ソン・ガンホ、映画「ベイビー・ブローカー」で是枝裕和監督の人柄に感銘“俳優とスタッフの言葉に常に耳を傾けてくれる”

OSEN |

写真=Sublime Artist Agency
ソン・ガンホと話していると、積み重なった歳月がそのまま感じられるほど重厚でしっかりしたエネルギーが感じられる。経験が多い分、考えがよく整理されているためか、一つ一つの言葉をしっかりと伝えてくれる。

今年開かれた「第75回カンヌ国際映画祭」で世界中から素晴らしい俳優たちが集まった中、最高の栄誉である最優秀男優賞を受賞しただけに色々な感情が込み上げてきたのだろうが、今は黙々とその感情を消化している。

ソン・ガンホは最近行われたインタビューで「カンヌ映画祭で主演男優賞を受賞したことは、俳優としてとても光栄なことです。最高の映画祭で、受賞の瞬間を『ベイビー・ブローカー』チームと並んで座って一緒に迎えることができて、僕にとって忘れられない瞬間でした」と最優秀男優賞を受賞した感想を語った。

今年5月28日に開催された「第75回カンヌ国際映画祭」で、ソン・ガンホは是枝裕和監督の最新映画「ベイビー・ブローカー」で最優秀男優賞を受賞した。これは女優チョン・ドヨンが2007年に開かれた同映画祭でイ・チャンドン監督の「シークレット・サンシャイン」で主演女優賞を受賞して以来、ちょうど15年ぶりのことだ。韓国の男女俳優がそれぞれ主演賞を受賞し、もう一度韓国映画の地位を高めた。

ソン・ガンホはこの日のインタビューを通じて受賞の瞬間を思い出し、「俳優として演技をするだけで、映画祭に出品するため、賞をもらうために演技するわけではありません。そうしたからといって賞がもらえるわけでもないですから」とし「映画の作業は観客とのコミュニケーションが一番重要な作業だと思います。賞をもらっても変わることはありません」と強調した。

先日、彼はカンヌ映画祭の閉幕式の前に行われた韓国の記者らとのインタビューでもこのような立場を語った。その後、今年最高の男優賞を受賞したが、受賞で考えが変わることはないと伝えた。

それと共に「僕は今までもらったトロフィーを家に飾ったりはしませんでした。ただ偶然見ることがあれば、気が引き締まるというよりは、ありがたい気持ちになります。(僕が感謝する)対象が誰であれ、僕はただ感謝する気持ちになるだけです」と話した。

彼は「良い作品を通じて多くの観客とコミュニケーションすることが僕の唯一の目標です。その過程で映画が映画祭に出品され、そのうち受賞もするんです。もちろん、俳優として受賞はとても嬉しくて光栄なことですが、これが目標にはなりません。これからも同じでしょうし、僕は変わりません」と強調した。

今年、ソン・ガンホは妻と息子、娘と一緒にカンヌ映画祭を訪れた。「今回、息子が初めてカンヌに行きました。今はサッカーをしていませんが過去にサッカー選手として活動し、軍隊に行ったので僕と一緒にカンヌに行ったことが一度もなかったんです。今回初めて時間を作って一緒に行きました。4人で一緒に行くことができて、意味があったと思います」と話した。

「受賞の直後、家族とどのような話をしたか」という質問には「まだ家族だけでちゃんと話はできていません。最近は『ベイビー・ブローカー』の宣伝をして、数日前まで映画『クモの巣』の最後の撮影で忙しくしていました。余裕ができた時に家族と受賞について話してみようと思います。これまで応援して叱責してくれた韓国映画のファンにこの栄光を捧げたいです。これからも変わらず努力し、新しいソン・ガンホの姿をお見せします。引き続き声援をお願いします」と言い、恥ずかしそうに笑った。

ソン・ガンホは「グエムル-漢江の怪物-」(監督:ポン・ジュノ、2006)、「シークレット・サンシャイン」(監督:イ・チャンドン、2007)、「グッド・バッド・ウィアード」(監督:キム・ジウン、2008)、「渇き」(監督:パク・チャヌク、2009)「パラサイト半地下の家族」(監督:ポン・ジュノ、2019)「非常宣言」(監督:ハン・ジェリム、2021)に続き、「ベイビー・ブローカー」(監督:是枝裕和)で7回もカンヌを訪れた。

ソン・ガンホはこの日、十数年前からの知り合いである是枝裕和監督の人柄を絶賛し、「是枝監督は僕が2007年、『シークレット・サンシャイン』でカンヌ映画祭に行った後(同年10月に開かれた)釜山(プサン)国際映画祭で初めてお会いしました。エレベーターで会って『前から監督の作品を見てきた』と挨拶しました。僕がとても尊敬しており、その日しばらく話して別れました。それから9~10年が経ちました。今から約6~7年ほど前に、是枝監督と正式に打ち合わせをしました。その時は『ゆりかご』(2015~2016年)というタイトルで話をしたんです。監督が『今すぐ始める映画ではないけれど、必ず一緒に作ろう』という話をしてくれました」と作品に合流した過程を振り返った。当時も是枝監督はソン・ガンホをはじめ、ペ・ドゥナ、カン・ドンウォンのキャスティングを念頭に置いていたという。

彼は「是枝監督の人柄が印象的でした。人格的にも深く、哲学で武装していると思います。映画の撮影現場で俳優とスタッフの言葉に常に耳を傾け、積極的に受け入れてくれます。彼がコミュニケーションする姿にとても驚きました。権威意識も持っていなかったので、本当に驚きました。友人のように本当に幸せに作業しました」と是枝監督との撮影について語った。

ソン・ガンホは1990年に演劇でデビューし、今年芸歴33年目を迎えた。彼は「先輩・後輩、同僚俳優の役作りや演技のスタイルについて、普段あれこれ言いません」と価値観を明らかにし、「俳優としてお互いに尊重し合い、相乗効果を出さなければならないと思うからです」と伝えた。

「僕は相手を尊重しなければお互いに交感できないと思っています。ですから、現場で俳優たちを見守って、彼らに合わせて僕が演技する立場です。彼らに僕が考えた演技スタイルを強要したこともありませんし、それはだめだと思います。もちろん、後輩たちが終わってから僕に聞けば、その時は僕が話をしてあげることはできますが、撮影する時は監督と俳優たちの観点を尊重しなければならないと思います」と語った。

記者 : キム・ボラ