「梟―フクロウ―」リュ・ジュンヨル、試写会で涙した理由は?“感情がこみ上げてきた”

OSEN |

写真=「NEW」
リュ・ジュンヨルが演じた「梟―フクロウ―」のチョン・ギョンスは、何か見慣れない。昼には前が見えないギョンスの顔は、数ヶ月前に観た「宇宙+人」のムルク(リュ・ジュンヨル)の顔とは違う雰囲気だ。長い目に痩せた顔には寂しい雰囲気が漂い、不安を感じさせる。

彼は「今回の作品は、笑えるだけのコメディ作品ではないため、ユ・ヘジン先輩との前作とも異なりました。現場で良い話をたくさんいただいたのが、すごく勉強になりました」と伝えた。

「梟―フクロウ―」は、夜だけ前が見える盲人鍼術師が世子の死を目撃した後、真実を明らかにするために繰り広げる一夜の死闘を描いたスリラーだ。リュ・ジュンヨルは同作で、昼盲症を患っている鍼術師チョン・ギョンス役を演じた。

同日、痩せた姿でインタビューに出席した彼は、近況について「今撮影中の『The 8 Show』で演じた人物が消極的な性格です。そのキャラクターに合わせて減量するため、食べたり食べなかったりしました(笑)」と伝えた。

マスコミ向け試写会で彼は、先輩ユ・ヘジンの話を聞きながら涙を流した。同日、彼は「国民の泣き虫になった」というからかい半分の言葉に「ユ・ヘジン先輩がそのタイミングでそのようなことを言って……。僕はよく泣くタイプじゃないけれど、ジーンと来たんです」とし、涙を流した理由を説明した。

2人は映画「タクシー運転手」(2017)、「鳳梧洞戦闘」(2019)に続いて3度目の共演だ。

続いて彼は、撮影について「試写会でも話したように、撮影しながら『僕はなぜこの人たちとご飯を食べているんだろう』と思ってジーンと来たけれど、よりによってあの日にカメラが多い時にまたジーンと来てしまいました(笑)。僕をよく知っている友人たちから『どういうこと? 涙を堪えられなかったの?』と聞かれました。本当に感情がこみ上げてきたんです。ユ・ヘジン先輩との『鳳梧洞戦闘』『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』の時も思い浮びました。時期的に2~3年ごとに共演していましたし、僕が大変だと思う時に作品で先輩にお会いして、その度に良い言葉をたくさんいただきました。先輩と後輩の間で演技について話すことはほとんどないけれど、演技について言ってくださって、よりグッときたようです」と話した。

リュ・ジュンヨルは“ユ・ヘジンの営業秘密”についても「僕はこれから道が遠いので、秘密にしておきたいです(笑)。後日公開してもいいほどになったら申し上げます(笑)」とし、「長い間、たくさん愛されるのが簡単ではないけれど『あの俳優は心が温かい人のようだ』という印象を与えるのと重なります。(営業秘密は)そういう脈絡と通じます」と説明した。

続いて、リュ・ジュンヨルは「梟―フクロウ―」に出演したきっかけについて「これまでの時代劇は、宮廷の暗闘、王と臣下の対立、王家の家族物語などのものが多かったけれど、この映画はほとんどが宮中で起きることであったので新鮮でした。ハンデを持っている平民が中心にいます。『盲人が見たことを話す』ことが、この映画が言いたいことではないかと思いました」と理由を明かした。

その一方「ギョンスが『僕が見ました』と言っても結果が変わらない時代です。平民の言葉で、世の中が変わる時代ではないが、それにもかかわらず宮殿で起きたことを目撃した人が勇気ある事をやり遂げたので、その点でエネルギーをつぎ込むことができました。これまでの作品でもそのような姿を表現してきたように思います。僕は『俳優は時代を反映しなければならない』という言葉に同意します。僕自身、そういう気持ちをある程度持っていますし、その部分を心がけています」とし、出演をする時に気を使う部分も伝えた。

「映画は(仮想の世界であるので)嘘であることを知っている状態で観ます。僕たちが2時間の間、騙されながらも楽しく観るのが、映画の美徳ではないかと思います。それでも(『フクロウ』の中の話は歴史で)本当にありそうなことです。撮影をしながら『自分だったらどうしただろう』という観点でアプローチしました。仁祖実録に記載された事実を背景に想像を加えているので、もっと魅力的に感じました」と話した。

リュ・ジュンヨルは、この映画で昼盲症を患っている鍼術師チョン・ギョンスの役を務めた。彼は「3ヶ月間、集中して撮影したので今も目の焦点がうまく合いません。朝起きてトイレに行って来る時まで(焦点を合わせるのが)難しいですし、再び焦点が戻るまで時間がかかります。撮影している間は、焦点を合わせないほうが楽な時がありました。今もお見せすることができるくらいです(笑)。眼科で検査を受けたけれど、幸い異常はないようです」と伝えた。

昼盲症の患者に会って、彼らを理解して表現するために努力したリュ・ジュンヨルは「昼盲症を患う患者の方々が、心の中の話を初対面で出さないことは知っていたので、最初から深い話はしませんでした。軽い質問をして食事をしながら、丁寧に観察しました」とし、演技をするために彼らを利用したわけではないと話した。

彼は「デプスインタビューに入るより、他の部分に気を使いました。盲人という設定は序盤から登場するものですし、その設定を保ちながら、僕はギョンスという人物が感じる感情の表現にもっと気を使いました。見えないことを表現するためのリアルな演技に気を使ったわけではありません」と説明した。

「今度の映画ではスタッフ、監督とのコミュニケーションに集中しました」というリュ・ジュンヨルは、「工夫した部分が映画で楽しく仕上がっていました。蓋然性を持たせたかったけれど、それがちゃんと出ているようで嬉しかったです。集中して気を使った分だけ、スクリーンでそれが見えました」とし、完成度に満足感を示した。

続いて「どの作品よりも細かく質問してチェックしました。だから(スタッフや監督との)コミュニケーションの方法を学びました。映画は共同作業ですから。僕が強調したことの1つは、自分の役目を果たせば、映画は動くということでした。しかし、それは『自分の分だけする』という意味にもなります。しかし、演技の他に、別のことも必要でした。俳優だから演技だけすればいいわけではなく、聞いてチェックすることが、以前より増えたと思います。アイデアも出さなければなりませんし。この映画は集中力を持って、3ヶ月撮影したけれど、あっという間に撮影が終わっていました。撮影現場では集中力を失わないように努力しました」と話した。

リュ・ジュンヨルは演出より製作に興味があるという。彼は「同年代の同僚の中で、演出にチャレンジした監督が多いです。その友達とたくさん話します。でも僕は演出より製作に興味がある。今回の作品もそういう気持ちが多少ありました」と話した。

そして「近い方々と撮影したからか、これまでの作品より楽でした。僕も今回は様々な意見を出しましたし、彼らも(僕が出す意見を)楽に聞いてくれました。製作に臨むマインドが、この映画にある程度入っています」とし、今後は製作にももう少し積極的に参加してみたいという意欲を見せた。

「梟―フクロウ―」は韓国で昨年11月23日に公開された。

記者 : キム・ボラ