「今日もあなたに太陽を」パク・ボヨン“偏見をなくすきっかけになった”

OSEN |

写真=Netflix
事件や事故が絶えない芸能界で20年近く活動しながらも、何の雑音もない女優がいる。些細な日常も日記に記録し、自己肯定感を高め、家族と過ごす時間を確保して仕事と生活のバランスを取る。Netflix新シリーズ「今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~」で精神疾患をもつ患者はもちろん、日常の中で憂鬱な気分を感じる人々まで慰めた女優パク・ボヨンに会った。

彼女は最近、ソウル市鍾路(チョンノ)区三清洞(サムチョンドン)にあるカフェで取材陣とインタビューを行った。彼女はこの場で「今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~」について語った。

このドラマは同名のウェブ漫画をドラマ化した作品で、精神科で働き始めた心優しい看護師のダウンが、精神病棟の中で出会う世界と心が寂しい人々の様々な話を描くNetflixシリーズだ。パク・ボヨンは内科3年目で精神病棟に異動となったミョンシン大学病院の看護師チョン・ダウン役を演じる。作品が好評を博していることに対し、彼女は「心配もしたけれど、それでも良い作品ができて嬉しいですし、幸せです」と笑った。

彼女は「ダウンを演じる時、一番考えたのは『主人公は患者さんたち』ということでした。エピソード形式なので患者の方々が一番よく見えなければならないと最初から思っていました。私たちは現場で最初から同じスタッフと撮影しているので気が楽な状態ですが、患者の方々にとっては慣れない環境かもしれないと思って、早く適応できるよう協力してあげようという気持ちだったのですが、それが通じたようで嬉しいです」と語った。

前作と異なる性格の作品に出演したことに対し、「私のフィルモグラフィーにこのような温かいヒューマニズムがあまりなかったので、すごくやりたいと思ったんです。ありがたいことにタイミングもよく良い、台本をいただき、出演したいと思いました。ダウンと共通点もあって、出演したいと思いました」と伝えた。

演技をしながら憂鬱になる部分はなかったのだろうか。彼女は「私は作品から抜け出せないタイプではありません。後半は大変だったけれど、ダウンもすぐに克服して成長するところがあるので、私も成長するシーンでたくさんのことを感じて一緒に成長しました。結果的にはうまく克服しました」と語った。

続けて「ダウンと私がものすごく似ているとは言えません。ある程度接点があるけれど、他の映画やドラマでも一つくらいは接点があったと思うので、似たような感じで見ていただきたいです」と話した。

患者たちのエピソードの中で共感したこともあったのだろうか。彼女は「撮影していた時は、あまり感じられなかったんです。ドラマを終えて見た時、『働くママ』のエピソードが私と一番かけ離れていると思っていたのに、思ったよりそのエピソードに慰められて、涙もたくさん流しました」と恥ずかしそうに明かした。彼女は「『働くママ』だけでなく、一生懸命に生きていく中で、自分自身を失っていく人々に言えることが『そんなに頑張りすぎなくていいよ』だったと思います」と語った。

実際に病院で諮問を受けた彼女は「最も参考にしたのは、行動でした。私が初日に行った時が、回診の朝でした。看護師の方たちは回診前にみんな忙しくしていました。予め患者の方々の病室に入って回診の準備をして、ドアや窓を開け、看護婦長は一歩後ろで他のことも全て見ています。誰よりも一歩先に、ある時は後ろから全てを把握しようとするところがありました。そしてここは薬も重要ですが、静脈やIVのようなものが中心になるわけではなく、患者さんの心の状態がどうなのか、あるいは気分がどうなのか、細かいことを引き継いでいました。「誰と誰は仲がいい」「誰かがこういう話をしているけれど、注視しなければならない」「一日中布団をかぶって出てこなかった」というのを見て、私もそのような方向にフォーカスを合わせなければならないと思いました」と説明した。

ダウンの覚醒も注目を集めた。この中でパク・ボヨンが選んだ、作品のメッセージと繋がっている部分は何だろうか。彼女は「私はナレーションが好きです。私たちのドラマのナレーションにも、素敵なものが多いです。治療の最初の過程は、自分の病気を認めることです。ダウンも認めなかったけれど、話し合いを通じて自分が病気であることを把握した後、『私は患者だ。ここにいる患者と変わらない、同じ患者だ』と言ったのが覚醒の最大のきっかけでした」と話した。それから「私が日記帳に好きな台詞とナレーションをたくさん書きました。私が仕事をしながらも、このような言葉に影響を受けたと思います」とつけ加えた。

ダウンの行動化(Acting out)について彼女は「私よりスタッフの方々が喜んでくださいました。ダウンがついに表に出したと。その時までダウンは我慢してきたのでスタッフたちがダウンが叫ぶのを見て『ついにダウンが外に吐き出し始めたんだ』とおっしゃってくださいました。私もすっきりしました」と打ち明けた。

また「『将来の希望が石』ということについては「私が看護部長に悩みを相談します。内科では病気の方々に薬を差し上げれば良くなったけれど、ここでは何をすればいいか分からないと。その時看護部長が『私たちは波動を聞く』と言ってくれました。波動を聞くのが石なのです。私は波動を聞く人になりたいという意味で石になると言いました」と語った。

彼女は「ダウンは基本的に人に配慮する温かい人です。誰かを助けることで多くのことを感じる人です。大変だけど、それだけ達成感を得るので、看護師を(合わなくても)続けたのではないかと思います」と話した。

同作は、精神疾患をもつ患者への偏見を打ち破るメッセージを込めた作品だ。これに対し彼女は「私自身も偏見がたくさんあったと思います。私は看護部長の台詞で『誰もがなる。いつ、どこで誰にでもあり得る病気だ』というのが偏見を破るきっかけになりました。私が復職した時、保護者の方々が反対するのがとても現実的だと思いました。私が患者の家族でも、そういうふうにしただろうと思いました。それにもかかわらず、私たちのドラマが言おうとしたことは、『希望を失わないでほしい』ということでした。家族が心を変えるきっかけも『この人たちも後になって社会に出なければならないし、誰よりも温かい視線で見てほしい』という気持ちからなので、私たちからそうすべきじゃないでしょうか。私も同じ順番で気持ちが変わったと思います」と話した。

パク・ボヨンは「ダウンが称賛日記を最後まで一生懸命に書きます。『今日、ひるまなかった私を褒める』って。私もダウンのように最後まで応援してくれる同僚たちがいたら耐えられたと思います。でも、簡単なことではありません。若干のファンタジーがあるとすれば、先生たちがとても優しいことです。夢でダウンの悪口を言うシーンが出てくるのが逆に現実的だと思います。そういった先生はどこにでもいますが、とても優しい方々だけを集めたのがこのドラマのドラマのような部分です」と笑った。それから「私もそのように耐えられるだろうかと思いました。でも、克服する過程だと思います。ダウンも一生懸命に薬を飲みながら適応していく過程で終わったと思います」と話した。

劇中、パク・ボヨンがうつ病の演技を披露したシーンは、リアルでうまく描かれたと好評が続いた。彼女は「誰にとっても大変だった瞬間はあるじゃないですか。それを増幅させたかったんです。表現したいと思ったことの一つが、辛い時、声から生気がなくなることでした。白い病棟では口が渇いて声から生気がない状態を表現したいと思いました。水も飲まず、口で息をたくさんして、口の中が乾燥するようにしました。口で息をすると、口が本当に乾きます。水を飲まず、話さずにいた状態からいきなり話し出す時、声がかすれる感じも表現したいと思いました。声をかけられないようにしていましたし、一人だけの時間を作ろうとしていました。誰かと会話するようになったら、しきりに(感情が)沸き上がるので、チームの皆さんともできるだけ何も話さないようにしました」と説明した。

うつ病について新たに知ったことは何だろうか。彼女は「苦しんでいる人に外に出ろということ自体が暴力的になります。アドバイスよりは、その人の気持ちに共感するのが先だということを初めて学びました」と強調した。

約17年間、女優として活動してきたパク・ボヨン。取り除きたい偏見もあったのだろうか。彼女は「(可愛いという意味の)『ポブリー』というあだ名はとてもありがたいけれど、どうすれば別の姿をお見せすることができるだろうかと考えました。今は大丈夫です。すごく好きです」と笑った。続けて「今年は私にとって意味のある年だと思います。『コンクリート・ユートピア』と『今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~』も公開されたけれど、今までより愛らしい姿を少しなくした年だと思います。その部分の反応も悪くなくて、年を取っていく私の姿を視聴者の方々も受け入れてくださっていると感じる年でした。これを取り除きたいというものはなく、年を取るにつれて、もっとお見せできるものが出てくるだろうというように考えが変わっています」と打ち明けた。

パク・ボヨンは「多くの保護者がいるところで看護部長が『私から言う』と手を握って、私に目で『大丈夫』と言って立ち上がる時、監督に『もし涙が出なければ泣かなくてもいいですか』と聞きました。弱く見えるのも嫌でしたし、複雑な感情だったからです。監督はダウンがそうだったらそうしてと言いましたが、撮影が始まって、ジョンウンさんが手を握って目を合わせた瞬間、思わず涙がぽたぽた落ちてきました。カットがかかって、監督が私に『泣かないと言ったじゃないか』と言ったので、『私が軽率でした』と言いました。それから「隠そうとしたわけではないと言った時も『大丈夫』と言われた時、涙が出ました。周りの人々が自分を信じて支持してくれることが、この人にどれほど大きなことなのか気づいたんです」と強調した。

パク・ボヨンの第一印象を共演したヨン・ウジンは「天使」だと表現した。パク・ボヨンは「監督がなぜ私を天使のように表現したのか分かりません。私はそんな人ではありません。私はすごく怒りました。うまくいかない時は怒ったりしたのですが、監督に対してはあまり見せないのでそう考えているのだと思います」と明かした。

「念入りにやらなかったシーンは一つもなかった」という彼女は「ダウンが大変な時はどのように大変なのか、復職した時はどのように乗り越えていくだろうか、序盤は内科から来てどのように適応するのか、見慣れた看護師のように見えてほしい、この患者がよく見えたらいいのになど、毎回念入りにやっていたと思います」と話した。特に彼女は「精神疾患を表現する時も慎重なところがあって、毎回力を入れました。そのため今回の撮影は体も大変だったけれど心も大変だったと思います」と話した。

彼女は活動の原動力については「YouTubeチャンネル『DdeunDdeun』のコーナー『ピンゲゴ(言い訳で)』で言ったことと似ているけれど、私が生きていきながら大変なことは仕事で経験しました。職業を除く私の人生に気を使って、バランスを合わせるのが、精神を健康に保つのに良いと思いました。家族の構成員として義兄のカフェで仕事をしたり、甥を連れて遊びに行ったり、同じ仕事をしていない友達とよく話したり遊んだりしてリフレッシュしようとしています。仕事をすれば同じことの繰り返しだけど、そこから抜け出そうとするのが私だけの方法だと思います」と伝えた。

ボランティア活動を続けているパク・ボヨン。彼女は「年数では10年ですが、撮影をしている時は時間がないので行けなくて、行った日はそれほど多くはありません。それも私の人生のバランスを取る部分の一つです。初めてボランティアに行った時、様々な感情を抱きましたが、仕事をしていない時、世の中の役に立っていないと感じる時もあります。本当に何もしない日々が続いたら、役に立たない人になったような気分になるんです。でも、ボランティアに行けば、誰かを助けることができて、やりがいのある一日を過ごしたと感じられます。役に立てる人になったような気がしました。そのために相談もしました。こんな気持ちで進むのが正しいのか。それが悪いことではないと言ってくれたので、続けてに行けたのだと思います」と強調した。

そんな彼女も働きながら大変だった瞬間があったはずだ。彼女は「女優というのが、私が多様な人になる職業です。ありがたいことに、私は長い間ハマってはいないけれど、少なくとも6、7ヶ月はその人物になっていく過程があります。それを準備しながら感じるプレッシャーと責任感が繰り返されれば、私がこなすのは難しいような感じがしてきます」と語った。それから「You Tubeチャンネル『もっとつまらないものですが』で言ったことですが、カフェに行った時、笑顔で注文しなければ『思っていたのと違う』とおっしゃるのを聞いて少し気になったけれど、今は『そう思われてもしょうがない』と思っています。私の友達が、私がかわいそうだと言ったことがある。気分が良くないのに明るい顔で注文するのを見て驚いたんです。そのため最近は無理に明るくしようとはしていません」と明かした。

有名人のストレスについて聞くと彼女は「元々たくさん受けたけれど、最近私が一番好きな言葉は、『そういうこともある』だ。私はたくさんのことを経験してきました。仕事をする時も、色々なことがありました。 『そういうこともある』『これが全て失敗したということではないでしょう?』とよく言います。収拾する方法はあるかどうか、収拾することができなければそれも仕方がないと思います。以前は失敗したと思っていたのに。収拾がつかないなら、放っておきます。多くのことを経験しているうちにそうなったのだと思います」と話した。

「称賛日記」については「最初は書くのがとても難しかったんです。でも、ダウンの称賛日記には上履きを揃えておいた自身を褒めることもありました。最初は難しく思って賞賛すべきことをしなければならないと思ったけれど、ダウンの称賛日記を見て、アラームにちゃんと気づいて遅刻しない私を称賛したり、食事を欠かさなかった私を褒めたりして、自己肯定感が高くなったんです」と話した。

年を取ることについてヨン・ウジンは「過ぎ去っていく39歳を掴んでいたい」と話した。パク・ボヨンは「30歳をたった今過ぎたわけではありません」と冗談を言いながら「今は歓迎し、楽しく過ごしていると思います。39歳になれば、私もウジン先輩のように通り過ぎていく39歳を捕まえているのではないかと思います。今は楽しく過ごしています」と話した。

彼女はダウンに「生きていく中で色々な曲折があるかもしれないけれど、一度成長したので、より成熟したダウンになったと信じています。これから看護師の仕事をするダウンは前より傷つきにくくなり、あまり大変な思いをしないでほしいと思います。私は素晴らしい生き方をすると思います」と話した。

女優パク・ボヨンに残された欲は何だろうか。彼女は「道に迷いたくないですし、寄り道もしたくない。もう欲張らないようにしています。以前はあれもこれもやりたかったけれど、運もタイミングも合わなければならないですし、私がやりたいと思ってやれるわけでもなかったんです。地道に歩いていくうちに、その時の状況に合った良い作品に出会って、逃さずにきちんと歩いていけばいいのではないかと思いました」と話した。

最後に彼女は「ドラマのタイトルをご覧になればお分かりになる思いますが、希望に満ちた、希望を与えるドラマです。しかし、あまりにも多くの希望を与えたり、そのような未来だけがあるというよりは、いつかは朝が来るから、厳しい時間を過ごしていても、ナレーションにも『ありきたりな希望』という言葉が出てきますが、そのありきたりな希望のために私たちも耐えて、看護師の方々もサポートしようとしているので、先が見えなくてもありきたりな希望のため、もう少し耐えてほしいです」とつけ加えた。

記者 : ヨン・フィソン