映画「秘密」キム・ジョンヒョン“過去の問題よりも演技を見てもらえるよう努力する”

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写真=Story J Company
俳優キム・ジョンヒョンが、映画「秘密」に出演した感想を語った。短くはないブランクを経て、ドラマ「コクドゥの季節」で始まり、映画「秘密」で2023年を終えた彼は「もっと一生懸命に、うまくやりたい」と意気込んだ。

最近、ソウル鍾路(チョンノ)区三清洞(サムチョンドン)では、映画「秘密」の主演俳優キム・ジョンヒョンのインタビューが行われた。

同作は、残酷に殺害された死体から10年前に自殺したヨンフンの日記が発見され、その裏を捜査していた捜査1課の刑事ドングン(キム・ジョンヒョン)が、忘れていた自身の過去と向き合うストーリーを描く追跡スリラーだ。

彼は「主演映画はデビュー作以来です。撮影してから2年くらいになりました。やっと公開されたのでわくわくしています」と語った。「秘密」は公開が1ヶ月ほど延期となり、昨年12月に公開された。彼は「焦ったりはしませんでした。多くの方に観て頂ければありがたいですが、上映館の問題もありますし、そのようなこともあるだろうと思いました」と率直な考えを伝えた。

久しぶりに主演を務めた映画であるだけに、「負担はなかったか」と聞くと「すべての作業がそうだと思いますが、一緒にやってくださる方々がいらっしゃいます。監督は2015年から『秘密』の制作をされました。充実した話ができて、色々な方法で意見を出すこともサポートしてくださいました。プレッシャーを感じるよりは、家族のように楽しく撮影しました」と和気藹々とした現場の雰囲気を伝えた。

彼が「秘密」の出演を決心した理由は、作中に登場する「これもまた過ぎ去るだろう」という言葉のためだった。彼は「もともとその言葉が好きでした。以前、ファンの方々にも手帳に好きな文章を書いてプレゼントするイベントもやりました。それを見て最初に『あえてこの言葉が出てきた理由は何だろう』と思って注意深く見て、集中して読みました。映画に出演したい気持ちもありましたし、運命を感じて出演しました」と語った。

捜査1課の刑事のドングン役を演じた彼は、役作りのため体重を約10kgも増やした。最初は70kg後半から70kg中盤まで体重を減らしたという彼は、「監督がエース刑事なので、敏感な部分が見えるべきだとおっしゃいました。ヒントを与えるために体重を減らしてそのような部分をアピールしたかったのですが、刑事役の方々が皆とても痩せていたんです。差別化ができないと思って、監督に『有用な設定ではないと思う』と申し上げました」と語った。その結果、再び10kg増やし、80kg台後半で撮影に臨んだという。

この他にもひげや歩き方など、細かい部分でイ・ドングンだけの差別化されたポイントを生かすために努力した。彼は「体を大きくしたので、服も大きくなりました。監督に、刑事チームとは違う感じにしたいと話しました。刑事チームは皆すっきりとした感じなので、逆に顔を暗くしてそばかすもたくさん入れて、そんな感じで行こうと決めたのですが、初日に扮装をして行ったら監督が『ちょっとやりすぎだ』とおっしゃっていました。その後からは修正して扮装の度合いも薄くなりました」とエピソードを語った。

「秘密」は最近、社会問題になった校内暴力、軍隊での暴力、物質万能主義、利己心などを題材にし、重いメッセージを投げかける作品だ。それだけに彼は「監督と序盤はライトにしたいと話しました。深刻な話をするんだという姿勢があまりにも見えて、息苦しくなる気がしたんです。そのような部分を監督とたくさん相談し、後半に行けば行くほどドングンがプレッシャーを受けるのですが、沈没しないよう監督がたくさんサポートしてくださいました」と伝えた。

自分の演技が見られないという彼は「欲が多いからです。『あの状況でもう少し良い選択があったはずなのに』という部分があっても、変えることはできないじゃないですか。自分がどのようにやったのか分かっているけれど、取り返しがつかないのでいつも残念な気持ちになるんです。もっと良い選択があったはずなのに恥ずかしいし、それが目立ったらどうしようと思って、ドラマに出演している時もモニタリングはあまりしません。気になっていら部分だけをクリップでチェックする方です。久しぶりに大きな画面で僕を見たら、飛び出しそうになりました。そのため一番後ろの席に座りました。心理的に大変なのではなくて、見ることができなかったんです。周りに誰かがいるともっと恥ずかしいですから」とし、「欲を捨てなければならないけれど、捨てるにはまだ自分でも納得できないことがあります。この仕事をすることに感謝する気持ちもありますし、そうするうちにもっと上手くなりたいという気持ちが刺激になるのだと思います」と打ち明けた。

特に彼は劇中、自身の子役を演じたSF9のダウォンを見て「自分の姿がみすぼらしく思えました」と打ち明けた。彼は「演技を楽しむより、自分の演技を評価しながら鞭打つ姿が恥ずかしかったです」と言い、目を引いた。自身も新人の時に情熱があり、現場がとても面白く、楽しかったと話した彼は、今も演技は楽しいが、演技そのものを楽しむダウォンが羨ましかったという。彼は「映画を観る時『なぜあんなふうに演じたのだろうか』という考えだけだった僕が恥ずかしくて、反省しました」と話した。

彼は「責任感のためか」という質問に「分かりません」とし「それを重要に考えないでほしいです。僕が責任を負うからといって、責任を負うことができる部分は少ししかありません。もちろん、責任感を捨てるべきだという意味ではありません。撮影は色々と協力してもらって一緒に行う作業です。情熱は持つべきだけど、個人にできることは少ないんです。現場にはサポートしようとする方々だけがいるはずなので、たくさん頼りにして話し合いたいと思いました」と伝えた。

デビューした頃、彼は様々なインタビューを通じて「信じて見ることができる俳優」になりたいという願いを語った。彼は「変わっていません。むしろそのために欲が捨てられないのだと思います」とし、「ある瞬間、周りから『信じて見られる俳優だ』と言われる日が来るかもしれないですが、自ら『僕はそのような俳優になったようだ』と判断する瞬間は恐ろしいだろうと思います。それを警戒しようとしています。もちろん心の中で『僕の演技と地名度ならお金が惜しくないだろう』と思うかもしれないけれど、僕はそのような瞬間が来てほしくないです。僕の演技はまだ足りない部分が多くて見るのが大変ですし、その言葉に責任を負いたい気持ちがまだあると思います。自分に鞭打って『もう少しできる』と思う部分についてたくさん考えます」と説明した。

インタビューの最後に彼は「正直に言って、心配になったこともありました」と語り始めた。彼が取材陣が集まった中でインタビューをするのは韓国で2020年に放送終了した「愛の不時着」以来だという。「人と長く会話するのも久しぶりです」と話した彼は「心配もしたけれど、久しぶりにお会いできるのでわくわくの方が大きかったです」と打ち明けた。

彼の過去の問題が取り上げられることもあるが、これについて彼は「仕方のないこと」と話した。彼は「それは大衆の方々が自ら僕をご覧になって、判断される部分です。ただ、僕が努力できるのは、僕からそういった問題を思い浮かべるより、演技を見てくださる瞬間ができるように努力することです。僕が悲しいからといって変わるものではないので、精進します」と目頭を熱くした。

最後に2023年を振り返り、「もっとうまくやりたいです。まだまだ先は長いですし、やるべきこともたくさんあります。『来年から』というよりは今もそのような気持ちで生きています。一生懸命に運動するのも、いつか役にたつかもしれないと思うからです。2024年もこの気持ちの延長として、もっと頑張りたいです」と強調した。

記者 : キム・ナヨン