チェ・ミンシク、映画「破墓」の意味を語る“自然と人間に関する温かさを描いた作品”

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写真=SHOWBOX
連続殺人犯、王様、将軍など、これまで強烈な役を演じてきた俳優のチェ・ミンシクが、今回は風水師というユニークな職業で観客と会った。生涯初のオカルト映画に出演した彼が披露する“風水師”は、どのような姿だろうか。

最近、マイデイリーはソウル鍾路(チョンロ)区三清洞(サムチョンドン)のあるカフェでチェ・ミンシクに会い、映画「破墓」について話を交わした。同作は、巨額のお金をもらって怪しい墓を改葬した風水師と葬儀屋、シャーマンたちに起きる奇妙な事件を描いたオカルトミステリーだ。

今作は「娑婆訶(サバハ)」「プリースト 悪魔を葬る者」で、韓国のオカルトジャンルの一線を引いたチャン・ジェヒョン監督が演出を務め、俳優のユ・ヘジン、キム・ゴウン、イ・ドヒョンとチェ・ミンシクが出演を決め、公開前から話題を集めた。特に、チケットの事前予約が2022年以後に公開された韓国映画のうち、「犯罪都市3」の次に高い数値を記録した。

この日、チェ・ミンシクは今作に対する高い関心について「この人気が続かなければならないですが、喜ぶできことだと思います」と笑い出した。彼は「僕も『不思議の国の数学者』以降、舞台挨拶をすることができてとても嬉しいです。映画館で観客たちに会うのが楽しみです。今、映画館の状況が良くないので、この映画が商業的な側面で人気を博し、後で公開される映画もそのパワーをもらってほしいです」と話した。

幽霊、シャーマン、風水などの題材を扱っているため、ややもすれば好き嫌いが分かれる可能性もある作品だ。チ・ミンシクはこれを認めながらも、チャン・ジェヒョン監督を深く信頼する姿を見せた。彼は「僕もこのようなオカルト的な要素が映画で扱われた時、観客がどのように反応するのか疑問に思いました。『大丈夫かな?』とも思いましたし。しかし、チャン監督はそのような反応に消極的になって悩むより、路線をしっかりと決めた後、表現したいものを見せて、様々な試みをします。そのような積極的なマインドがとても良かったです」と打ち明けた。

また「先だって記者懇談会でもお話ししたように、僕は助監督の気持ちで今作に臨みました。このような形而上学的な題材やテーマは、下手をすれば観念的で幼稚になりがちですが、チャン監督は前作の『プリースト 悪魔を葬る者』と『娑婆訶(サバハ)』も本当に繊細に描きました。そのため僕も、このようなジャンルはあまり好きではないのですが、とても楽しく観ました。隣で見ていると、チャン監督には本当に執拗な一面がありました。土の色一つひとつにこだわり、全国をまわりながら墓を撮りました」とつけ加えた。続いて「はっきりとしている考え方も好きでした。俳優たちは少し大変だったけれど……」と話して笑った。

ユ・ヘジン、キム・ゴウン、イ・ドヒョンとのケミ(ケミストリー、相手との相性)はどうだったのだろうか。チェ・ミンシクは、「実はイ・ドヒョンとも(年齢差が)あまりないんです。精神年齢は同世代です」と冗談を言いながら、彼らを称賛した。 

彼は「ドヒョンは最初はちょっとぎこちない感じがしました。ゴウンは映画『ウンギョ』の時から見てきましたし、ヘジンは言うまでもありません。映画『鳳梧洞戦闘』の時から命がけで戦ってきましたから(笑)。本当にすごいと思うのが、僕も心の準備をしていましたが、俳優たちがとても図々しく近づいてきたことです。『あ、この映画は成功するだろうな』と思いました。変な雰囲気を出して牽制する俳優もいますが、そのような俳優たちは武装解除させるのも疲れます。しかし、今回の共演者たちはプロです。特にドヒョンにはとても感心しました。太鼓を叩く姿をご覧になったでしょう。本当にパンクするのでないかと思いました。そのリズムに心臓がドキドキして興奮しました」とし、4人のチームワークについて説明した。

劇中、女優のパク・ジョンジャが依頼人の叔母役として出演する。チェ・ミンシクは「パク・ジョンジャさんが快く出演を決めてくださって、共演することができました。釜山(プサン)の機張(キジャン)で撮影した時、久しぶりに食事もしました。本当に嬉しかったです。今作のチームの雰囲気が和気あいあいとしていてとても良かったです」と当時を回想した。

最後にチェ・ミンシクは“民俗信仰”というテーマについて、自身の深い見解を述べた。彼は「シャーマニズムというものが、タブー視される雰囲気があります。ですが、宗教に何の罪があるのでしょうか。別の目的で用いられるのが問題であり、シャーマニズムというものは、例えば孫が軍隊に行けば、お婆さんが井華水(早朝に汲んだ井戸の水)を汲んで祈りを捧げる、そのお婆さんの心ではないでしょうか?」と明かした。

続けて「映画を観ると、『狐が虎の腰を切った』というセリフが出てきます。信じようが信じまいが、今作では韓半島の機運を断ち切っていたものを引き抜き、その傷を癒す、 今作が持っている情緒はそういったものです。土地を大切に思うような、そんなものです。このようにチャン・ジェヒョン監督は、一見オカルトのような要素を持っているようですが、内在している彼の温かい価値観がとても気に入りました」と告白した。

さらに、今作の真の意味について「この映画はホラー映画や幽霊映画というより、自然と人間に関する温かさを描いた映画です。悪いものを追い払おうとする、そのような心です」と述べた。 

記者 : イ・イェジュ