「残酷なインターン」オム・ジウォン“俳優生活はマラソンのよう…一喜一憂しないようにしている”

OSEN |

写真=TVING
フィルモグラフィーの激しい浮き沈みはないが、着実に20年以上の俳優生活を続けてきながら、心の筋力を育ててきた堅実な女優。「残酷なインターン」の残酷ではない人、オム・ジウォンだ。

オム・ジウォンは最近、ソウル市鍾路(チョンノ)区三清洞(サムチョンドン)のカフェでインタビューを行った。彼女はこの場で、韓国の取材陣とTVINGオリジナルドラマ「残酷なインターン」について話した。「残酷なインターン」は、7年の空白期間を経てインターンとして復帰したコ・ヘラ(ラ・ミラン)が、成功した同期のチェ・ジウォン(オム・ジウォン)から隠密ながら残酷な提案を受けることから経験する心の葛藤を、社会経験豊かな貫禄で燃やしてしまうストーリーを描くドラマだ。今年の夏にTVINGオリジナルドラマとして、tvNドラマとしても公開された中、ワーキングマザーたちのキャリア断絶の問題を愉快に描いて注目された。

昨年韓国で放送されたtvNドラマ「シスターズ」に出演したオム・ジウォンは、その作品の撮影終盤に「残酷なインターン」の序盤の撮影を並行した。普段は撮影すら重なることを避けていた彼女は、「2つのキャラクターがあまりにも違っていたため、幸い演じ分けやすく、感情移入できました」と明かした。また、1部の撮影が重なることを承知してまで出演した理由について「同世代の人として、この社会の構成員として生きながら今心配して悩んでいることを、脚本家や監督がドラマとして紡ぎ出す時、それを演技で話す機会があるというのが好きです。私は職場には通っていないですが、この社会の構成員として、仕事をしている人として感じることがいろいろあります。私の悩みや友人たちの悩みと通じるものが作品の中にあったので、そういうところがいいなと思いました」と語った。

特に彼女は「残酷なインターン」の深刻ではない雰囲気が好きだという。「代弁するのもいいですが、深刻な社会物ではない点がよかったです」という彼女は、「私たちは政治家ではありません。視聴者が受け入れやすいように書かれているのがよかったです」と強調した。作品を演出したハン・サンジェ監督は、「ブッとび!ヨンエさん」シリーズを演出し、シットコム(シチュエーションコメディ:1話完結で連続放映されるコメディドラマ)のような愉快なドラマの演出感覚を身につけてきた人物でもある。

実際にオム・ジウォンは、メッセージを愉快に伝えることができる作品にも心が惹かれるという。映画「女は冷たい嘘をつく」のような、いわゆる“女性物語”の作品に出演したのも、「その時代を生きている女性オム・ジウォンとして興味があったからです」という。「今はだいぶ変わっていると思います。女性の物語に興味があるということ自体がむしろ差別的に聞こえるほど、今は多様化しています」という彼女は、「簡単に言うと、俳優として演技をしていますが、人として感じるものがあります。ドラマや映画の中で、ストーリーとしてちゃんと劇化されている作品に参加したいと思っています。そういう部分での責任感がないといえば嘘です。これからも感じていたいです」と明らかにした。親友の女優コン・ヒョジンと、環境に関するドキュメンタリー映画「普通の勇気」に特別出演したのも、同じ流れで決めたという。

そんなオム・ジウォンにとって、“キャリア断絶”について語る「残酷なインターン」は、どのような共感を呼んだのだろうか。彼女は「すべての働く人々の悩みだと思います。私は妊娠と出産による強制的なキャリア断絶を経験してはいないですが、俳優という職業がフリーランスなので、自分が呼ばれないと仕事ができなくなるかもしれないという不安が常にあります。仕事というのは、現代人にとって自己実現の道具でもあり、生存の道具でもあるので、自分の生存に関わるものが切れるというのは、すごく怖い瞬間です。そういうことについてドラマが物語っているので共感しました。だから、恐らく私だけでなく、会社員の方々にも共感していただいていると思います」と明かした。

また、彼女は「私はサラリーマンとは違う意味での悩みがあります。将来のことより、現在に集中するタイプで、仕事があることに感謝して、その仕事がある時に最善を尽くして、後悔しないように努力する方です。毎回作品で演じる時、『いつ次の作品をするか分からないので、後悔が残らないようにしなければならない』といつも思っています」と伝えた。

2002年のMBCドラマ「黄金の馬車」でデビューしたオム・ジウォンは、20年以上空白期なしに着実に演技を続けてきた。特にスキャンダルもなく、浮き沈みのない演技を見せている、信頼できる女優の1人だ。彼女も「休みたい」と思う時はないのだろうか。「作品がない時は強制的に休みの期間があるので、最善を尽くしてから休める期間があります」という。

むしろ彼女は「私は、何かを選択したりする時に直感的でシンプルに考えるほうです。もちろん努力はしますが、自分自身に対してすごい評価をしたり、責めたりするようなタイプではありません。ただ、無頓着というか、基本的にこの仕事に対する自分の信念やマインド自体が、最初からマラソンみたいなものだと思って取り組んでいます。作品1つ1つが大切ですが、あまり一喜一憂しないようにしています」と語った。

また「どんな表現が正しいかわからないですが、ただ歩いていると思っています。特に、人生で悪いことが起きない限り、年をとっても演技をしたいと思っているので、静かに演技をしていると思います。何か大きな目標とかを持っているタイプではありません。今に満足できないことも多いですが、ありがたいのは、幸い俳優としてのスランプや演技的なスランプがまだ来ていないことです。私自身も、次の作品で何をするか、次の作品でどんな演技をするか、まだ楽しみでワクワクしています。そういう点に感謝の気持ちを感じています」と強調した。

「私の演技は、おそらくマラソンの中盤あたりには来ているのではないでしょうか。20kmは走っていそうです」という彼女は、「『こんな風に思われたい』と思いながら演じているわけではありません。ただ、良い監督、良い俳優、良い制作者、良いスタッフとたくさん出会いたいです。“良い”の意味が広いですが、気が合って、心が通じる、良く合う人々に会って仕事をしたいです」と話した。また「実は劇中のチェ・ジウォンのように『ここまで厳しく生きたな』と思う瞬間はまだなかったです。もちろん、俳優を続けていく上で大変な瞬間は多いです。穴に入って出てこれない瞬間もありましたが、きついと思った記憶はないです」と話した。

淡々と話したが、オム・ジウォンは強い心を持っていた。彼女は「人には誰でも大変な瞬間と弱くなる瞬間があると思います。それが表に出るか出ないかだけの違いです。特別にメンタルが強い人もいると思います。基本的に私は、作品の経歴が波乱万丈な俳優というよりは、いつも普通のエリアの中にいる人です。それでも、時には信仰の力で支えられた時期もありましたし、家族や友人のおかげで耐えたこともあります」と、淡々と語った。

彼女は「ある仕事で成功や失敗を論じるには『10年以上やってみなさい』と言います。10年続けたら、ある程度の能力や要領も得られますが、私は20年しているので、この仕事の様々な浮き沈みに対して耐性がついたようです。自分の手に負えなかったら無理なのかもしれないですが、ある程度の浮き沈みに対しては、それでも平常心を失わずに歩んでいく筋力がつきました」と語った。また「私の短所であり長所でもあるのですが、記憶力が悪いところです。だから友人たちが私に秘密の話をたくさんして『口が堅い』と言います。コン・ヒョジンは『ジウォン姉さんは本当によく忘れる、本当に記憶力がない』と言います」とし、笑いを誘った。

最後に「どんな人として生きるかについての関心が高いです」というオム・ジウォンは、「病気になると精神が弱くなります。心身が弱くなって気持ちがぶれます」とし、運動の重要性を強調した。しかし、その中でも演技に対する信念は揺るぎない。彼女は「映画でも世界を変えることができます。本や映画、文化が現在を代弁して何かを動かす場合もありますし、誰かにとっては人生の指標になると思いますし、そう信じています。そういう面があるからこそ、私は演技を愛していて、好きな感情を持って続けている原動力にもなっています。私もたくさんの良い作品からインスピレーションを得たからこそ俳優になれましたし、その夢を信じたからこそ今でも続けていくことができています」と付け加えた。

記者 : ヨン・フィソン