キム・ナムギル「悪の心を読む者たち」でプロファイラー役に苦戦も?“色々悩みながら作品に臨んだ”

MYDAILY |

※この記事にはドラマのストーリーに関する内容が含まれています。
写真=GILSTORY ENT
俳優のキム・ナムギルがSBS金土ドラマ「悪の心を読む者たち」(脚本:ソル・イナ、演出:パク・ボラム)の放送が終了した感想を伝えた。

最近韓国で放送が終了したドラマ「悪の心を読む者たち」で、彼は韓国初のプロファイラーに生まれ変わるソン・ハヨンの成長ストーリーを繊細かつ強烈に描き出した。

劇中でソン・ハヨンは、韓国第1号のプロファイラーであるクォン・イルヨン教授をモチーフにした人物だ。ソン・ハヨンに扮したキム・ナムギルは、キャラクターの幅広い感情を全身でそのまま表現し、圧倒的な没入感を与えた。彼は“韓国型プロファイリング”の始まりを演じた感想とともに一問一答を伝えた。

――ドラマ「悪の心を読む者たち」の放送が終了した感想を教えてください。

キム・ナムギル:ドラマを愛してくださったすべての方々に心から感謝します。幸せだった現場として長く記憶に残ると思います。俳優やスタッフの全員がお互いを配慮し、それぞれの位置で最善を尽くしました。犯罪者として出演して最高の演技を見せてくれた俳優たちにも、尊敬と感謝を伝えたいです。特に現職プロファイラーの方々に敬意を表します。

私たちがこのようなドラマを作る理由は、第12話のエンディングメッセージにすべて盛り込まれていると思います。2000年代以降、韓国の科学捜査の発達により、連続殺人犯が初期に遮断され逮捕されていますが、毎年凶悪犯罪で死亡する被害者は依然として数百人に達しています。残酷な犯罪により犠牲になった被害者のご冥福を祈り、苦しんでいる遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。犯罪から安全に保護される社会、犯罪から最も疎外される被害者と遺族に関心を寄せる社会になることを願っています。

――劇中のソン・ハヨンのディテールな演技が没入感を与えました。最も重点を置いて演技した部分は何ですか?

キム・ナムギル:何も考えずに、役にだけ没頭していたような気がします。撮影中は俳優のキム・ナムギルが演じるソン・ハヨンではなく、実際に僕の近くに住んでいそうなプロファイラーのソン・ハヨンを演じたので、演技をするというよりも、事件であれ状況であれ流れに任せていました。相手の俳優が演じるのを見て、聞いて、ついていくだけでもソン・ハヨンになることができました。特に、犯罪者との面談シーンや取り調べのシーンを撮影する時は、犯罪者を演じる俳優たちの功が8割以上だと言っても過言ではないほど、その俳優たちと現場の雰囲気に合わせて演じました。

――今回の作品を通じてプロファイラーのソン・ハヨンとして強烈なイメージチェンジを披露しましたが、良かった部分と残念だった部分はありますか?

キム・ナムギル:プロファイラーという職業がいかに大変な職業なのかを人々に分かってもらえることができて良かったです。残念だった部分は……特にありません。作品が終わると、いつも後悔は残っていても未練はありません。

――役作りの準備過程も容易ではなかったと思います。

キム・ナムギル:実際の事件をもとにストーリーが展開されるため、当時の事件の被害者たちを傷つけることになったらどうしようという心配で、慎重になっていたことも事実です。計り知れない痛みを再び暴き出すのではないかと、色々悩みながら作品に臨みました。当時の事件のプロファイラーを演じる俳優として、どのように演じれば、私たちが伝えようとする意図が上手く伝わるのか、悩みも多かったです。なぜ悪の心を読まなければならないのか、それがなぜ必要なのか、実際のプロファイラーの立場になって考えてみようと努力しました。

――実際演じてみて、ソン・ハヨンはどのような人物でしたか?

キム・ナムギル:ソン・ハヨンは正義感と責任感が強く、どんな状況でも相手の感情を察する共感能力に優れています。しかし、表向きでは無心に見える人物です。繊細で一度始めると解決するまで諦めない根気と根性がある人です。

――ドラマを通じて、様々な種類の犯罪者を間接的に経験していましたが、どのように思いましたか?

キム・ナムギル:犯罪者の中でも連続殺人犯の場合、生まれる時から悪人だったのか、後天的な影響を受けて悪人になったのかを考えました。性善説と性悪説の間で、絶えずに悩みましたが、劇中のセリフのように、先天的であれ後天的であれ、犯罪者の誕生にはこの社会にもある程度の責任があると思います。

――最も記憶に残るシーンやセリフはありますか?

キム・ナムギル:ソン・ハヨンが犯罪行動分析チームのグク・ヨンスと交わしたすべてのセリフが最も記憶に残っています。その中で1つを挙げると、第8話でソン・ハヨンが連続殺人犯ク・ヨンチュンの面談に行ってから苦しみ「なぜよりによって私だったんですか?」とグク・ヨンスに尋ねます。ソン・ハヨンにとって最も人間的なセリフだったと思います。ソン・ハヨンも犯罪者もみんな同じ人間じゃないですか。机一つを挟んで、刑事と犯罪者ではなく、面談者と被面談者として会わなければならない、本人のアイデンティティに対する苦悩が感じられるセリフだと思いました。この1つの文章がソン・ハヨンが“プロファイラーのソン・ハヨン”として生きていく自分自身への誓いだと思います。また、ソン・ハヨン役を演じなければならない自分自身にも、最後の撮影まで絶えずにしていた質問でした。「なぜよりによって僕だったんですか?」

――軽くないテーマを取り扱った作品ですが、撮影現場の雰囲気はどうでしたか?

キム・ナムギル:犯罪被害者の家族の皆さんに申し訳ない気持ちがするほど、撮影現場で俳優たちとスタッフの雰囲気は楽しくて幸せでした。しかし、殺人現場を撮影するシーンや犯罪者との面談、被害者のシーンを撮る時は、現場の雰囲気も粛然となり、私たち自らがその痛みに共感しようと努力しました。

――俳優のチン・ソンギュさんとキム・ソジンさんとの相性はいかがでしたか? 2人はどのような俳優だと思いますか?

キム・ナムギル:俳優のチン・ソンギュさんとキム・ソジンさんは、2人ともとても立派で素晴らしい俳優なので、言うまでもなく演技においての相性も、また他の部分においてもすべてが良かったです。今回一緒に演じて感じたことは、この2人の俳優とも、人と状況に対する配慮が格別で、自分より撮影現場と相手の俳優のことを先に思い、協力してくれる仲間だということです。人に対する理解が優れた良い俳優たちなので、そういう点で今回の作品と俳優たちの性向が合っていると思います。

――クォン・イルヨン教授ともたくさん対話を交わしたと思いますが、物語の中で最も記憶に残る話は何ですか?

キム・ナムギル:クォン・イルヨン教授とプロファイラーの後輩の方々が一緒に夕食を食べる席に参加したことがありますが、クォン・イルヨン教授が後輩の方々にこのような話をされたんです。「被害者とその家族だけを考えなさい」

――クォン・イルヨン教授と一緒に「クォン・イルヨン、キム・ナムギルの悪の心を読んであげます」という映像コンテンツを制作するほど、作品に対する愛情が格別だったと思います。

キム・ナムギル:ドラマのためにクォン・イルヨン教授に助言を求めながら、多くの話を聞いて新しく知った犯罪の実状もありました。ドラマはプロファイラーの始まりを取り扱った過去の話がほとんどだったので、話中に知った最近の犯罪プロファイリングやプロファイラーの方々の話も視聴者と一緒にしたいと思いました。視聴者の立場から、ドラマに反映されていない様々な話や情報、気になることを聞いて解き明かして見せるのはどうかと思って、すぐにコンテンツを企画し制作しました。単純に消費されるコンテンツよりは、生きる上で役立つ情報や社会現象に関する話を共有できればと思いましたし、私たちが一緒に考えて解決すべき話を盛り込みたかったです。

――視聴者にとって、どのようなドラマとして記憶に残ってほしいですか?

キム・ナムギル:実際の事件をドラマではどのような視線で描いているのか、恐ろしい事件に対してドラマではどのような気持ちで臨んでいるのか、悪の心をなぜ読まなければならないのかを、俳優たちの視線に沿ってドラマを見ると、結局は人に関する話をしていることが分かるはずです。少しは異なる観点で人間を理解してみる良いドラマとして記憶に残ってほしいです。

――俳優キム・ナムギルにとって、ドラマ「悪の心を読む者たち」を一言で説明してください。

キム・ナムギル:「悪の心を読む者たち」は共同体の回復だ。

苦楽を共にした制作陣と俳優たちに伝えたい言葉はありますか?

キム・ナムギル:いつも現場でそれぞれの役割を果たすために、職人精神で最善を尽くしてくれた俳優たちと制作陣に尊敬と感謝を伝えます。特に、犯罪被害者とその家族に対し真正性を持って、時代の過ぎ去った痛みが忘れられないように一緒に悩み、努力してくれてありがとうございました。

――この瞬間にも犯罪予防と根絶のために苦労している警察の方々にどのような言葉を伝えたいですか?

キム・ナムギル:いつも警察の皆さんが頑張ってくださり、私たちは安全に毎日を生きて行くことができると思います。私一人の日常から家族が、またこの社会が警察の皆さんのおかげで、安定を保ち繁栄を希望することができると思います。キム・ウォンヘ先輩のセリフのように「警察も人間だ」という言葉を覚え、皆さんの健康と安全を優先して考えていただきたいです。

――ドラマを愛して関心を持ってくださった視聴者の方々に残したい言葉は何ですか?

キム・ナムギル:ドラマ「悪の心を読む者たち」を愛してくださってありがとうございます。“ソン・ハヨン”がこんなにたくさんの方々に愛されるとは思わなかったので、感謝の気持ちが大きいです。私たちを忘れずにいつまでも「悪の心を読む者たち」を、ソン・ハヨンを覚えていただければ嬉しいです。ありがとうございます。

記者 : オ・ユンジュ