イム・シワン、映画「非常宣言」でイメージチェンジ?“納得しなくてもいいキャラクターは初めてだった”

OSEN |

写真=SHOW BOX
イム・シワンが、映画「非常宣言」でイメージチェンジを果たした。これまでは、弱そうにみえるが、凛々しく乗り越え、明るくて元気な雰囲気のキャラクターを務めてきたが、「非常宣言」を通じて自身が披露できるキャラクターの領域をさらに拡張した。

「非常宣言」(監督:ハン・ジェリム)は、史上初の航空テロに直面し、無謀な着陸を宣言した飛行機と災難に立ち向かう人々の物語を描く。イム・シワンは、テロを計画した謎の男ジンソク役を務めて緊張感を与えた。

平凡そうに見えるが、どこか不審な言葉や行動。「非常宣言」は模範生と呼ばれるイム・シワンの冷ややかで狂気じみた魅力を引き出し、ジャンル的に際立たせた作品だ。

韓国で8月3日に公開された「非常宣言」は、上映4日目の6日に観客100万人を突破し、映画振興委員会によると、7日までに累積観客数139万8,274人を記録した。

イム・シワンは最近行われたビデオインタビューで、「観客の反応の中で、『イム・シワンの目が狂っている』というのがありました。僕はそれが1番記憶に残っています。僕は照明の影響かと思っていますが、キャラクターとして僕を見てくださったようでありがたいです」と笑顔で話した。イム・シワンが内面に持っていながらまだ見せていない顔が、「非常宣言」にある。

キャラクターを分析した過程について聞くと、「表情を特に準備してはいません。感情に伴って出てきたようです。僕は正常ではない、ある範疇の人間を表現するために、『正常ではない』とアプローチした瞬間、矛盾が生じると思います。ジンソクには、自分だけの実験精神があったと思います。実験精神を持って1つずつやっていくたびに、一種の快感を感じたんです。しかしそれが相手にとってはあまりにも普通じゃないし、冷ややかな印象を与えます」と述べた。

ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、チョン・ドヨンなど、韓国を代表する俳優たちとの共演について彼は「韓国を越えて世界で認められた先輩たちとの共演が、僕にはものすごい経験でした。俳優として誰でも1度くらいは想像するような機会だったと思います」とし、光栄だと表現した。

そして、「(その方々と共演するということが)現実感のない夢のような話でもあります。実際にすべての先輩たちと共演できれば良かったですが、ソン・ガンホ先輩と僕が(劇中で)会う場面はありませんでした。僕が演技をする時、先輩が応援のために現場に来てくれましたが、その時に僕をたくさん褒めてくださいました。そういう褒め言葉が、演技する上ですごく力になりました。恥ずかしいですが、舞台挨拶でも先輩が僕の称賛をたくさんしてくださって感謝しています」と言ってはにかむように笑った。

「イ・ビョンホン先輩と演技をしながら、『僕がいつこのように素晴らしい方々と共演できるんだろうか』と思いました。共演した初日の感情が今でも生々しいです。2年前に、仁川(インチョン)空港のシーンでイ・ビョンホン先輩を初めて見ました。(ジンソクがジェヒョクと娘に)『どこに行く?』と聞く場面でした。僕はイ・ビョンホン先輩を初めて見て、憧れていた芸能人に直接会って会話するような印象を受けました。(ファンが芸能人を)テレビだけで見ていたけれど、実際に会って会話するような感じがしました。僕がセリフを言ってイ・ビョンホン先輩がセリフを言う感覚が不思議でした」

記憶に残っている同僚俳優がいるのかという質問には「僕は去年、カンヌで1回見て、今年の試写会でもう1度(映画を)見ました。僕はその度に、乗客役を演じた俳優たちの演技が印象的でした。オ・ミファ先輩から高校生役の俳優たちまで、見ながらジーンと来るものがありました」と答えた。

「非常宣言」は、航空パニック映画だが、テロリズムと韓国社会の今に関する問題意識を持っている作品だ。

これにイム・シワンは「しかし、僕はマクロ的に見る余裕がありませんでした。ジンソクというキャラクターの中に閉じ込められて、それをどのように解いていくかというのが最大の宿題でした。映画がマクロ的に描くメッセージやテーマは、僕は考える暇もなかったです。最初から僕はジンソクのキャラクターだけに集中してきました」と話した。

ジンソクを分析して演技で表現した過程を真剣に説明した彼は、「ジンソクに被害意識があると思ったし、英語を使うので、海外を行ったり来たりしながらも、住み慣れない場所で悔しいことや被害を受けたと思いました。僕なりに肉付けしていく作業をしました。僕は体格が小さいので、僕の特徴を長所に生かしました。(ジンソクが)体格が小さくていじめられた可能性もあるし、国によって異なる文化的な違いのため外国人たちにいじめられたこともあるだろうと想像しました。また、ジンソクが情緒的に母に依存していたけれど、頻繁に会えなかったため、彼に間違った認識が生まれたのだろうと想像しました」と話した。

アトピーを患っている小学生の娘を連れて韓国を離れることを決心したジェヒョク(イ・ビョンホン)は、ハワイ行きを決定する。出国当日、仁川国際空港で変な男ジンソクに出くわし、彼の怪しい雰囲気を感知した父娘は、離陸後にテロを始めたジンソクを目撃する。

イム・シワンは、納得できる理由を持たない悪役を演じながら、一種の解放感を感じたという。

「良い役は、ある程度範囲が決まっていると思います。しかし、悪役は『こうあるべきだ』というフレームからはみ出しているキャラクターだと思います。だから今回、演技をして解放感を感じながら撮影しました。ジンソクに納得できる理由がないから、自分の想像だけでできると思ったし、白紙の状態で勝手に満たすことができる自由がありました。もちろん、ジンソク役のオファーを受けて、期待と同時にプレッシャーもありました。しかし、ジンソクを表現したら、もっと幅広く多様で、キャラクターの深みを持たせられると思いました。実はこのように納得しなくてもいいキャラクターは初めてでした」

記者 : キム・ボラ