一般の人々もK-POPを聴き始めている。

最近、JYJのチリ公演を取材したCNNチリの現地記者団は、「ファン層だけにとどまっていたK-POPにようやく一般の人々も関心を持ち始め、K-POP拡大には今が非常にいい時期」だという見解を述べた。

公演専門家は、現在2~3万人規模のK-POP市場が、年内には2倍以上拡大すると予想した。JYJ公演のプロモーターであるNoixのCEOゴンザロ・ガルシア(Gonzalo Garcia)さんは、「韓国の歌手は、1年以内に人気が2倍以上高くなるはず。人々は確実にK-POPに関心を持ち始めている」と述べた。

K-POP、叩き上げのストーリーに“刺激”

一部では一時的なK-POPブームではないかという意見もあるが、意外とチリでの韓流は歴史が長い。3月9日、JYJの公演を訪れたほとんどのファンは、5~6年前からJYJを応援していたという。K-POPブームが起きるずっと前の事である。

韓国の名前をハン・ボアとつけた、クリスティーナ・ジョルケラ(Cristina Jorquera, 25)さんは、日本の漫画を見て韓国の歌手を知るようになったという。公演会場で会った彼女は、その後OSENとのメールインタビューで、「日本の漫画が好きで日本のエンターテインメントに興味を持つようになり、日本で活動しているBoAと東方神起が好きになった。彼らが韓国人歌手であることを知って、その後は韓国に興味を持つようになった」と説明する。それだけではなく、ほとんどのファンがJYJの公演を5年以上待っていたと答える。一時的なブームではないということだ。

特にK-POP歌手は、チリ青少年の価値観にも影響を及ぼしており、今後さらに影響力が拡大すると見られる。K-POP歌手の“叩き上げ”のストーリーが、K-POP歌手に対する好感度に大きく貢献しているのである。ファンのニコール・エスコバール(Nicole escobar, 27)さんは、「南米は格差問題が深刻で、若者が成功を夢見る場合が少ないが、韓国の歌手が厳しい練習生時代を過ごし、勝ち残って歌手として成功する様子を見て、『自分にもできる』と希望を与えられた。多くのファンがそのような逆境克服のストーリーに好感を抱いている」という。

K-POP情報は手に入れにくい

彼らは、他のK-POPファンと協力し情報を手に入れ、活発に交流している。ニコールさんは、「海外のファンクラブは運命共同体だ。私の友人はAFTERSCHOOLのファンだが、その人がいるファンクラブには、韓国語や英語を流暢に話す人がいない。なので、SUPER JUNIORのファンの中で英語が出来る人に翻訳を頼んたり、複数のファンクラブが集まって情報交換をしたりして親睦を深めている。また、ファンの数が少ないとここまで来てくれないと思うので、ファン同士で団結するのがとても大事」だと話す。

それにもかかわらず、まだ足りない点は多い。ファンはK-POPがチリでさらに人気を得るためには、情報の共有がより活発に行われる必要があると指摘する。クリスティーナさんは、「私たちが望んでいる“ワールドワイド”の意味は、海外の作曲家の歌や流行する音楽ではなく、韓国的な音楽で、それにアクセスできる経路が欲しいという事。今はスペイン語のオフィシャルサイトすらない」とぼやいた。

ニコールさんも、「K-POPは、韓国語と英語の情報ばかりで残念だ。韓国語を学びたくて、チリのハングル学校に行ったが、授業が土曜日だけなので登録も出来なかった」と話す。

正規のCD発売やツアーを期待

ライセンスアルバムが発売されていないこともネックになっている。チリの記者団は、「正規のCDが輸入されておらず、ファンはネットで購入している。元々25ドル、30ドルなのだが、ネット詐欺によって300ドルから400ドルを支払っている。正規のCDが流通されれば、もっと速く拡大するし、今より有名になるはずだ」と意見を述べた。

勿論、一番大事なのは、K-POP歌手の“スキンシップ”の意志である。幸い、SUPER JUNIOR、BEAST等、多くの人気グループが南米公演を準備中だと言われている。チリの記者団は、「JYJ以外にもBIGBANG、SUPER JUNIOR、SHINee、2NE1らが人気がある。最近、韓国に対して興味を持つ人が増えた。韓国の芸能人はもちろん、韓国語や韓国の食べ物など、韓国のファンになった」と伝えている。

ゴンザロさんは、「チリのメディアとJYJとの記者会見には、多くの主要メディアが参加した。報道数も多く、これから韓国がより迅速に知られていくと思う。JYJが公演を開いた事に対しファンは非常に感謝しているが、これからもこのようなミーティングや公演を開くことが重要」と話した。

記者 : イ・ヘリン